見出し画像

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人

正直言ってこの香山リカという人には不信感がある。その素行や信念のもとに極端な暴挙におよぶなど、一種カルト障碍としか思えないのだが、本書は私がカルト問題と、その心理病理を整理するのにとても多くを学んだものとしていまだに好感の一冊だ。

冒頭に著者自身が学生との間で「生まれ変わり」を信じているのかという調査を行ったことを手始めに、そこに何が起こっているのか丁寧なフィードワークを行った経緯が語られる。
そして旧来のオカルト趣味が、エンターテインメントとして楽しまれてきたことと相対して、昨今のスピリチュアルは自己確認と現世利益という、極めて利己的な信仰であることを区別している。

特筆すべきは、かの小泉純一郎首相のファンとなった女性の一種のカルト心理に触れ、事の真偽よりもテンションが上がることで、夢中になる現象を伝える。

最終的に、落とし所の無い構成だったが、途中までのフィールドワークには大変好感が持てたのは事実である。
一言申し添えるなら、ぜひ香山リカという人に冗談抜きで、この一冊をお薦めしたいとという気持ちであることだ。

軽い読み口だが、社会現象を整理する助けにもなるので、特にカルト問題に疑問を持つことがあるならば一度は読んでみてほしい。

入手可

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人
香山リカ 幻冬舎新書 2006年

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?