【おはなし】めしくわせたいぞう

めしくわせたいぞうは､絵の中に住む住人です。
リナちゃんのママが描いてくれました。
リナちゃんは､ママとふたり暮らし。
毎日のお昼ごはんを、何よりの楽しみにしています。
「今日はね、豚肉食べたよ～」
リナちゃんは､毎晩、めしくわせたいぞうに､その日のお昼ごはんを報告するのでした。

リナちゃんは､夕ごはんは､ちょっぴりしか食べません。
「お腹空いてないから～」
そう言ってニッコリ笑います。

○○○○○○○○○○○○○
(食わしてやりてえな・・・)
めしくわせたいぞうは思いました。
もうすぐ夏休み。
秋になると、リナちゃんは､ひとまわり細くなるのです。
(食わしてやりてえな・・・)
めしくわせたいぞうは､願いました。
(神さま、俺っち、ホンモノのご飯に生まれ変わりたいや)

○○○○○○○○○○○○○
翌朝､めしくわせたいぞうは､消えていました。
代わりに、ちゃぶ台の上には､白ご飯がほかほかと湯気をたてていました。

リナちゃんと､ママは､ごはんをお腹いっぱい食べました。

どこかで、星が流れて消えていきました。

めしくわせたいぞうが､何処へいったのか、それは誰も知りません。

(おしまい)