ケーキ作りの世界なんか行かないと、思っていたわたしが。
…こんな難しくて、経験や知識がやまほど要りそうな製菓業界は、お菓子作りは、私にはムリ!!
っと思っていた時期がある。
うっすら、将来的にカフェか珈琲屋さんをやりたいなと思っていた頃、やはり珈琲にはケーキだよな、ケーキの事も学んでおかなきゃ。とアルバイトでケーキ屋さんに入るも、
『おまえはケーキ作りには向いてないから喫茶を担当しろ。』
と、ケーキ屋のマスターに言われたものだから、
あ~、向いてないんだな自分。と、烙印を押された感じがした。まあ、、押されたよね。
毎日ショーケースに並ぶ美味しそうなケーキ達を眺めながら、お客様に販売したり、パティスリー併設の喫茶で提供したり、そんな中でカフェ巡りや、珈琲の専門知識の勉強、珈琲の資格取得などを並行していった。
もっと珈琲の事も専門的に現場で学びたい!と考えるようになり、各務原の珈琲専門店に入った。
そこでは自家製のケーキも出されていたが、数年勤務後だったかな?、あるとき現在のケーキ担当の方が辞められるということで、しぶしぶ後任することになった。
実際、作ってそれをお客様に出すと言うのはなかなかのプレッシャーで、お店のお金で買われた材料を使って、失敗することも苦痛で、失敗する原因すら製菓業界に従事したことも、専門学校に行ったこともない私にはわからず。
こんな難しい世界わたしにはむりー。
胃のよじれる気持ちだった。
その後、その珈琲専門店で現在の夫と出会い、二人で独立してカフェをやるにあたり、夫は珈琲担当で、残る選択肢はわたしがケーキを担当することに。
いやカフェで独立するっていうならどちらもできていなけりゃならないと思う。
そんなのはなんとなくわかっていたはず。ただ難しい世界から逃げてきただけだ。
やるしかなくなったな。
本屋でありとあらゆる気になるお菓子のレシピ本を買いそろえ、気になるレシピを作ってみた。
あれ?
レシピ本は、10あるうちの8くらいしか教えてくれてない。
段々と気付く。
あるとき、
お菓子を科学的視点で書いた専門書に出会う。
それはヒントばかりだった。
さいこーー。
卵白、卵黄の凝固温度や、焼成中の小麦粉の変化や、砂糖の役割、バターの特性など、カラー写真で事細かく書かれている辞典みたいなものだった。
難しい世界だが、段々とのめり込んでいっている自分がいた。
今は、独自のコンセプトの元、基本をベースにアレンジして、やはりアレンジすることで思ったようにいかないわからない原因もあるけれど、以前と比べて、生地の気持ちだとか、卵の気持ちだとか、少しわかるようになってきた。
そう思えるいまは、『むりーー』と思っていた時よりはるかに楽しいのである。
そう、今またお菓子の本を読みながら、
そういえばマスターにあんなこと言われた自分が今こんなに楽しんでるなんて、
と振り返りたく、記したノートである。
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