時計とカーテン


眩しい。

思わず目をそむけたあと、そっと窓を見る。

ああ、そうだ。もうカーテンを外してしまったから。

ゲンジョウフッキが必要なんだと、取り付けたものは全て外した。



慣れた壁に目をやっても、時間が分からない。

うっすらと、面影だけが残っている。

置き時計もいいけど、やっぱり時計は掛けておきたい。

なんて、小さなわがままも許せてしまえていた。


クロスの張り替えも必要だ、敷金も礼金もあるところでよかった。


まだきっと5分も経っていないだろう、時計がなくてよかったと心底思う。


慣れたものはもうここにはなく、他人の部屋のような空気と、よそよそしい時間だけが流れている。


ここからがまたスタートだ、と男も女もそう思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?