ああいえば

こう言うような、自分は元来、気が弱くはないタイプだと思っていた。そしてそれは間違っていなかったと思う。

ただし、そのタイプの人間が、自分よりも「ああ言えばこう言う」口喧嘩で人を負かす要素が強い人間と日々当たっていたらどうなるか。

それは黙らざるを得なくなると思う。


もともとああ言えばこう言う人間というのは、なにごとに対しても自分の意見がしっかりあるタイプだと思う。筋が通っているかは置いておいたとして。

ただ、口喧嘩というのはどちらかが負けなければ終われない。お互い年齢だけなら大人なので派手に口論をしているわけではないのだが、私はこの何ヶ月かで余計なことは言わない、早々に折れる、何か苦言を吐かれれば「すみません。今後気をつけます」とさっさと言う技術を身につけた。


もちろん相手の意見に納得はしていない。

だがここで折れておかないと、もっと嫌味をふっかけられて自分がより傷つく可能性があるのだ。重ね重ね嫌なことを言われるよりは、さっさと折れて全く気持ちのこもらない「すみません」だけをSlackで送りつけたほうが精神的にずいぶん楽だった。


それから、人は嫌なことを言われる日が続くと、大して嫌味でない軽い注意でもすぐに泣きたくなるほど辛くなる、と、私は思う。自分の場合はそうだった。誰が見返してもなぜ泣くのか分からないような文でも、彼氏の前でその文が送られてきた時には泣き出すほどだった。


そんなこんなで嫌味を言われる夢を見たりもしてもう耐えきれなくなり、周りに相談したところどうやら周りもその状況を察していたようだった。これから就活というところで、この精神状態はまずい。そこで、問題の人の上の人に相談することにした。


その上の人はすぐに対応してくれた。ただ、当人は改めますというだけで謝罪の言葉すらもなかったため、姿が見えることすらも嫌になり、一週間ほど家にこもっていた時期も何回かあった。9月10月はあまりにつらかったのでネトフリで何を思ったか銀魂を選んで(たしかゼブラックで何巻分かが無料で漫画を少し読んでいたからだと思う)観始めた。

銀魂のしょうもない笑いに救われて、一日7話ずつくらい夜遅くまで見ていた。その時期は銀魂でしか笑える瞬間がなかった。これにはほんとうに助けられた。銀魂がなかったら、家族に心配をかけるわけにもいかず、特定の友達に頼りきりになるわけにもいかず、仕事しまくりで電話もままならない彼氏にも頼れず、一人の時にはなぜか泣けずでほんとうにどうしようもならなかった。



もちろん、このストレスを切り抜けて無事就職できたとして、こういう上司が上につく可能性はもちろんある。そのときこういうスミマセン連呼の対応をしていたらきっと損をするだろう(その上司につかれた時点ですでに損だといえるのだが)。

ただ、その時のことを考えて、こういうことがあって良かったと思えるかというと、やっぱりなかった方が良かったと思う。人生さほど生きていないけれど、つらいことなどなければないほどいいだろう。と私は思っている。


ただ、接続詞がかぶるが、つらいことがあったときにそのストレスをなんとか人以外に頼る形で軽くする方法が見つかったのはよかったと思う。次も銀魂というわけにはいかないのかもしれないけれど。


それでも、あのつらい時期に銀魂に出会えてほんとうによかった。来月公開の映画が楽しみでもあるが、それ以上に終わってしまうことがものすごく寂しい。


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