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うつ病になったり、寛解したり。傷病手当のもらいかた。

最初にうつ病になったのはツアーコンダクターを休憩して外資系の会社に勤めた時のこと。固定給が決まっていて、それに売上に応じてインセンティブが入るという仕組みのよくある営業系。

リーマンショックの時にみんな数字が取れなくなって、売上ががっくり下がり、アメリカの本社から魔女みたいな上司がやってきた。

まず、正社員という考え方が甘えている、固定給をもらうのが甘えている、と大暴れされ一旦サインしている契約書を書き直し、基本給が20%下げられ、現在試用期間の人は一生正社員にしないということになった。元々は試用期間が1年間でその間の成績で正社員になるという契約だった。

20人くらいいた同僚、先輩、後輩、みんな一人ずつ個室に呼ばれアメリカからやってきた偉い人3人に囲まれて新しくなった契約書にサインするまで部屋を出さないという恐ろしいイベントが開催された。

来月、正社員になれると思っていた子供のいる男性はロッカーの前で泣いていた。

「売ればコミッションもらえるんだから、別にいいじゃん」という人は気軽にサインしていった。

私の番になって、まぶたが青くて肌がかさついた日本人なのかアメリカ人なのか魔女なのか人間なのかよくわからない恐ろしいおばさん3人に囲まれてぎゅうぎゅうの部屋に入れられた。

「録音します」と言ってレコーダーをテーブルの上に出したら魔女が「え?!なに?なんなの。だめよ、ねー」とこそこそ話して新しい契約書をぎゅーっと差し出して「サインしてちょうだいね。正社員で一生会社にいられるって日本だけなのよ。甘えてると思わない?おかしいでしょ?契約形態かえて、そのかわりコミッションは増えるのよ。あなたにとっていいことなの」と魔女が囁く。

「正社員が甘えてるなら、なぜ、正社員で募集したのですか?(私は既に試用期間を終えて正社員になっていた)それを論じたり、検討するのは日本に支社を出す時ではないのでは?また、日本の労基でお給料は一度に20%も下げることは禁止されてるんですけど、お調べになってないのですか?」

「あなた、後でいいわ。サインしないのね。また後日話しましょう」と部屋を出された。

「一緒に戦いましょう!」と言ってた後輩は魔女に懐柔されプロモーションしてもらって私を追い出す側につき、私は会社の利益に反する行いをした云々で会社の半径1.6キロ以内に入ってはいけないと人事から通告を受け、振り込まれたお給料は20%削られたものになっていた。

出社できないまま、弁護士を雇い一年近く話し合いをして示談金?のようなものをもらって結局私は会社を辞めることになったのだけれどその頃にはうつ病になっていたようで。

試用期間中だった人が辞めさせられていったのもショックだったし、一緒に戦いましょうと言っていた人が魔女の下請けみたいなのになって、いいポジションについたのもショックだった。

労基にも何度か行ったけどなんでなのかな?なんにもしてくれなかったんだよね。

眠れなくなって、耳鳴りが24時間鳴り響いて、起き上がれない、食べられないなんてことが続いてその時は寝るためだけに5種類くらいの薬を飲んだけどぜんぜん眠れなくて「頭がさめざめとする」夜を1年以上過ごした。


傷病手当は1年以上社会保険に加入していて、病気になって働けなくなると保険組合からお給料の8割くらいだったかな?がもらえる制度でたしか18ヶ月くらいもらえたと思う。

毎月、ドクターに診断書のような傷病手当の紙を書いてもらってそれを郵便で保険組合に出すと口座にお金が振り込まれる仕組み。

18ヶ月で終了して、ドクターが「働けますよ」っていうのを書いてくれたらそれを持って今度はハローワークに行くとそこから失業保険がもらえる。

すごくお得な制度だけれどうつ病は苦しいし私の場合は、死にたい気持ちが常にあったし、本は読めない、テレビも見られない、ごはんも作れない。寝てるだけなのに、といっても横になってるだけなのに、身体中が痛いっていうのがずっと続いて本当に苦しかった。

そして、うつ病は癖になるのか、完治しないのか。

その後、私はまたうつ病で仕事を辞める。仕事を辞めてうつ病になる。っていうぐるぐるサイクルに突入していくのでした。

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