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続「Conduct DELUXE!」を350時間やり込んだ話

 ※この記事は前後編の後編に当たります。前編は以下からどうぞ。

 卒業制作などとぬかしつつ、たった2ヶ月で舞い戻ってきたAkasata。アイデアが湧いてくるから仕方がない。制作活動の続きである。
 なお350時間と題しているが、各ステージの細かい仕様を確認したり、見栄えする鉄道写真もといサムネを撮るためにちょくちょく起動した結果これを書いている時点で360時間を超えている。
 
(以下の大半のサムネは手元のエディットデータのテストプレイ画面を撮ったもので、実際にアップロードしたものとは若干の差異がある場合がある)


No.19「Timber Station」★☆☆

「材木ステーション」
 復帰第一号にして4日連続企画の第一弾がこれ。連続企画というのは復帰記念として、4日連続で新ステージを公開ということをやってみたのだ。
「Living with Forest」の借りを返すべくお題は林業……という理由でそうしたのとは違う。最初に考えていたのは切り立った岩山をバックに、列車が爽やかに駆け抜ける高原というシチュエーションだった。で、こねくり回していたら何故かこうなった。何故だ。開けた土地という所だけ当初の面影がなくもないが。

 本作の目玉はステージの中央を頻繁に通過し、路線を分断してくれる貨車。ただ向こう岸へ行くだけならトンネルに入った方が安全だが、それでは最高評価(ゲーム内の)には到底届かない。貨車の隙間を縫ってショートカットを駆使することが求められる。
 一度完成させた時点では貨車は2本しかなかったのだが、簡単過ぎる気がしたので倍の4本に増やしてしまった。さらにポイントの配置も嫌らしくしてみたが、今思うと少しやり過ぎたかも知れない。機会があればリメイク版を再公開したい。その時は★2になる予定。


No.20「A Day in Metropolis」★★☆

「ある大都市の一日」
 4連企画第二弾。こっちは明確にCE2999 Train and Silent Rainのリベンジである。今度こそ名実備わった大物を作り上げたい。
 今度は思い切って、駅を4色x2の8駅置いてしまうことにした。……したはいいが、そんなたくさんの駅をどうステージ内に混ぜ込むかは思い付かなかった。そこでステージを半分ずつに区切り、それぞれに4色の駅を配置。双方を定期的に行き来する形にした。この連絡路がやっぱり事故多発ポイントなので、ここくらいは立体交差にしようかとも考えたが断念。とにもかくにも狭過ぎるのだ。駅8つも使ったらそりゃそうなる。
 にもかかわらず列車も4本という物量っぷり。画面外へ一時退出するようなインターバルもない。かなりややこしくなるのは目に見えていたが、ここは高難易度ステージと決めていたので思い切った。これぐらいでないと大都市と呼べない。

 かなりの難問ステージとなったが、ゲームとしての出来は満点とはいかないまでもそれなりに満足している。
 残る課題は大都市を名乗るにしては建物の密度がスカスカな点である。線路にスペースを取られ過ぎたから仕方ない。あと題名が微妙。


No.21「Rowdy Western」★★☆

「荒くれ西部劇」
 4連企画第三弾。サムネは開始直後のくお〜!! ぶつかる〜!! な場面。すぐさまポイントを全開、双方を右に曲がらせないと即終了となる。
 こんなイントロが示す通り、このステージは列車同士の正面衝突が頻発する構造になっている。上手く操作して事故を起こさないのはもちろん、高評価を得るには効率良く駅を回れるルート構築が要求される。

 同じく正面衝突を前提にした、とあるユーザー作品に触発されて自分でも作ってみようと思ったのだが……これが難しかった。
 一番の難題はあまり複雑なレイアウトにはできないという点。話すと長い(試しに書いたらすごく長くなった)ので省略するが、分岐路の両側にポイントを設置しないと見た目では進行方向が分からなくなってしまうのだ。下手に分岐を増やすとポイントも水増しする羽目になり、操作が不当に煩雑になってしまう。そこを考慮した結果がサムネの単純なレイアウトという訳。
 で、ここまでシンプルな形にしてしまうと、素人のテキトーな作品と思われプレイしてもらえないのではないか? そんな不安がつきまとった(杞憂だったが)。

 この四角四角な路線を完全に無視した舞台作りをしてしまったのも大きな心残り。もっと家でも並べて大きな町にできたらちゃんと活かせたのだろうが、そもそも西部開拓エリアには民家の素材がひとつもない。どころか本編でも民家なんてない。あるのは酒場と銀行と監獄のみ。酒場ばっかり並べても変だし……と悩んだ結果、線路の形状をガン無視した簡素な集落にしてしまった。
 街道の寂れた町で突如勃発した無法者同士の乱闘、みたいなイメージ……持てるか? これで? どうか持ってほしい。お願いだから。


No.22「Curse of the Knights Templar」★★★

「聖堂騎士団の呪い」
 4連企画のラストを飾る一作。制作順はRowdy Westernが一番最後だったのだが、こっちをトリにしたかったので順番を入れ替えた。

 CE2999 Train and Silent Rainではもうひとつ、Ghost Trainを題材にしたステージを作るという目標があった。それも再チャレンジせねばならぬ、と作ったのがこれ。
 今度はゴーストタウンではなく森の中を舞台にする。木々と雨粒の向こうに見え隠れする怪しい列車……だけでは弱いので、緑に埋もれつつある城跡なんてどうだろうか。永遠に城を守り続ける死者たち……それならGhost Trainじゃなく、中世エリアのJousting Trainの方がいいか。

 で作ってみたところ、御覧の通りレールだらけの非常にうるさいステージになってしまった。ミステリアスはどこへ行った。そもそもJousting Trainのカラーリングが攻撃的過ぎるのだ。何だ赤と黒って、ムカデか? それともどこかに「忍」「殺」とでも書いてあるのか。しょうがないからテーマを山林エリアから中世エリアにチェンジし、よりアグレッシブな方向で設定を練り直す。
 Wikipediaでテンプル騎士団について調べたところ、当時の国王にカネと権力目当てに異端の汚名を着せられた末に騎士団は解体、騎士団長は王に呪いの言葉を吐きながら火刑に処されたという。これだ。ちなみに英語ではKnights Templar(ナイツテンプラー)と書くのが正しいそうで、テンプルナイツは間違いらしい。テストに出ます。

 このイメージを基に仕上げる。お取り潰しを食らい城も破壊された騎士団が怨みから悪霊と化し、城跡や城下町で我を忘れて荒れ狂う。この暴虐に終始怯えながら列車を運行させなければならない。
 難易度とインパクトのために、序盤以降は常にJousting Trainが2本同時に出没するようにした。これが大変だった、各車両が互いに衝突しないよう適切な車間距離を設定するのが。もっともその苦労の甲斐あって、絶妙にこちらの邪魔をしまくる名悪役になってくれた。
 ステージ構成もフレーバーも上手くハマった、悪くない作品だと思う。


No.23「Raiding of the Dragon」★★★

「ドラゴンの襲撃」。また中世か。またドラゴンか。まただ。
 前編で少し触れた、前から構想だけあったというネタのひとつがこれ。当時漠然と考えていたのは、ドラゴンに攻め込まれた城下町を駆け回り、取り残された住民に見立てた客を保護していくという内容だった。
 だがいざ作ってみたら、どうも現在進行形で脅威が迫りつつあるといった緊迫感や悲壮感が全然出ない。まぁそうだろう。中世エリアは地面の色が明るい緑だし、BGM(ケルト音楽?)も軽快なのはいいがこの場面にはそぐわない。高難易度ステージの曲が使えたら……それができたら子供はそればっかり使いたがるか。ともかく、そぐわないならそぐうようこっちが路線変更する必要がある。鉄道だけに。

 で、完成させた画が上のサムネである。
 ゲーム的には最初の紫駅で赤・青・黄色のいずれかの客を乗せ、次の紫駅で同じ色の客を増やす(青と黄色は別々の駅でのみ登場)。城壁を越えたら適切な駅で客を降ろし、同時に紫の客を乗せ最初の駅へ戻る。なお定期的にJousting Trainが対面方向から突っ込んでくるので、その都度手前できちんとやり過ごす……というもの。
 一方フレーバー的には……城下町で助けを待つ住民たちを救助し、王城手前の広場まで避難させろ!同時に訓練を終えた兵士を前線へ送り出せ!ただし騎兵隊が突撃する際は道を開けろ! ……とこうだ。城下を貫く大通りを一気に駆け抜け、ドラゴンに真っ向から突貫をかける都心在来線騎兵! もちろんそういう趣旨のゲームではないので、いくらドラゴンを攻撃しても勝ったりできる訳ではないが。
 画面下端にJousting Train用の駅を設けてあるのはワンクッション置くことで退避のタイミングを計りやすくさせる配慮と共に、ランスチャージ前の溜めという燃えを提供する意図も込めている。突撃開始時に少し道幅が狭まることで、2本の馬上槍(衝角?)の穂先が一瞬触れ合うのも戦場に赴く際の儀礼めいたものを感じさせて熱い。熱いだろう?

 ケレン味マシマシの本作はユーザーからも高い評価を得られ、私の作品の中では唯一DL数が20超えを果たした作品となった。万歳。


No.24「Divine Rock Tour」★☆☆

「聖なる巨岩ツアー」
 まだ使っていない素材を使ってみよう、ということでやけに豊富に用意されている丘陵地をフィーチャーした作品。低山の合間を縫って進むのどかなステージに仕上がった。
 中央に独立峰ということでMt.Fujiみたいな題名にしようかとも考えたが、富士山を名乗るにはしょぼ過ぎるのでやめ、エアーズロックみたいな聖地として崇められる大岩ということにした(富士山は富士山で地元の山岳信仰の場でもあるが)。

 ギミックらしいギミックはほとんどないのも特徴。唯一、岩山の後ろに状態が見づらいポイントが1個あるくらいである。
 そのせいか作者としては、今ひとつ物足りない印象が拭えなかった。どうも間延びしているというか、スリルがないのだ。といって貨車を割り込ませるのも、1本列車を追加させるのもしっくり来ない。それともコンセプト自体に原因があるのか? といって全部ボツにまではしたくない。
 まぁビジュアル面は満足できる水準だし、何もなくゆるゆると遊べるステージというのもたまにはあってもいいのかも知れない……と自分を納得させることにした。実際評価は及第点に達している、が……う~ん。


No.25「Seven Farmers」★★☆

「七人の農夫たち」
 同じ農場エリアでもGolden Labyrinthとは違い、収穫じゃ収穫じゃと言わんばかりにせわしないステージ。Divine Rock Tourの鬱憤を晴らすかの如しである。
 レイアウトは今回も四角の集合体、ただし駅は7つと大幅増量。この駅が農場エリアのは駅だかただの農家だか分からんようなこじんまりしたものなので、タイトルもこんなのにした。いやもうちょっと考えようがあったかも知れないが。別に農夫が車掌をやっている訳でもなし。
 
 駅が7つなら列車も4本もある。A Day in Metropolisとほぼ同じ規模だ。それでいてそこまで広くもない。
 画面下の青駅と黄駅は単色の客しかおらず大量ゲットのチャンスなので、紫駅を通過したらここへ寄り(赤客が乗ったらそちらへ直行)、乗せた客は画面右の青&黄駅で降ろし……というサイクルが基本だが、やはり過密路線ゆえ事故率がすごく高い。ただそれなりに自信を持ってお出しできる出来という自負はあったので、ついてきてもらいたいとは思う……DL数はギリギリ合格点というところだったが。

 ちなみに最初の追加列車が現れる際にモブトラックのクラクションが鳴る(車の目の前を列車が通ると鳴らす)が、これは狙ったものではなくただの偶然の産物である。意識的にやれば音によっても列車の追加を察知でき親切だろうが、タイミングの調整が大変なのであまりやる気にはなれないのが実際のところ。
 あとこれまた使っていない大型素材として、大風車をシンボリックに起用できたのは個人的な評価点である。……そんなのより難易度をもうちょっとマシにしろ? 回る物体が線路に被って気が散る? それはまぁ……


No.26「Forsaken Graveyard」★★☆

「見捨てられた墓地」
 Curse of the Knights Templarで再チャレンジすると言いつつJousting Trainに浮気され、見捨てられてしまったGhost Trainを今度こそ前面に押し出すと決めて作ったステージ。舞台も今度こそ鬱蒼とした暗い森である。

 今回は廃墟からほぼほぼ離れ、訪れる者の途絶え(再度書くが、駅と大勢の客はゲーム上の都合である)荒れ果てた墓場で走ってもらうことにした。軌道はステージの真ん中を縦断と横断するのみとシンプル。どの方角から来るかは毎回変わるが、プレイしていればすぐ法則に気付く程度である。
 後は単にぐるぐる回るだけのコースだが、評価はまあまあというところに収まる。幽霊列車はようやく天に召された。アーメン。


No.27「Island Fever」★★☆

「島の熱狂」
 Forsaken Graveyardを作り終えて思った。私の作るステージは大きな外周があって、そことその中をぐるぐる回るようなのばっかりじゃないのか?
実際はそうではない作品も多く作ったはずだが、当時の私はそう嘆いた。もっとひとつの型から外れた、不定形で自由と独創性にあふれたステージを作りたい。そんな思いを強く抱くようになる。
 よし、次は南国だ。周りが海でただでさえ土地の狭い舞台だからこそ、工夫を詰め込むことができる。実際私がこれはと思ったユーザー作品は南国エリアのものに多い(気がする)。いざ南の島!

 で、完成したのがこれ。リゾート地としてにぎわう島に大量の列車が押し寄せる、という設定なのだが……工夫、あるか? Forgotten Village辺りとやってることはあまり差がないのでは? 小さくまとまった中でおしくらまんじゅうしてるだけなのでは? という疑問が頭から離れなかった。
 だが実際は意外なほどの高評価をもらう。狭いことは狭いが経路の選択肢が多く、列車が一ヶ所に集中しにくい点が気に入られたのか。それとも絵面の楽しさが受けたのか。自己評価ほど悪くはないようだと教えられた形だが、当初の自由なステージを作るという目標は持ち越しとなった。


No.28「Island Maelstrom」★★☆

「島の大渦」
 Island Feverと同時に制作、同時上映となったカップリング作。こっちは未開の島の雰囲気重視で、岩山を複数配してそれっぽく仕立てている。
 列車いっぱいはIsland Feverでやったので、こちらは貨車をアクセントに用いている。貨車は定期的に島外から現れるので、素早く各所のポイントを切り替え島を一周させながらお帰り願う。一般列車も大小の円を描くように駅から駅へと走る。「大渦」の名の由来である。

 ……とまぁ結局、大きな枠をぐるぐるするステージになってしまっている。不定形で自由なステージは完全に頭からすっぽ抜けていたらしい。ゲームとしては悪い出来ではないと思うが、今回も宿題は未提出と相成った。
 ちなみにDL数はIsland Feverの方に軍配が上がっている。


No.29「Frontier Valley」★★★

「辺境の峡谷」
 散々引っ張っている「不定形で自由なステージ」だが、別に島でやらなければならない理由もないのでは? 普通に広い舞台でのびのびやればいいのでは? と思い至る。ならば西部開拓時代の荒野でワイルドにいこうと狙いを定めた。森の端に位置する谷間にて、今まさに入植を始めた開拓者たちの家々(駅)という風情である。

 外周ぐるぐるをなるべく避けるべく、メインルートが曲がりくねっているのが特徴。左右が逆のS字を下から書くような感じである。最奥の赤駅の次は基本的にはその場ですぐ右へ引き返し、画面の端沿いに直進するのは黄駅へ行く時だけとなる。これに蒸気機関車と、Divine Rock Tourでもやった見づらいポイントを一ヶ所用意して出来上がり。
 景観もアメリカの大自然っぽいものを全力で……いや全然知らないのだが。唯一イメージにあるのは映画「スタンド・バイ・ミー」くらいである。それでも上手くいった感はあった。岩山の合間を大きな曲線を描いて走る列車の姿が爽快で気持ちいい。
 評価も上々で、お気に入りの作のひとつとなった。


No.30「Trinity Transport」★★☆

「三位一体輸送」。記念すべき30作目。
 自作ステージで今までまともに使ったことのなかった自動車(の素材セット。ここではトラックのみ)を起用したステージ。車は本編でいい印象がなかったので敬遠してきたが、いつまでも避けて通る訳にもいくまい(?)。
 車の何がダメかといえば、交差点に入った際の進行方向がランダムという点である。じゃあどうするか、交差点のない一本道か回廊にすればいい。せっかくだから貨車も使って輸送手段の全部盛りにしてしまおう。これぞ三位一体! とかなり強引に貨物線をねじ込む。何度もヘアピンカーブしたり立体交差で豪快に跳ねたり、ちょっとしたアトラクションみたいだ。

 見た目が楽しそうなのはいいが、テストプレイしてみるとこれが難しい。そりゃ動く細かい障害物x5に貨車まで付いてきたら面倒でないはずがない。特に画面右のクランク道路を渡る箇所が、トラックとの距離感がつかみにくく事故りやすい。これは大丈夫なのか? 悩んだが修正案も思い付かなかったので(余分なスペースがない……)このまま出してみる。
 結果、予想に反してRaiding of the Dragonに次ぐ大好評をもらう。勝因は何なのだろう。レイアウト自体は比較的シンプルなのに手強いというのが受けたのか。工業団地っぽい画作りに成功したからか。ともかく好成績はもらえたのでヨシ! とする。


No.31「Lunatic Rush Hour」★★☆

「ルナティック・ラッシュアワー」
 引退詐欺前から温めていたネタとして、ループした一本道を軸に小分岐などを設けて肉付けするというのがあった。それに満を持して挑戦したのがこれである。
 題名のLunatic(ルナティック)は月のような……ではなく、狂気とか狂人といった意味。難易度ルナティックとかいうアレだ。ここでは言うまでもなく月面エリアとも掛けているが。

 そう、難易度ルナティックである。本作は過去最高難易度を念頭にこしらえたものだ。というのはウソで、結果的に最高難易度になっただけである。
 まぁ意図的に難しくしたのは確かだ。列車は今まで一度も成功作のない5本。ループ一本道の途中には2択の駅が計三ヶ所。しかも一ヶ所は卑怯なことに、列車が一度画面外へ消えた後、駅の直前で再出現するその場所にポイントが設けられている。消えた列車の色と順番を記憶し、それに沿って先読みでポイントを順次切り替えなければならないのだ。その点はDelivery to Remote Villagesでやりたかったことの再現とも言える。さらに途中で交差点を作り、ついでに貨車まで投入してしまう始末。

 で、気が付いたら恐ろしく煩雑なステージと化していた。頭の処理能力を苛烈にパンクさせに来る列車列車また列車と時々貨車! 後続がどんどん来るので止まって考える暇すらないが、交差点で他の列車や貨車と鉢合わせたら嫌でも停車せざるを得ない。
 1回だけは駅を間違えても最高評価を取れる時間設定にはしたが……せめて一ヶ所くらいは立体交差にしてあげてもよかったかも知れない。後は駅の色を2色に統一するとか……ただそれをやると画が地味過ぎて(実用面軽視のこだわり)……

 明らかな問題作だが、個人的にはこの全力でやってやった感が憎み切れなかったりする。ぜひ挑戦してブチ切れてみてほしい一作。
 ……などと気軽に言ってのけられるのは今だからこそで、公開当初はやはりというかDL数は散々だった。もっとも数日後に合格基準まで持ち直したのだが……普通は少し反省して、次作では自重のひとつもするだろう。私はあんまり自重しなかった。


No.32「Xmas Dream Party 2nd」★★★

「クリスマス・ドリームパーティーその2」
 もうちょっと真面目に考えたらどうだという題名。思い付かなかったのだ、仕方ないのだ。

 見るからに込み入ったこのステージ、レールをたどっていけば分かるが2つの独立したレイアウトで構成されている(それぞれに赤・青・黄駅が存在)。滅茶苦茶に入り混じった形で。企業努力(立体交差が5ヶ所!)により交差点は2ヶ所にまで削減してあるが、それでも構造の複雑さだけで充分難しいと思われる。
 なのでLunatic Rush Hourの反省もあり、今回は実験的に2種類の難易度を用意してみた。Easyは追加の列車が1本、Hardは2本でかつGrinch Train付き。サムネがどちらの難易度かは見ての通りである。Grinch Trainを完全封印するギミックは以前誰かのユーザー作品で見たような見なかったような覚えがあるが、思い出せず検索しても探し当てられなかった。
 ……なんで2作続けて難問ステージにしたかと言えば、複数のコースを同時進行というネタを思い付いちゃったから作っただけに過ぎない。難しいのは否定しないが、アイデアは通用するはずという自負はあった。
 
 結果はこれも大コケ。これはさすがにショックを受けた。Lunatic Rush Hourが受けなかったのは理解できるが、これはそこまで悪くなくない? 難しいけど面白くない? いやこれも後日DL数が一気に伸びて高評価になったので、今なら胸を張っておすすめできるのだが(ちなみにHardがDL数14、Easyが7。ユーザーの嗜好が分かる)。
 2作続けて不振となれば、普通はここで「ああまたやっちゃったなぁ、次はさすがに甘口のステージにしよう」となるだろう。私は「ああまたやっちゃったなぁ」止まりだった。


No.33「Santa Proxy Service」★★★

「サンタ代行サービス」
 山の中のサンタの家(に見立てた赤駅)でプレゼント(に見立てた客)を受け取った後トンネルを通って下山、ふもとで正しい届け先(駅)を選び、すぐさま山を駆け戻り……を繰り返すという内容である。
 左の街は線路がこんがらがっていて行き先の判別が困難、右の村は列車の衝突事故の恐れがあり注視が求められる。Delivery to Remote Villagesの正当後継作でもあり、2分割されたレイアウトの同時攻略という点ではA Day in Metropolisや、先のXmas Dream Party 2ndにも通ずるところがある。
 元々このステージはテーマを雪国エリアに設定していたが、ふと思いつきクリスマスエリアに変えてみたらこれがポップで楽しそうな雰囲気になった。大きな街も寒村も今夜だけはクリスマス色! みたいな。

 問題はのっけから列車4本というトンデモぶりだろう。なんでまたこんな無茶振りをしたのか。理由は本数が少ないとただの簡単な三択ゲームの繰り返しにしかならないし、あと冒頭で次々サンタの家から発進していく列車カッコよくない? という自分本位なものであった。自分は曲げられないのだ……
 ただ全く配慮をしなかった訳ではない。実は赤駅を出て入るトンネルの中に、もう1件ずつ赤駅が設けられている。元々の意図は見栄えを狙った客の水増し(列車4本に駅2件では客の供給が少な過ぎてスコアが全然増えないのだ)だが、駅での停車時間が余計に生じることで列車の発車ペースが抑制され、より多くの時間的な余裕を与えられる側面もあるのだ。

 そもそも大量の列車を捌くステージを3回連続でお出しするのがどうなの、という意見もあろう。これは単に、他にネタがなかったからの一言に尽きる。ここまでの制作活動でも常時たくさんの案を確保していたことはあまりなく、ステージを実際に作るのと同時進行でネタ出しもしていくのが基本だったのだが、ついにアイデアも出なくなってきた。その結果が列車ラッシュラッシュという次第である。
 まぁ今作はようやく評価が上向き、同じ頃にLunatic Rush HourやXmas Dream Party 2ndもDL数が増加。プライドが首の皮一枚で繋がったのだった。


No.34「Sleepy Winter Plateau」★☆☆

「眠れる冬の高原」
 さぁネタ切れだ。だが私にはまだ立ち止まれない理由があった。それは全11エリア全てのステージを作ること。実は制作再開後も改めてこの目標を掲げていた。で、雪国エリアだけがまだ残っている。
 困った時は他のユーザー作成ステージを遊んでネタを探す。……そう言えば画面外へ一時離脱するルートを使った迷路はまだやってなかったか? と気付き、実践することにする。雪の森はもうやった、山もやった、町もやった……なら雪原にしよう。冬枯れした一面の銀世界だ。と決まったところで作り始める。

 ……作ってみたらずいぶんレールだらけになってしまった。迷路だからある程度は仕方ないのだが、それにしたって全然Sleepyじゃない。というか今見たら無駄な路線が多い。道標もほとんど要らんわこれ、プレイヤーに過保護過ぎる。好評は得られたし駄作とまでは言わないものの、ちょっと完成度が低いと言わざるを得ない。

執筆ついでで手直ししたところ、これだけ路線を省略できた。
少しは雪原っぽくなったか? 本当はもう少しレールを減らしたい。

No.35「I Love Conduct This! World」★★★

「Conduct DELUXE!大好き」
 真・最終作品。いよいよ本当にネタが尽きたので、ここらで円満退職とする。前回卒業制作を謳ってしまった(しかも復帰した)ので、今回は無難に匂わせる程度のタイトルにした。
 今回も全エリアの素材を余すことなく使っている。このサムネでは全部は映っていないが、本編と違いユーザー作品は画面をドラッグして動かすことができるので隅々まで見てもらえると嬉しい。

 Graduation Workがデザイン特化でゲーム性は二の次(シンプルと言えば聞こえはいい)だったのに対し、今作はステージ自体もガチ目になっている。ポイントは計8ヶ所、油断するとすぐ列車があらぬ方向へ行ってしまう。Central Parkが懐かしいと思った人は……さすがにいないと思うが。見栄えとゲーム性を両立できたことで、有終の美を飾るにふさわしい作品になったと思う。


 以上で合計およそ2ヶ月に及んだ、自作ステージ作りはお開きとなる。Conduct DELUXE!をDLする人がいたら、これらも1回くらい遊んでもらえたら幸いです。駄作を除いても30作もあれば退屈はしないはず。

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