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最後まで美しく安全に灯す~芯の選び方が大切

そのキャンドルは、灯すとどんな風に変化していきますか?

キャンドルを灯したことのある方でしたらご経験があるかもしれませんが、市販の物でもハンドメイドのものでも、
とてもステキなキャンドルなのに
実際に火を灯してみると、炎が安定しない、ススが出る、溶けたロウが流れ出す、芯が意外と早く燃えつきてしまう…etc.で、ちょっと残念な思いをすることがあります。

※中には、あえて溶けたロウが周囲に流れ出すように設計して作られたキャンドルなどもあります。溶けだしたロウが思いがけない造形美を生み、かえってお洒落だったり、雰囲気のあるオブジェのようになるので、それはそれでアリ、なのですが、ここでは、ごく基本的なキャンドルのことを書いています※

キャンドルを作っておられる方にとっては当然のことと思いますが、
必ず(特に作品を販売する場合には)試作品やサンプルのキャンドルに火を灯して、どのように燃えていくか実験をしていることでしょう。
何故 実験をするかというと、キャンドルの芯には、太さや編み方、材質にも様々な種類があり、どんなキャンドルを作るかによって選んでいるからなのです。

キャンドルの形・大きさと、芯の太さのバランスが肝心

ここで、私が作った蜜蝋キャンドルを灯した写真を例にして見てみましょう。

燃え方が異なる2つの蜜蝋キャンドル

左のものは、右に比べて炎が小さく、芯の周りに溶けたロウがたくさん溜まっています。若干 色味は違いますが、同じサイズのキューブ型です。さらに言えば、炎のサイズが違うので、明るさにも違いが出ていますね。
なぜ、燃え方・溶け方がちがうのでしょうか。

芯の太さと編み方が異なります

この2枚目の写真の通り、芯が違うのです。
(12×3などという数字は、芯のサイズや編み方等の種類を表します。他にも様々な芯があるので、興味をお持ちの方は調べてみてくださいね。)
芯を吟味する大切さと、芯が違うとこんなに差が出るということがお分かりになるでしょう。
左の芯でも、絶対に良くない!とは言えませんが、あかりとして美しく灯っているのは右のキャンドルではないかなと思います。

蝋という材料を大切に、なるべく灯しきることも大切

蜜蝋は、ミツバチの巣を精製してできるとても貴重なものですし、パラフィンワックスにしてもソイワックスにしても、無限に手に入るものではありません。
ひとつのキャンドルを灯し終えた時、残るロウをできるだけ少なくしたり、なるべくロウ以外の不純物や飾りが入らないようにする or  途中で取り外して、再利用できるように残せたらと私は考えます。そのために、芯の選び方がポイントのひとつになります。
キャンドルは、本当に様々な形を作ることができてしまうがゆえに、何を大切に考えて作るかが重要になってくると思います。

試験点灯の重要性~いろいろ試してみましょう!

さて、次の写真は、ソイ(大豆)ワックスに木芯を立てた場合の点灯実験のひとつを例にします。
同じ太さの芯でキャンドルの直径を変えたり、芯も直径も同じでも使うワックスのブレンドを変えてみたり、色々試してみると面白いし、勉強になります。
何をどのようにブレンドしたか、等をここでは細かくお伝えしませんが、これくらい違いが出てくるという様子をご覧ください。

炎の大きさが違いますね…
様々な違いが・・・

60分まで経過すると、大きく違いが出てきたのが分かりますね。右下のは、ロウが溢れて火が消えてしまいました。左下のも、そろそろ火が消えそうな感じです。

…と、このように、点火してすぐと、ある程度時間が経過した時では違いが大きくなります。
ロウの融点によっては、暑い時期と寒い時期で燃えるスピードが若干異なるかもしれませんし、1回に1時間位灯した場合と、続けて何時間も灯した場合では、同じキャンドルでも減り方が違ったりもします。
ガラス容器などに流し込んで作るのであれば、ロウが流れ出して溢れる心配はしなくても良いですね。でも、芯がロウを吸い上げて燃えるスピードと、ロウが溶けるスピードのバランスをみて、器の耐熱性などを確認する必要があります。
うまく外側を残して、ランタンのように灯していくキャンドルもありますね。最近は、「キャンドルを育てる」という言葉もよく聞きます。

というわけで、話が少し逸れましたが、
キャンドルは一見 ロウの真ん中に芯糸が立っているシンプルなものに見えて、その芯の選び方ひとつ取っても様々な選択肢があり、さらに灯し方や芯切りなどの手入れでも違いが出てくるので、
あらためて奥深さを感じているこの頃なのです。

( 2023年1月29日 )



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