クリームパンと食パン

クリームパンと食パン

白いカーテンが揺れる。
褐色の私の肌が鏡に映る。
まだ日は登っていない。
薄暗い部屋の中の何も音がしない時間。

「朝ごはんはクリームパンにしよう。」
昨日近所のパン屋さんにいって買ってきた、クリームパン。
大きくて甘いクリームがたっぷり入っている。
甘いものに目がないわたしは、パン屋でパンを選ぶときも
ついついチョココルネとかシナモンロールとか甘い菓子パンに目がいってしまう。

「へぇ、いいね。こういうの、作れるんだ。」
そういったのは恋人だった。
リモートワークになって時間ができた。とかで、
朝早く起きてパンを作っている。
いつかやってみたかったから。
というのが理由らしいけど。
パンを作るような人だったのか。と改めて彼の魅力を見つけたような気がした。

「いいにおいがするんだよ。それに膨らむのが楽しいんだ。」
無邪気な顔して笑う恋人の横顔をみていると、
そっかぁ。よかったね。
というわたしがいる。

「このクリームパンは生地が少しサクサクだね。よし、今度作ってみよう。」
「作れるの?」
「やってみるよ。いまのところ、食パンしか作ったことないけどさ。」
「なんでもできると思うよ。」

食パンもトーストにしたらおいしいだろう。
彼が作った食パンにもやっぱりはちみつをかけて、
甘くしたパンを食べてみたいと思う私がいる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?