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一度聴いたら逃げられない。クセの強い韓国の病みつきサウンド

何度も聴いてるうちになぜか好きになっていく。
一度ハマったら抜けられない。

普段からよく音楽を聴く人であれば、一度は経験したことがあるはず。

思い返してみれば、音楽以外でもよくあることかもしれませんね。

そこまで好みでなかった俳優さんが、CMやドラマ、映画の中で何度も繰り返し見るうちに魅力的になっていく。

難解で何が言いたいかよくわからない映画。
1度目はなんのこっちゃ...と思いつつ、何となく心に残るしこり。

気になって視聴後にネットに転がっている解説を2、3個読んでから見返すと、1回目では分からなかった新たな発見があって面白く感じてくる。ストーリーをある程度予測できるからこそ、画面上の細かい描写に目を向ける余裕が出てくるのかもしれません。

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私は普段、主にWEB媒体を通して「韓国のインディーズ音楽」を紹介しています。多くの方が韓国の音楽として真っ先にイメージされるようなダンスアイドルグループによるK-POPではなく、インディペンデントな姿勢を見せて活動を行うアーティスト(プロ・アマチュア関係なし)をインディーズアーティストとカテゴライズして紹介中です。

当たり前ですが、実は韓国にも日本のようにロックバンドやラッパー、シンガーソングライターがたくさんいます。(これだけK-POPアイドルが流行っていて、韓国カルチャーに対する興味関心も高まっている中で、その他ジャンルのアーティストに目を向けないのは勿体なさすぎる...!!!)

現地の音楽を自分なりにピックアップして韓国インディーズとして紹介する立場になってからずっと悩んでいるのが、どこまでが日本人にも馴染みがあって受け入れてもらえて、どこまでが前衛的で不慣れで「聴きづらい」のかの境界線

いくら「かっこいいんだよ〜!!」と友人に勧めても、自分が魅力的に思う韓国的なエッセンスを受け入れてもらえなかったり、「イマイチ私には響かなかったわ〜」と言われたりすることが多々ありました。

そんな経緯から、普段はできるだけ、愛好家仲間や編集者の方と会話しながら、日本の大衆音楽と感覚が近かったり、日本人でも抵抗なく聴けそうなスタイルのアーティストや楽曲を紹介するように意識しています。

が..!!!

今回は  #スキな3曲を熱く語る  企画ということで、せっかくなので、少々クセの強い病みつきソングについて語りたいと思います。

大体の人は、1回聴いて「うっ...ナニコレ...」と首を傾げる。

そこからスルーせずに一歩踏みとどまって、冒頭に申し上げた俳優のように、映画のように、我慢強く聴いて、感じてみてほしいです。

10回、20回とリピートして、
ようやくしっくりくる音楽。

自分が好きだと感じる音楽の幅が、実はここまで広いんだということを気づかせてくれた楽曲です。

念のため補足をしておくと、韓国現地ではファンの多い愛されアーティストですので、この機会にどうかお見知り置きを!

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1.「Tiger is coming」 LEENALCHI(イ・ナルチ)

一発目から拒否反応は起きてないですか...?
大丈夫ですか...?(心配)

日本人の私たちには馴染みのない独特の発声の正体は、韓国の伝統的民族芸能である「パンソリ」です。

唱い手(ソリクン)と鼓手(コス)の二人だけで綴られる伝統芸能パンソリ。楽譜がなく、人の口から口へ歌い継がれてきた、口承文芸のひとつです。パンソリは300年の歴史を持ち、民衆の歓喜や鬱憤、悲哀を反映して発展したため、雑草のようなたくましい生命力をもった芸能であるといわれています。18世紀末に原型ができた頃には祭りや市の日に村の広場で、パンノルムと呼ばれる大道芸の一つとして演じられるものでした。
引用)https://www.konest.com/contents/korean_life_detail.html?id=4498

そんな、伝統口承文芸を現代のポップスとして再解釈するオルタナティブ・ポップ・バンド、LEENALCHI(イ・ナルチ)。

直近ではすっかり国内の大型フェスの常連となっている他、海外のフェスに招待されたりと国内外で注目が高まっています。

ライブ映像を観ると、彼らの人気が理由がわかるはず。

最初は歌声に圧倒され気が取られるのですが、よく聴いてみるとバックではアップテンポなダンスミュージックになっていて、リズム感がとっても心地よくいつの間にか身体が動き出している...!これは、クラブ空間で流したら、みんなクレイジーに踊り狂うに違いない...

2020年には、韓国観光公社のPR映像に楽曲が起用されています。奇抜なファンションとダンスと合わせて、韓国の風景を堪能できます。

まさに「新旧の融合」という、
類を見ない新しいスタイル。

伝統音楽をアップデートし、
ここまでかっこよくできるのはすごい..!! 


2.「S G T A P E - 01」 Silica Gel(シリカゲル)

これは音楽と言えるのか...?と疑ってしまう冒頭の不吉な音の群れ。

....から徐々に癒しの空間へと解放されていく。

と思いきや、曲は急展開を迎えてロックに様変わりしたと思えば、今後はフォークソングの世界へ....すごく実験的。

「これは本物のテープではありません。」

曲紹介のコメントには、この1フレーズのみ。

これは何を言いたいのか、表現したいのか。

様々な音楽ジャンル・感情を行き来するハイブリッドなバンド「Silica Gel」が詰まった1曲だな、と思いつつも、普段の楽曲とは様相が異なるため、既存のファンも頭がこんがらがってしまったのでは...?

24分33秒という超大作になっています。
頭をフル回転させながら食らいつきたいところ。

Silica Gelは、2015年8月にデビューを果たし、2017年に韓国を代表する音楽賞「韓国大衆音楽賞」で「今年の新人賞」を受賞。期待の新人としてファンを獲得していくも、2018年〜約2年間、メンバーの兵役のため一時活動休止。メンバー全員が作曲に参加することで、サイケデリック、ポスト・ロック、ドリーム・ポップ、ヒップホップまで、実に多彩な音楽を奏でるバンドです。

2020年8月に「Kyo181」でカムバック。軍隊の期間を経て、精神的にも肉体的にも進化を遂げたであろうメンバーの今後に注目です!


3.「TOM:貪」 MOONSUN(ムンソン)

一見味気ない無機質でシンプルな電子音。

だからこそ奇妙に、
幻想的に浮かび上がる韓国語特有の語感。

「あなたはちょっと可愛い方でしょ。あなたのような子は困るの。」

お酒を少し呑んで力の抜けてしまったようなビートと
誘惑するような歌詞に吸い込まれていく。

洗練された歌声の背景には、MOONSUNのグラフィックデザイナーとしての彼女のアイデンティティや、文学・歴史を愛する親の影響を感じます。

梨泰院のカルチャースペース「CITY CAMERA」で撮影されたというMVの世界観にも注目です。

私の大好きなレトロな感性が詰まっている...!!

MOONSUNは、韓国のシンガーソングライター。2018年には、同じくインディアーティストのミンスと一緒にプロジェクトグループmoiを結成し、グループとしても楽曲をリリースしています。

子供にかえったかのように、延々と触れ続けたくなる
中毒性の高い音楽とアニメーション。

何かに集中したい時、心を無にしたい時におすすめです。

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皆さま、慣れない韓国旅、お疲れ様でした!

はい、こちらはお口直し。自作のカフェソング プレイリストです。
マシッケ トゥセヨ〜!


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