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知財③_知財価値評価まとめ

1.評価目的

私が経験した知財価値評価は、こんな感じです。

(1)知的財産権の譲渡
知的財産権は譲渡が可能であり、譲渡に際して、価値評価が行われる。

(2)現物出資
株式会社への出資は、金銭でなく、現物(固定資産等)も可能。
現物として、知的財産権を出資する場合があり、現物出資に際して、価値評価が行われる。

(3)PPA(Purchase Price Allocation)目的
「企業結合に関する会計基準」等の改正により、2016年6月に経営研究調査会研究報告第57号「無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務-」が発行され、PPAの中で、知的財産権の評価が行われる。

簡潔に説明すると、

【従来】➀と➁の差額
→のれん
➀買収価額(取得価額)
②被買収企業の資産等の時価

【改正後】➀と➁の差額
→知的財産権等の識別可能な資産に配分し、残額がのれん
➀買収価額(取得価額)
②被買収(取得)企業の資産等の時価

識別可能な資産に知的財産権が含まれており、知的財産権の評価が行われる。

(4)その他
上記の他にも、こんな目的のために評価が行われます。
 ・職務発明の対価算定目的
 ・損害賠償額の算定目的
 ・移転価格税制目的


2.評価方法

評価方法は、以下の3つに大別される。
(1)コスト・アプローチ→取得に要したコストで評価する方法
(2)マーケット・アプローチ→市場で取引されている価格で評価する方法(3)インカム・アプローチ→いわゆるDCFで評価する方法

(1)~(3)の評価方法のうち、(3)のインカム・アプローチで評価するのが一般的。インカムアプローチのうち、免除ロイヤリティ法が最も用いられる方法!

3.免除ロイヤリティ法

免除ロイヤリティ法とは、評価対象の知的財産権の所有者がその使用を第三者より許可されたものと仮定し、第三者に対して支払うであろう無形資産のライセンス実施料率によって算出されるロイヤルティ・コストが免除されたものとして評価する方法

簡単にいうと、知的財産権持ってるから、誰にもライセンス料払わなくてよいでしょ。払わなくてよいライセンス料の割引現在価値が知的財産権の価格よね。

■算定要素
➀売上高(将来CFの構成要素)
   ⅰ各期間の売上高
   ⅱ評価期間(経済的耐用年数)
➁ロイヤリティ料率(将来CFの構成要素)
③実効税率(将来CFに加味)
➃割引率(WACC)

■算定手順
1)対象知財を特定する。
必要に応じて、対象知財をグルーピングする。
2)対象知財から生み出される売上高を算定する。
3)対象知財の評価期間(経済的耐用年数)を算定する。
4)想定ロイヤリティ料率を算定する。
5)評価期間の売上高に想定ロイヤリティ料率を乗じて金額を算定する。
必要に応じて、税金を控除する。
6)5)で算定した金額を割引率で現在価値を算定する。
7)税効果を考慮し、評価額を算定する。


今回は、知財価値評価について、まとめてみました。

粗々で記載したので、随時、図を入れるなど更新します。


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