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直線的でないもの、直線的でない見方

 全体は大きくないけれど、その中に全体の大きさからは考えられないような距離が含まれていることがある。松の木のうねり、内臓の腸、楽器のホルン、茶室までの入り口、迷路。・・・今挙げたものだけでも性質や特徴は多様だが、あえて共通点をあげるとすれば「直線でない」ということだろう。

日常の中に距離を持つ方法として、物理的に遠いものとの接点(例えば月を観察するなど)を持つことや旅行逃げかけること以外にも、小さなものの中に距離を発見するというやり方が考えられる。レイチェル・カーソンのセンスオブワンダーという本は、子供の心で自然と向き合うことの素晴らしさを思い出させてくれる。認識論として、人は大人になって名前を知ってしまうと、その個別性や細部に気付き感動することが難しくなってしまう。名前を知らないだけでなく、既に名前を知っているものに対してどこまでその個別せいと向き合えるか、それによって、対象と自分との間に生まれるストーリーとしての距離の描かれ方は大きく異なってくる。目の前の対象を曲線的に、もしくは九十九折りに眺めてみることは、距離の持ち方の一つの方法だと思う。




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