Boothの規約を読む ~ TRPGシナリオをBoothで購入/販売するときに気をつけたいこと 第0回
近年TRPGシナリオを頒布する際に良く利用される「Booth」。ピクシブ株式会社が運営している同人向けオンラインマーケットで、アカウント保有率の高さや手軽さから利用者が多いようです。
筆者もBoothの利用者ですが、利用頻度の高さにしてはあまり利用規約を読んだことがない……という方も多いのではないでしょうか。
今回はピクシブ、Boothの利用規約から、TRPGシナリオのダウンロード販売や購入に関連しそうな内容を解説します。
ピクシブサービス共通利用規約を読む
こちらが利用規約ページ。
ピクシブは一つの共通利用規約の下に、各サービスの利用規約がぶら下がっている形。Boothを利用する際は、共通利用規約にも同意する形になります。
共通利用規約の内容がサービス個別規約で例外として修正されていた場合は、個別規約のほうが優先されるようですね。
こちらはアカウント作成。
基本的には未成年のみではアカウントを作れず、作る場合は保護者の同意が必要です。アカウント譲渡も禁止。
第7条7号のアカウント停止に関する基準は中々ユニーク。「当社の一定水準を超えた場合」という表記がいくつかあります。社内に対応基準などがあるのでしょうか。
対象も「他のユーザーや第三者」と、ピクシブ会員外まで含んでますね。
ピクシブは二次創作作品も扱っているプラットフォームなので、権利者などのクレームに応じてアカウント停止対応を行うこともあるのでしょう。
そしてここから。「ユーザーの責任」です。
BoothやFANBOXなど、ピクシブには複数のユーザー間取引プラットフォームがあります。
しかし、ピクシブが貸しているのは「サービス」のみ。ユーザー間での法的トラブルには一切関与しません。
そして13条4号に記載されている通り、「法的義務の履行」についてもユーザー自らが行う必要があります。
この辺りはBooth側の利用規約にも関連するので先に次の項目へ。
第14条は禁止行為。多いので一部割愛しますが、TRPGに関連しそうなのはこのあたり。
あまり極端なものでなければ取り締まられることは少ない印象ですが、ものによってはホラー系のTRPGの描写に関わってきそうです。
Booth個別利用規約を読む
そしてここからはBoothの個別規約です。
ユーザー、と書いてあるとアカウント保有者のように誤認しがちですが、共通利用規約 第3条 定義によると、『「ユーザー」とは、本サービスを利用する者をいいます。』とのこと。
つまり、アカウントを作らずBoothにアクセスして無料ダウンロードするだけの利用者にもこの規約が適用されます。
同意した覚えのない方もいると思いますが、3号に「本個別規約に同意しない限り、本個別サービスを利用できません」と定められていますから、Boothを使っている時点で同意した扱いになるものと思われます。
(ずるいと感じるかもしれませんが、Webサービスの規約ってだいたいこんなものです)
少し飛んで4条。「ユーザー」にショップ開設者(ショップオーナー)と購入者が入り混じっているので少し分かりづらいですね。
Boothでの売買は基本的には「商品を提供し、代金を支払うことで成立する、オーナーと購入者、二者間の売買契約」という扱いです。
契約ですってよ!驚く方も多いと思いますが、商習慣的には普通です。
お店でお金を払い、品物を受け取るという一連の流れを、「売買契約が行われた」とみなします。
商品に瑕疵があった場合、ショップオーナーが適切な措置を講じる必要がある、とされていますが具体例はなし。この場合、ページ抜けがあった、破損していたなど明確に商品自体に問題があった場合、と考えて良いでしょう。
ピクシブの利用規約に反しておらず、商品説明に虚偽がなく、正常にダウンロードできる場合であればそこまで強く意識する必要はありません。
売買契約については、民法第555条に記載があります。
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC555%E6%9D%A1
双務契約であり、売主と買主の双方に債務が発生 するものとされます。
売主からの一方通行の契約ではないことに注意。
買主側は、意思表示の合致により、代金を支払うことで、物品を受け取るという契約が成立するようです。
商品に不備がない場合、通信販売では基本的には単に気に入らないという理由で返金を求めるのは難しいです。
この辺りは特定商取引法にも関わるので、また後日解説します。
そしてここからも重要。
Boothのショップオーナー、事業者扱いです。
これはあくまでBoothの利用規約上であり、ちょっとややこしいのですが「法的に事業者であること」と「Booth上で事業者であること」はまた別です。
しかし、Boothの利用規約上は、ショップオーナーは事業者として「特定商取引法、割賦販売法、不当景品および不当表示防止法、薬事法、その他関連法令を遵守」する必要があります。
Boothでシナリオを販売する場合、これらの法律で最低限守るべきルールはおさえる必要があるでしょう。
瑕疵があった場合、返金義務もあります。
ということで、このマガジンでは不定期で、Boothでのダウンロード販売に関連する法律のうち、特定商取引法、不当景品および不当表示防止法について勉強したことを少しずつ書いていこうかと思っています。
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