プロでも使えるMIXテクニック 実際のMixの流れ編 Vol.5:ドラムのトラックの積み方の後編


前回の最後に次回はサチュレーション(真空管、TAPE、コンソール系)やTrigger、トランジェントデザイナーを効果的に使っていく方法を覚えていこう。

 

と書いてあるからそれで行こう。ドラム編は終わりかもしれない。

 

まず、最近良くセリフで「すぐにTrriger挿すから、元音は別に良くなくてもいい」あるけど、その割にクォリティー低いよね。ダイナミクスも空間感も出せてない。CLAの拡張の音ばっか聞こえるしね〜。更にそれにWAVESのSignatureシリーズなんて使ってたら、ドラムの生感なんて出るわけないよね。

 

自分で出来ないから人任せってにしてると成長はしないどころか劣化するよ。

 

「レトルト食品を温めて自炊得意です!」ってのに近いかな。

 

そういう大味に慣れてくると、舌が馬鹿になってくるわけで、その人のオリジナル料理は多分しょっぱいしコクがなさそう(笑)そんな人に自分の大切な会の料理を任せるわけ無いでしょ。

 

でだ、そんな感じになる背景に、本格的(じゃなくてもいいかな)なドラムの録音をしたことがない人が多いのではないかなと。行動的なバンドマンなら経験あるけど、宅録育ちはほぼないんじゃない?無いことは別に悪いことじゃないけど、一回でもある方が有利。これはどんな楽器でも言えると思う。実際に現実世界でやってることをデジタルの世界で再現してるってのDAWの根本なわけで、その現実の作業を知らないと、何を再現してるのってこととも言えるのよね。

 

つまり言いたいことは、Triggerとかのサンプルの音がどういう事の結果にあの音になってるかを理解できるようになると、リハスタでもいいところまで行ける。もちろん予算の差はかなりでるけど、思っている以上のクオリティになるよ。V-DrumやV-Drum&ソフトシンセより全然マシ。

 

なんなら一回渋谷あたりでオフ会でもしようか(笑)誰かはわかると面倒くさいからやらないけど。

 

はい。本線に戻ります。

 Trigger系を上手に使うコツは、今までにも何回か出てきてるパラレルです。

ざっくり言うと、それそれの元のトラックからプリセンドでAUXに送りそこにTriggerを挿すってこと。こうすると元の音とTriggerの音の処理が別にできるので、原音を差し替えるのではなくて、補強するために使う感じ。それらを前回までの流れのように混ぜて一体感をだすと、洋楽感かつ自分たちの音になるんだよね。キックやスネアみたいなコアなパーツは別に複数パラレルを作っても良いから、原音+Trigger+原音をがっつり歪ませたものを混ぜて、ひとつのスネアBusに送るなんてこともOK。実際の予算と時間のあるレコーディングでアナログ領域で本当にやってることだから、それの再現してるだけなんだけどね。

 

次はサチュレーションね。グルーブと並んで歪っていう都合のいいふわっとした言葉の代名詞だ。

 

とりあえず代表的なのがこの3つよね。真空管、TAPE、コンソール系。

 

先に言うと歪みなんて言ってるけど、プラグインの歪みなんてただのEQだから、裏ではすごいプログラムかも知れないけど、効果的には同類なので特徴を抑えれば良い。

 

一番簡単な真空管からいこう。ギタリストのイメージする歪みって言葉とレコーディング業界で意味するところは大分差があるよね。行っても軽いクランチだよね。

 

高域を柔らかくしながら伸ばすってイメージのみで大丈夫かな。だから金物やシンセ臭さをなまらすのに向いてる。歌にも合うよね。

 

次にTAPEは見た目上パラメーターが多いけど、重要なのはテープスピードで、それ以外はキャラクター違いと割り切って良し。テープの種類やマシンのメーカーの違いも同様。

 

先ずは、7.5、15、30ipsの切り替えのみ。スピードが早い=数字が大きくて、スピードが速い方が解像度も上のヌケがよい。スピードを落とすと、ハイがなまって下が太くなるくらいの記憶で大丈夫です。自然に軽くヨレることが無意識に聞き飽きないんじゃないかなと、ここがレコードやテープが人気がある隠れた要素だと思ってます。

 

後は、TAPEに対する漠然とイメージである少しむっちり太くなるってのを基本に、ソースをどうしたいかで選べばOK。何個かプリセットを見てみると、VUの値が数字で書いてあると思うんだけど、それに合わすようにインプットゲインを決めることがポイント。そのプリセットを作った人の意図が見えてくから、最初は真似して理解出きてからオリジナルの設定に行こう。

 

最後はコンソール系だね。これももはやプリセットイコライザーだよね。各メーカーの違いなんてネットにいくらでも書いてあるから割愛すると、実験して欲しい事はそのモデルのインプットを突っ込んだときと突っ込まないときのキャラクターの変化。

 

TAPEにも言えるだけど、モデルを選んだ後にここで更に変わるから、適当にダイナミクスのあるドラムループとかで試してみて欲しい。メーカー名でイメージされるキャラクターは、どんなときにちゃんと出るかってことがわかると更にうまく使えるじゃないかな。同じ系のプラグインを増やすより、理解した上で一個のプラグインを使う方が仕上がりに統一感もある。

 

実際のそれらが現役だった頃を考えると、複数のモデルを混ぜて使ってないというか、物理的に出来ない訳で、でもみんなその頃のその環境で作られた音に憧れてるから、ここまでいろんな製品が出てくるんだよね。

 

なんでもそうなんだけど、基本や作法を知らずにオリジナリティは生まれないかなと。

 

個性的なプロになりたい人ほど、UADとかWAVESみたいな王道のマニュアルやプリセットを一周することを強くお薦めする。プロは基本も出来て応用も出来るから仕事が続いて、その中で個性は後から生まれてると思う。 

 

個性は付けるじゃなくて勝手に付くってことだな。

 

あー。後、トランジェントデザイナー系か、、

 

はなっからその音が気に入らなくて、リリースをがっつり弄るって以外は、普通にちゃんとミックスして、それでも最後に他のトラックとの兼ね合いを強調する時に使えば良いかな。

 

まあ音が気に入らないなら、違うサンプルを選ぶとか、もはやアレンジに戻れよって思うし。

 

ドラム編も大体書いたんだけど、なんか質問あればコメント下さいませ。失礼じゃない感じでこなければ、可能な限り答えようかなと。

 

ここまでのって読んでるだけだと机上の空論だし、自分なりの基本を話してるに過ぎないから、固有のケースによってやっぱ対応方法は変わるよね。そのジャンルならではってのもあるし。

 

特にないなら次回からベース編に行くとしよう。実際ベースが日本の宅録環境だと、かなり難しい部類だと思う。プロの作品でもダメなあるし。自分の過去のでも今ならもっと行けるのにって思う事があるし。

 

低音の使いこなしが、プロとアマ、邦楽と洋楽の差になってると勝手に思ってるくらい重要。


 


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