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何がどう報われるか、分からないな。人生の中では

レッスンが終わった後、「お上手ですね」「今度一緒に練習しませんか?」「強いですね」などと声をかけてくれた。

こんな日が来るなんて思ってもみなかったので、戸惑ったのと同時に恥ずかしさと少しの嬉しさというか、こそばゆさを感じた。

中学時代からソフトテニス(当時は軟式テニスと言っていた)が大好きで、高校まで6年間、本当にテニス一筋だった。高校3年に上がる時、進学クラスへの移行を進められたが、テニスをするために断った。

好きで好きで仕方がなかった。高校の目標はインターハイはもちろん国体の選手にもなりたくて365日中2、3日しか休みがなくても、何も苦痛ではなかったし、夢中になってやっていた。

高校は常に県代表を争っていて、個人でも誰もインターハイに行かない年はないくらいレベルが高く、そこで2年の秋からキャプテンを務めることになった。

そこから何かと上手くいかなかったかな。3年の春前に体を壊し、キャプテンを降りて夏の県インハイ予選であっけなく負けた。信じられなかった。これまで6年間何をしてきたんだろう。

その後、大学に言って大学の同好会で割と真剣にテニスをして、個人で全国2位になったが、真剣度は部活とは全く違く、結局高校時代の挫折は大きく胸に残り続けてた。それは試合での度胸のなさや、チームをまとめられなかったことや、テニスで勝てなかったこと、諸々が合わさり自分の価値が地の底まで落ちどうにかはい上がるまで泥のようにもがいたが、どうにもなることではない。時間は戻らない。

社会人になり、結婚をして子供を2人もうけた。男の子で父親と妹が硬式のテニスをしていたことからテニスを始めるようになった。ホッとした。軟式をやるのを冷静に見てられるきがしなかったから。そんな彼らが新しいコーチに出会い、ドンドン上達するのを見て、なんと硬式のレッスンをスタートしてしまった。自分でも信じられないというか、もう一度テニスをするんだって、でも、やるなら楽しもう。と。

そしたら、すごく楽しくて。勝たなきゃいけないプレッシャーは全くない。負けてもいい。今度は楽しんでいいんだ!それが嬉しくて嬉しくて、また夢中でやり始めて。そんなある日、レッスンが終わった後、何人かの方が声をかけてくれた。

「お上手ですね」「強いですね」

ハッとした、と言うか、ビックリしてただ恐縮するしかない感じだった。そんなこと言ってもらえるとも思わなかったら。

小さな小さな町の小さなテニスレッスンで、「みんなすごいなぁ。大人になっても続けてて上手な人たくさんいるんだなぁ」と思っていて、私もまた上手になりたいな。なんて思っていた時に褒められて、「え?」って戸惑ったけど、なんだか、高校時代の私の頑張りが少し報われた気がしてそれが嬉しかったのかな。

これがこの先どう繋がっていくのか。全然全く分からないけど、人生というのは脈々と続いていて、どんなに苦しくてもどん底でも、その先に喜びに変わることもあるって。そんな小さなことからじんわりと嬉しくなって感じた一コマ。

褒めてくれてありがとう。そんな風に言ってもらえて本当に嬉しいんです。

こんな風にして、過去の砂漠のような思いに潤いを与えて、素敵な場所にできるのかも知れない。そんな風に思った今日のできごとでした。

皆さん、本当にありがとうございました。

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