プリンスエドワード島便り (新聞掲載分4本の記事）

本

2014年、熊本日日新聞に連載していた「プリンスエドワード島便り」という記事４本（春夏秋冬）を少し修正加筆しました。

11月に入りプリンスエドワード島は急に静かになった。夏をおしゃれに着飾った女性に例えるならば、１１月～４月のオフシーズンは普段着ですっぴんの姿だ。飾らない普段の様子が見える。

プリンスエドワード島では９月に入り学校の新学年が始まった。まだしばらくは観光シーズンだが、子どもたちが学校にもどり、家族連れが少なくなったので街が少し静かになった。日差しは相変わらず強いものの夕方になると涼しく、雨になると寒いくらいだ。

初夏は私が一番好きな季節だ。長く雪をかぶって見えなかった大地が顔を出し、ジャガイモや穀類の作付けのために耕されると、島の赤土はますます赤く見え、レンゲやルピナスなどの花の色に映えて、まるで夢の世界のようになる。

「赤毛のアン」を読んだ方なら、一度はその物語の舞台であるプリンスエドワード島を訪れてみたいと思われるのではないだろうか。私もその一人で、子どもの頃に読んだアンの島に憧れ、さらに写真家・吉村和敏さんの春夏秋冬の美しい写真に魅せられこの島にやってきた。

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