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カラーコーディネーター:色をつくる材料

注意:見やすさ重視で自分用に編集してます


色をつくり出している元になるもの

色素_pigment
着色剤_colorant
色材_color material
→顔料_pigment
→染料_dye


色素

可視光を色素を構成する分子レベルで吸収して
残りを放出すると物体に色を知覚させる物質の総称
主に生物学、自然科学の分野で使う
例)人間の肌色を主に決めるメラニン、食用色素


色材_染料と顔料

着色の目的
❶美しいもの、美味しそうなもの、好みのもの、似合う色をつくる
 色のイメージを利用して心理的な効果を目的に着色すること 
 (繊維の着色・化粧品・食品、飲料)
❷色をつけて他と区別する
(消化器の色・形が同じものを色で区別する)
❸表面の保護を目的として着色
(塗装・色材の効果ではなく展色剤の効果)
❹複数の色を配置して形を作って、ある情報を伝達する
 (印刷インキ・絵の具・プリンター用インク)

色素の中でも工業的用途で着色することを主な目的にしている
色材は物に付着する仕方によって染料顔料に分けられる

顔料
水、アルコール、油などには溶けない。 
溶けないので繊維の表面に付着するだけ。
絵画・印刷・展色剤(塗装での油、膠、樹脂などの糊の役割)・
プラスチックの着色には樹脂の中に分散させて付着、着色させる。

用途:印刷インキ・プリンター用インク・絵具・クレヨン・
   色鉛筆・顔料捺染・塗料・化粧品・色紙の着色・
   プラスチック、ゴムの着色・陶磁器、ガラスの着色

染料
水、アルコール、油などに溶けて繊維に付着して着色。
溶液に溶けるので繊維の内部まで浸透する。
天然染料合成染料に分けられる。

用途:カラー写真・プリンター用インク・糸、布、皮革の着色・
   プラスチックの着色・食品、飲料の着色


染料_天然染料_

天然染料_自然界に存在する色素を利用した染料のこと
さらに植物染料動物染料に分類される


「植物染料」染料_天然染料

植物染料 代表的な染料_赤

赤_茜・紅花・蘇芳
東洋茜と西洋茜(マダー)は異なる

東洋茜
日本、中国に野生している
明礬を使うと赤く染まり、灰で媒染すると絹を緋色に染められる。
媒染_繊維と染料の結び付きが弱いときに、染色前後に金属成分やタンニンなどを含んだ液に繊維を浸し、繊維と染料を結びつけを助ける処理

西洋茜
アルザリン(根から採取される赤の染料)、プルプリン(根から採取される黄色の染料)を利用して明礬媒染すると
絹や木綿が赤く染まる

紅花
あざみに似た草。本来の燕脂の色素。
紅花(こうか)紅(べに)(くれない)末摘花(すえつむはな)
とも呼ばれる。

蘇芳
インド、タイ、マレーシア原産のまめ科の小高木
蘇芳の心材が染色に使われる。
染色法は
赤_明礬で媒染して染色する方法
やや紫みを含んだ赤_灰汁媒染

植物染料 代表的な染料_黄色

黄色_刈安・黄檗・梔子

刈安
名前の由来たくさん生えていて刈やすい雑草だから。
八丈刈安と近江刈安がある。
八丈刈安・・・
こぶな草と呼ばれる。八丈島で黄八丈の染色に使われる。
近江刈安より美しい黄色に染まる。平地に多く生えている。
近江刈安・・・
山地に多く生えている。
黄色に染めるには▶︎灰汁か明礬
黒茶色に染めるには▶︎鉄

黄檗
漢名で黄檗(おうばく)。
名前の由来は木の膚が黄色だから。
黄紙といえば、黄檗染めの紙のことを指していた。
昔は黄蓮(かくまぐさ)の根から採っていたが、だんだん採れにくくなったので黄檗に変わったとされている。

梔子
実は黄色に染色できる。食用の着色にも使える。
漢方では利尿剤といても使用されている。

植物染料 代表的な染料_青

青色_藍


藍草を水の中に入れて藍分を石灰とともに沈殿させ
かなり純粋な成分を取り出している。
山藍、蓼藍、木藍がある。

山藍
日本の一番古い藍。藍の含有量は極めて少ない。

蓼藍
中国から輸入された藍。出雲地方を経由して日本全土に広がった。
明治時代まで日本全国にあった紺屋は蓼藍が使われていた。

木藍(インド藍)
昔は南方諸島、東南アジア、インド、ペルシャなどで盛んに栽培されていた。今ではほとんど見られない。

植物染料 代表的な染料_紫

紫色_紫草

紫草
紫草の根を紫根といい染色の原料になる。
最古の紫色染料。寒い国に自生している多年草。


「動物染料」染料_天然染料

貝紫、ラック、コチニールが知られている。

貝紫(ティリアンパープル)_赤紫色

場所:地中海沿岸に生息する
アクキ貝の一種ツブリボラ

発色方法:
紀元前1600年ごろ
古代フェニキア人は貝を砕き、中のパープル腺を取り出し、
分泌物を糸や布に擦り込み、日光にかざして発色させていた。

ティリアンパープルの名前の由来は
フェニキアの首都ティルが染色貿易地で知られていたことから。
染料が高価で帝位を象徴する色としてクレオパトラも好んでたとされているので帝王紫とも呼ばれていた。

ラック_燕脂色

場所:インドのガンジス川流域生息するイヌナツメの樹木の小枝
雄は色素を持つ。雌は樹脂分を持っている。
雌+雄=チョコレート色の光沢のある樹脂状の色素を分泌する。
樹脂状のものをラックという。
精製して染色分であるラックダイを取り出す。
ラックで染めた色も、燕脂色と呼ばれる。

コチニール_赤

コチニールカイガラムシ(エンジムシ)カイガラムシの一種。
場所:メキシコ、ペルーなど中南米の砂漠に生育するウチワサボテンに寄生
赤い色素を持つ。
発色方法:色素を持つ雌虫を産卵前に採取して、熱湯を通したあと乾燥させて用いる。


染料_合成染料

染色方法で9種類に分類される。

直接染料

着色方法:線量を入れた液中に入れて直接染色
適用繊維:セルロース系繊維(綿・麻・レーヨン)
デメリット:色は不鮮明。光、洗濯で褪色しやすい。
      反応性染料に移りつつある。

酸性染料

着色方法:酸性の液中に入れて染色
適用繊維:アクリル系繊維・羊毛・絹・ナイロン
メリット:藻奥の色相が鮮明に染まる
デメリット:褪色しやすいものからしやすいものまで様々

塩基性染料

着色方法:溶液中で陽イオン(カチオン)となり染色
カチオン(電子を放出し正の電荷を帯びた電子となる陽イオン)
適用繊維:絹・綿
メリット:濃い色は鮮明
デメリット:光と洗濯で褪色
デメリット改善▶︎新しくアクリル用繊維用にカチオン染料を開発
        光による褪色に配慮された
最も歴史が古く、英国のパーキンが発明したモーヴが最初

酸性媒染染料

着色方法:酸性染料と媒染剤として染色
適用繊維:羊毛
染着色:紺色・黒
デメリット:クロムを使用するため排水処理の問題がある。使用が減少している

建染染料(バット染料)

着色方法:水に溶けない染料のため薬剤を使用し酸性を取り去りアルカリの液に溶かして染色。 酸性を取り去る作用を建てる「バット」という
適用繊維:綿
メリット:色は鮮明。褪色しにくい染料

硫化染料

着色方法:水に溶けないが硫化ナトリウムによって水に溶け染色
適用繊維:綿・レーヨン
メリット:褪色しにくい。安いので簡単な染色に用いる。
デメリット:色は鮮明ではない

ナフトール染料

着色方法:ナフトールと繊維が反応して染色
適用繊維:セルロース系繊維(綿)
メリット:色が鮮明。褪色しにくい。
デメリット:染色方法が煩雑で使用が減少

分散染料

着色方法:水に溶けにくいので溶けない状態のまま染色
適用繊維:アセテート・ポリエステル
メリット:色が鮮明。褪色しにくい。

反応性染料

着色方法:繊維と化学結合することで染色
適用繊維:セルロース系繊維(綿・麻・レーヨン)羊毛・絹・ナイロン
メリット:色は鮮明。褪色しにくい。


顔料

顔料が使われた最古のもの
ショーヴェ洞窟の壁画:黒1色

2万〜1万4500年前のもの
フランスのラスコー洞窟の壁画:赤褐色(赤鉄鉱)黒(マンガン・木炭)
               黄色(イエローオーカー)

顔料の分類

無機顔料ー天然鉱物顔料(人類が最初に着色をおこなった)
    ー合成無機顔料(天然鉱物顔料を化学的に合成)

有機顔料(炭素を含む化合物)
    ーアゾ系顔料
    ー縮合多環系顔料
    ーフタロシアニン系顔料
    ー染料レーキ系顔料


無機顔料

天然鉱物顔料

人類が絵画を発展させるために貢献した材料

白:白亜
  カオリン▶︎絵画以外で使用された
       名前の由来は中国の江西省景徳鎮付近の高嶺(カリオン)
       磁器の材料として
赤:赤鉄鉱
  辰砂(朱)▶︎名前の由来は中国の辰州で多く産出されたことから
        日本では弥生時代に産出。古墳、石棺の壁画、彩色に使用
        棺の中に朱を入れる習慣は江戸時代にも行われる
        現在では押印用の朱肉に使われる
黄:黄土(イエローオーカー)、硫黄
緑:孔雀石
青:アズライト(藍銅鉱)▶︎日本では群青とも呼ばれる
  ラピスラズリ(瑠璃)▶︎産地はアフガニスタン

合成無機顔料

白:酸化チタン
赤:バーミリオン、カドミウムレッド
黄:コバルトイエロー
緑:クロムグリーン、エメラルドグリーン
青:合成ウルトラマリン▶︎
  ラピスラズリを細かく粉砕した顔料をウルトラマリンという
  17世紀のバロック絵画のフェルメールの青として有名
  合成は1814年に開発
  プルシアンブルー(ベルリンブルー)▶︎
  1704年にプロイセンで開発
  日本では紺青と呼ばれる
  製法により呼び方が変わる
  ベルリンブルーは日本ではベロ藍として知られる
  ベロ藍は北斎、広重の作品に使用され有名
  エジプトブルー▶︎
  人類最初の合成無機顔料。古代エジプト時代に開発。


有機顔料

石油からつくられた原料をもとに化学的に合成

アゾ系原料

歴史が古い。黄色〜赤の色相。
種類が豊富。価格も比較的に安い。
例)印刷のイエローインキ(ジスアゾイエロー)
  マゼンタインキ(ブリリアントカーミンB)

縮合多環系顔料

光、熱で褪色しにくい高級顔料
例)自動車の塗料

フタロシアニン系顔料

鮮やかな青or緑の色相
光に対して褪色しにくい。耐久性がある。
例)印刷のシアンインキ(フタロシアニンブルー)

染料レーキ顔料

白の顔料に染料を染めつけてつくる。
鮮やかな色ができる。光、熱で褪色しやすい。
用途が限られる。

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