ホロスコープからみるカント(2)──他者の尊重と水瓶座

前回はいかにカントの思想が山羊座っぽいかという話をした後、でも山羊座一辺倒ではなくて、むしろ水瓶座に通じているという指摘をした。どこが水瓶座・天王星っぽいかという話をさらにこの記事では展開する。


2.1.土星(法律)より優越するものとしての尊厳と人権

カント哲学は尊厳のはしりとも言われている。カントは「他者を尊重せよ、他者を道具として使ってはならない」といっているので、これを人間みんなが守らなければならないルールとして解釈すると、「みんな尊厳ある存在である」といえるわけだ(雑)。
水瓶座が重視するのは、他者、しかも他者全員。自分も他者と等価。だから、自分だけルールを守らなくてもいいとか、逆に自分だけめちゃくちゃ守らないといけないとか、そういう発想はない。カントのルールはいつでもどこでも守るべき原理があって、それらが人々によって守られるときに、人々は平和に生きられるんだよ、という。
このルールは現在では「人権」としても知られている。世界人権宣言や条約として定められたり、各国の憲法において定められたりしているが、ここで重要なのは、これらは全部法律よりも上位の存在として規定されていること。憲法は基本国家権力(土星だね)を縛って、人々を虐げたりしないようにするためのものだし、条約という点でも、国家の間で結ばれるという点では土星より上なのだ。したがって、めちゃくちゃ単純に解釈すると、人権は少なくともトランスサタニアンに近い存在ということになる。

2.2.人々を保護するための権利としての水瓶座木星

人権トラサタ説、「めちゃくちゃ単純に解釈すると」と書いたのは、もちろん他の候補もあるから。
それが何かというと、カントのホロスコープの中にある、水瓶座の木星です。権利の概念を使って人々を守る。水瓶座木星でしょ?
他に水瓶座木星っぽいところもある。カント哲学では自律の概念はとても重視されている。なぜなら、ただルールに従うだけでは機械と同じだから。人間は自分の精神があって、自分の頭で考えられて、…ということはつまり、道徳やルールについても自分の頭で考えられることを意味するんだね。なので、「ただルールに従っている」のではなくて、人間には自由があって、「だからこそ」義務に従うから、そこに価値が生まれる、そう考えているのがカント。木星的な自由、水瓶座が考える制度的な自由はもうすでにある、だからこそ義務に自発的に従い、自発的に他人を思いやる、だからそれは尊いものになる。

2.3.厳格な要求ーー10室山羊座土星と(当時未発見の)7室蠍座天王星

まあ、これはちょーっと人間に期待しすぎかな、という気もする。実際現在でもかなり厳格な規則としてカントの定言命法あたりは知られているわけだし。
今まで書いたことを踏まえてホロスコープを見てみると、10室の山羊座土星も牡羊座月水星を蹴り飛ばし4室の蟹座火星を踏みながら定座で輝いているわけなんだけど、実はこの人、7室に蠍座の天王星がある。天王星の発見は1871年のことなので、その前にカントは生まれているんだけど、私はこの7室蠍座天王星がけっこう効いていると思う。
天王星って、土星以遠天体の一つ目で、土星的な縛りを超越するものを象徴する。例えば技術なんかもそうだし(土地的な制約をインターネットはこえる)、上で言った人権なんかもそう。天王星自体が計算で見つかった天体だし、みんな天体は土星までしかないと思ってたし。改革や、改革に伴う衝撃。
で、水瓶座支配の天王星は蠍座でなんとイグザルテーションになる(より強い影響を持つ)。これは、徹底的に改革を推し進めるという蠍座的意味でも相性が良いと思われる。

尊厳というワードはカント以前には存在しないものだったから、カントは新しい人間観を提示したことになる(蠍座天王星的意味1)。
し、カントは感覚的に自分に尊厳があるということを認めていなくて、だからカントの尊厳はあくまでルールから導き出されるものだけど、だからこそ人間の関係性の間から尊厳の概念は出発しているといえる(蠍座天王星的意味2)。

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