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名建築で昼食を -東京都庭園美術館-

『名建築で昼食を』四回目の「東京都庭園美術館」

東京都庭園美術館はアールデコの何かの展覧会の時に行ったことがあります。背筋がすっとなるような美しく品のある建物でした。「名建築で昼食を」のカメラワークも品のある感じで空気感が伝わるようでした。


朝香宮鳩彦宮様の邸宅として1933年に竣工しました。設計を務めたのはフランス人芸術家アンリ・ラパンと宮内省内匠寮・権藤要吉氏。
戦後、首相公邸として利用後に公賓の迎賓館として使われていた歴史があります。

朝香宮鳩彦宮様は軍事研究のためにフランスに留学し、交通事故により長期滞在をすること余儀なくされました。ちょうどその時フランスでアール・デコ様式が花開いていました。最先端の文化に魅せられたご夫妻は帰国して自邸を建設するにあたり、アール・デコ様式を取り入れました。


ところどころフランスの芸術家ルネ・ラリックがデザインしています。ルネ・ラリックはアール・ヌーヴォー、アール・デコ様式を代表する世界的な芸術家です。ラリックは日本でも人気で数多くの美術館で素晴らしい作品を見ることができます。彼の作品は繊細で物語をかたるような存在感があります。そのラリックが建物の顔といわれる玄関のガラスのレリーフをデザインしています。

床のデザインは宮内省内匠寮技手が手掛けています。モザイクは天然の大理石でその色を生かしています。

庭園美術館で目を引くのが大客室につながる次室(つぎのま)にある香水塔。上の部分に香水を垂らして、照明の熱で温めで香りを漂わせたといいます。宮内省の図面には噴水器と書かれているそうですが、使われ方から香水塔とよばれるようになりました。こちらをデザインしたのは、アンリ・ラパンです。


大客間にはルネ・ラリックデザインのシャンデリア。気品漂うデザインは背筋がすっとのびる気持ちのよさがあります。



この邸宅は一階はフランス仕立てのアール・デコの空間で二階は和が融合したアール・デコの空間になっています。

朝香宮様ご夫妻の愛情を注いで作られた邸宅でしたが、妃殿下はお住まいになってわずか5カ月で亡くなってしまいました。

妃殿下が亡くなられた後も、思い出がたくさん詰まったこの邸宅は、なおも美しく優雅な時間が流れていたことでしょう。


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