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ぼくらは、認識でできている

ある日の帰宅途中の地下鉄。
推定年齢42歳男子起業家、ややお腹周りぽっちゃり男子と、推定年齢28歳なんとなくモデルの女子の会話。

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つまりさ、色気とは男のツボをおさえることなわけ。つまり、男の特性を理解するしかない。
Hyのボーカルは、いい歌詞を書きたいから、いろんな男と付き合ってるわけ。
どうやったら、この男をおとせるのか研究する。その姿勢、重要。

俺なんかは特殊で、女の子と付き合って、メールしないタイプなわけ。
つまり、すごいとかさすがとかで褒められても喜ばない男をどうやって落とすか?どんな言葉で落とすか?
オレが嬉しいと思う言葉を言えるかどうかが重要なわけ。

そういう具体例をいくつもおこなって、共通項から、方程式を見出すわけ。
その典型が石原さとみね。胸とかではなくて、男が好きな雰囲気。

そう、つまり、僕らは事実ではなくて、認識でできている。
だから、ポジションをどうとるか?
その訓練が君をモテる女の子にするし、綺麗にするはず。

どう?俺のこと口説いてみる?

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怒涛のトーク、思わず、スマホでメモってしまい、それをSNSに投稿。
その投稿に、男女異業種交流会の専門家からコメントを数々もらい、さらに勉強になった。。。(←なんの?)

【専門家Aコメント】
これは、なかなか高等な手段ですね。
「俺を落とせばイイ女になるための経験ができる」という屁理屈によって、彼は美女から口説かれる側のポジションに移動。名付けて「良薬は口に苦し」戦略。「口説く=訓練」というラベリングが効いている。

それ以上に狡猾なのは、彼女が自分を口説く行為を「これから多数ある経験の一つ」と位置付けていること。「共通項」という言葉が、それを暗示している。遊ぶだけの相手が欲しいのだ。

さらに、ストーリーも計算されている。

入口は一般論(hyの話、研究が大事)で頷かせ、そこから個別論(オレの話、訓練だと思え)に持っていき、締めに先方からの意思を引き出す。
ラッセンの絵とか、高いサプリとか売られたら、買ってしまいそう。

そう、言葉は世界を認識する道具であり、そして、ぼくらは認識で出来ている。

【専門家B】
「俺のこと、全然好きにならなくていい」というメッセージを送りながら、女子が遊びて彼を口説いているうちに、好きだと錯覚することを計算しています。なかなか出来ないですよ。

【専門家C】
問題は、練り込まれたロジックも女子の「キモイ」を超えることは出来ないということなんだよなあ。

【専門家A】
まさしくご指摘の通りですね!キモかったら単に失敗なだけで、キモくなかったら口説いたらうまくいことがあるので、要するに口説いたもの勝ちなんですよね。引き際さえカラッとしていれば、更に良し!

と、専門家皆様のコメントを読みながら、この2人の会話に興味をもち、なぜ、私がフルログという行為に至ったのか?を考えた。

それは、2人のゴールがまったく噛み合ってないことが興味ポイントだったのですね。

この会話には前段があって、
女子が「わたしー、事務所の社長に、君は本当に色気が足りないって言われるの。そうかなぁ?」と言いながら、地下鉄に乗り込んできたのです。

女子の求める答えは「いやいや、色気あるよ、かわいいよ」が欲しい言葉だったはず。

もう少し言うなら、「全く付き合うつもりないけど、奢ってもらうには悪くない相手だな」と男性を値踏みした雰囲気。

で、それに対して、男子はどう出るか?と見ていたら、「君は見た目とか、色気という事実の問題ではなく、男の認識を変える力を持つべきだ」と始まったわけですよ。

その意味では、クライアントの要望にただ頷くのではなく、ポジションを取りに行く姿勢は営業姿勢として、なかなかやるじゃないか!と。

結論としては、男子の戦略構築能力の高さに対し、女子の戦術能力の低さが負けたって印象でした。男女の気持ちの温度感の差分は、いつもどこか生暖かく、興味深い。

なにより、事例と言葉を巧みに使いこなす能力は、仕事も恋愛も一緒だよなと。

つまり専門家Aの言う通り、これが真実。

「言葉は世界を認識する道具であり、そして、ぼくらは認識で出来ている。」

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