左手のフォーム5
年が明けて緊急事態宣言も出ましたが、このnoteは世間とは無関係ですね。無関係な割には1週間空けてしまいましたが。
ということで左手のフォームその5です。今回は弦移動、これまで通りの表現でいえば縦移動です。色々な方法論があるかとは思いますが、参考になりましたら幸いです。
・ ダメな例
最初に弦移動のNG例を紹介しますが、折角なのでぜひ一緒に実践してみてください(笑)。前回のnoteを踏襲してポジションは4~6フレットで説明します。まずは3弦4フレットを人差し指で、5フレットを中指で、6フレットを(薬指でサポートしつつ)小指で押さえてください。親指は3弦を押さえるのに一番楽な位置でOKです。各指はテニスボールを握っているかのように(逆関節にならずに)柔らかく弧を描きつつ、フレットと平行に並ぶのが理想的で美しいフォームです。あ、ここまではNG例ではないです(笑)。
次に押さえる弦を1弦に移動するのですが(ここからがNG例)、この際に手首や手のひら、親指の位置はまったく変えずに指の付け根や指先だけを動かして押さえる弦を3弦から1弦に変更してください。1弦を押さえる指先はすべて窮屈に立った状態になるかと思います。この状態で1弦を弾いてみてください。
どうですか?
この状態では満足に弦を押さえられないのでビビりやすいし、フィンガリングの自由度も下がりますよね。でも1番問題なのはただでさえ音が細くなりがちな高音弦の音色が、より頼りなく細い音色になってしまうことだと思うのです。
・ 自分のフォームをチェックしよう
改めて1弦を押さえるときの自分のフォームをチェックしてみてください。上述のNG例ほどではないにしても、手のひらでネックを支えて1弦を押さえていたり、指をヘッド側に寝かせて指先ではなく指の側面で弦を押さえていたりしませんか?
いずれにしても押さえる弦によってフォームが変わってしまうと、フレーズの安定感も音色の均一さも保ちにくくなるかと思います。案外、このようなフォームになってしまっている人が多いのでは?
・ 肘を引く
というわけで、筆者が推奨する弦移動のフォーム、というか実践例を紹介します。まずは肩の力を抜いてリラックスした体勢で楽器を構え、3弦を美しく押さえるフォームに戻りましょう。
① 3弦を押さえている状態からフォームを保ったまますべての指先を弦から数ミリ離します。
② 親指と肩を支点にして肘を後ろに引きます。言い換えると、親指の位置と肩の高さは変えずに手首の内側を上にして肘を引く、小さくガッツポーズをするような動きです。こうすると必然的に手首の内側が上がり、手のひらが上を向くと同時に指先の位置が3弦から1弦の方へと下がるかと思います。肘を引く方向は人差し指などの指先がフレットに沿って真っ直ぐ引き下げられる方向です。ネックに対して直角方向に引くことになるので、肘は少しだけ身体から離れつつ後方へ引くという感じかと思います。
③ このような感じで肘を引いて指先が1弦の真上に来たら1弦を押さえます。1弦を押さえている指先は見えづらくなるかと思いますが、覗き込んで姿勢が崩れるのはあまり好ましくないです。1弦を押さえている指先は見えなくて普通だと思います。こうすると3弦を押さえるときと同じ部分、つまり指の腹(爪の真裏)で無理なく1弦を押さえることができますよね?
④ この状態で1弦を弾いてみてください。3弦を弾いたときの音色に近い質感が出せると思います。
因みに肘を引かずに手首を上げるだけでも指先は下がりますが、指先の自由度が下がるので各指を動かしにくく弾きにくいはずです。
当然、4弦を弾くときは3弦を押さえているときよりも肘を前方に押し出して指先を送り出すようなフォームになります。手首をかなり内側に曲げることになりますが、あまりにも窮屈になる場合は楽器を構えたときのネックの高さを見直すべく、ヘッド側を上げましょう。そういう意味では立奏で楽器を低めに構えるほど手首に負担が掛かりやすいフォームではありますね。
・ 何のためのフォームか?
「肘を引く」という表現はかえって分かりにくかったかもしれませんが、最も重要なのはどの弦でもどのポジションでも同じように押さえ、音色を均一に保つことなのだと思います。弦にあたる場所を変えない、筆者の場合は指の腹で弦を押さえるということですが、これを重視すると演奏している本人からは弾く弦によってフォームが変わっているように見えるかもしれません。
また、上記を徹すると必然的に無駄なく美しいフィンガリング・フォームに落ち着くのだと思います。窮屈な姿勢やハチャメチャなフォームでまともな音を出している人はあまり見たことがないので(笑)。
・ 美しいフォームで演奏するためには?
指の長さや腕の長さなどは人それぞれなので多少は体格に合わせたカスタマイズも必要かと思いますが、繰り返しの鍛錬や基礎練習を経なければ身につかないことでもあると思います。最初は上手に弦を押さえられなくても繰り返し練習することで弦を押さえるために必要な筋力がつき、骨格が変わるという側面もあるでしょう。
練習の過程で身体のどこかに痛みが生じることもあるかもしれませんが、あまりにも痛むようであれば姿勢やフォームに問題があるかもしれません。腱鞘炎などになってしまっては本末転倒なので無理はしないようにしましょう。フィンガリングやフォームの鍛錬は鏡を見たり自分の演奏を録音録画したりして、客観的に判断するのがベストです。間違ったフォームや理解のまま練習を重ねるのが一番厄介です。
ということで、フォームの改善はもちろん、コード理論やフレーズ作成のノウハウなど、初心者の方からプロ志向の方まで幅広く対応できますので、レッスンの御用命お待ちしております(笑)。
左手のフォーム、次回も続きます。
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