脱線コラムVol.5:マスタリングの意義?意味?

こんなコメントに来たので触れてみようかなと。

”他のマスタリングの解説動画や記事を読んでも、ミックス時の音源と大して変わらないのではと思ってしまいます。
音源の質やイメージは、ミックスとマスタリングでそれぞれ何割くらい決まるのでしょうか?”

これはマスタリングって言葉の意味が立ち位置によって違うので、そこの整理というか、自分がどの意味でマスタリングと言ってるが大事かもしれないです。

こっから先は異論多論が多そうなのであくまでも見解です。

業務のマスタリング(後述のと分けるために)って、今もあるけど昔はアルバムっていう1枚のCDにまとめることがメインというか、アコースティックもバラードもリードシングルも激しめなのも同じ1枚に納める必要があって、それぞれを同じ音量感やレンジ感に揃える作業を意味してると思います。

本当だったらうるさい曲の方が音量あるわけなんだけど、違和感なく同じ感じで聞けるでしょ?それこそがマスタリングの意味だと思います。

とりあえずここがスタートな感じで、配信中心の昨今はシャフルとかでバラ繋がりなく聞いたりすると思うので、それぞれの媒体(iTune、Spotifyとかいろいろ)の決まり事やアップロード時の音質変化を逆算した音質調整をする作業でもあります。実はアップロードするだけで音変わっちゃうんだよね。流石にもう慣れましたけど。

ちょっとだけ脱線すると、こういった最近聞かれ方って少し残念なことでもあって、作ってる側としては大袈裟にいえばコース料理の様に流れを考えてます。ライブの曲順を考えるとの一緒なので、できればアルバムは曲順とおりに聞いた方がうれしかったりします。まあ、好きに聞けばいいんだけど、SEからの繋がりだったり、歌詞として時系列があったりね〜。一つのアーティストにプロデュースとして関わると、そんなことも考えて作ってたりしてます。

で、本題に戻ります。ここからが今日のポイントなるのかなと。

ミックスの流れのマスタリングってやつ。最近はこっちの意味で言われてるような気がする。ざっくりいうと音圧稼いだり2mixにEQかけたりとか、M/Sがなんだとかの、DAWっ子等がマスタートラックでやってる作業自体がマスタリングともいわれてるのかなと。

業務との大きな違いはマスタリングに出す時はマスタートラックのエフェクトをかけた資料用とバイパスしたものを2種類送ります。ミックス作業時の本人等のミックスを聞くのと一緒です。

ここは餅は餅屋って言葉がある通り、ミックスとは違う視点での作業になるので、信頼出来る人を見つけてその人と何回も作業をやって、お互いの理解度をあげるしかないですね。最初に何箇所かに同じ曲を同じような説明で依頼して、好みに合うところを探すしかないというか。お仕事の人はちょっとだけお金かかるけど、大事な作業なので早めに見つけとくといいかもしれません。先方からもこうした方がこうできる的な会話を積重ねることが大事です。俺はずっと同じとこに出してるので、これくらいで送ればこうなるとわかってるので、それで出してます。

雑なまとめ方をすると、配信やプレスする為の決まり事を四角い枠、曲を◯として、枠に入れた◯以外の隙間をきっちり埋める作業が本当の意味のマスタリングですかね。◯が枠より大きかったらそもそもレベルがおかしいってことでもあって、この隙間の埋め方で全然違うんだよね〜。

なので、コメントに回答するなら、MIXとマスタリングの比重は8/2でしょうか?ただその2割は予想がつく、もしくは上回ってくる2割だったりしてます。個人的にはいくら音量上げてもうるさくならないってが何よりも欲しい感じです。

ここに関しては本当にごめんなさいを先に言いますが、僕は過去のうれしくない経験から海外の決まった何人かにしか選択肢に入ってないです。海外の音が好きなクライアントに頼まれて、俺もそれが好きで作ってるのに、平成初期かよ、、、みたいな低音スカスカの歌中心の音にされることが多々あっりました。。クライアント側でマスタリングに出す場合、もう関われないからリリースされるまで結果を知らなくて、リリースされてびっくりみたいなのが業界あるあるの一つです。

ワンオクとかK-popとかの日本語版と英語版(本国版)の違いを聞くと同じ曲なので、差がわかりやすいです。ミックスも違うのでマスタリングだけの差じゃないけど、同じ素材でこうも差が出るのねってね。それだけは言われないように日々頑張ってたりもします。日本のPAの現場で、洋楽ばっか流れてるのはそういうとこも原因だったりもしてます。

そろそろ日本の若手とかに素敵な人がいるだろうとも思ってるのですが、依頼主ありの仕事なのでなかなか試せないもどかしさもある今日この頃です。

で、最後の最後に元も子もないことを書くと、最近はシングル的にモノばかりを求められてるので、自分でやってしまってます(笑)頭の中に経験からのゴールがあるので、そこを目指してクライアントと何回も往復してます。今このタイミングでやってる作業もver.3でご満足頂けました。

時にはミックスやアレンジまで遡ることもあって、かなりしんどいですが、「ミックスとかマスタリングでここまで変わるなら、行けるとこまで行きたくなったので後からいろいろアイディアを出しました!」という素敵な感想がギャラより嬉しかったりもします。

エンジニアなんて何も偉くないので、本人等が納得いくまでつきあうのが長続きの秘訣かもしれません。



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