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園芸店のおじさんから学んだ、ビジネスの本質

週末、園芸店のおじさんからビジネスの本質を学んだ気がした。


姉の家の庭が無法地帯で、近くにある園芸店のおじさんに庭づくりを頼むことになった。姉は自分が細かいことを考えたりやるのが苦手なタイプ(オーナー気質)で、庭づくりの打ち合わせの時にも自分は仕事にでかけ、私と夫(義弟)におじさんとのやりとりを任せた。


おじさんが姉宅に訪れ、庭を小1時間ほど見学しては、測量したりひたすらノートに何かを書いていた。その後、私たちにヒアリングをして、提案した内容がとても見事だった。


・庭が広いので、まずは目につきやすい玄関から始めてみよう。そこには自分たちが植えたかったシンボルツリーを植えましょう。だけどお隣が気になるなら、壁際には常緑樹を植えましょうね
・自分たちで庭を作る喜びを感じたいなら、一気にやらず少しずつ一緒にやっていこう(自分なら季節ごとに、この近くの生産者から草木を持って来れますよ。季節ごとの楽しみも感じられるし、とのこと)
・姉の夫の理想のウッドデッキを取り入れた庭のイメージ図を書いておくけど、きっと作るのに時間がかかると思うからあくまでもイメージです。話しながら進めましょう
・岩がたくさんごろついている庭で心配だと思うけど、全然使えますよ!きっと5〜10万円は費用が浮くはずです


普通のエクステリアの業者なら、早くそれっぽく庭を仕上げて値段は一括でドンともらいますor樹木を珍しくしたり増やして+αマージンをもらうところ。


おじさんの何が違うかというと、


(1)人を良くみている(ヒアリングは十分する、要望を取り入れ不安な点を取り除く)
(2)利益を細分化してみている(最短・高価格の商品群と、長期・定期収入の商品群を持って使いこなしている)
(3)自分の得意を最大限に活かす(植物や庭づくりの知識、楽しさを知っている)


という点に尽きる。
この(3)がめっちゃくちゃいいと思っていて、好きなことや楽しさを共有できるというのは最大の強みであり楽しみであるよね。
おじさんは、時期になったらまた連絡します…と言ってすでに連絡がないけど(もうすぐ冬になるけど大丈夫なのかな…と私は心配)、その辺自分の知識をベースに進められるのも最高だなと思った。

***


そしてふと、私は祖父のことを思い出した。
福島の偏狭な山間で、民宿と釣り堀を営み、70代でこの世を去った祖父。(今は叔父が後を継いでいる)

私からすれば祖父は「放蕩息子」ならぬ「放蕩ジジイ」だった。
時間釣りの受付で、ラジオを聴き菓子パンを食べながら、ボ〜っと過ごすような人で、家族に内緒で競馬の競走馬を買うような突拍子もないことをする人だった。

祖母がとても働き者でしっかりしていた人だったから、祖父について尊敬したことはなかったし、怠け者のギャンブル好きだと思っていた。

が、祖父が亡くなってから釣り堀の業績は悪化した。

<釣り堀の種類は2種>
・いけすにいる魚を釣る(子どもも簡単に釣れる)
・川から水を引っ張ってきた池に魚を離した、時間釣り(釣り堀の隣は山と川なのでほぼ自然の中にいるような錯覚を覚える、大人や玄人に人気)


釣り堀で釣った魚を調理してくれて食べれるのと、昔は宿泊もできたのが+αの収入源だった。

もちろん、経営が悪化したのは祖父の死だけの影響ではないと思う。バブル時代とその後少しの間栄えるのは当たり前だったし、世の中の流れが変わったこともある。

ただ、私はなんとなく勢いが弱くなった気がしていた。もし、祖父の死が影響するなら、祖父が亡くなって、なぜ経営が悪化したか。
それは、時間釣りの存在がとても大きかったからだと思う。


偏狭な田舎の地に訪れる理由はひとつ。
「大自然の遊びを楽しみたい」ということだ。
祖父がいれば、自然の知識が豊富だから池の管理はだめにならなかった(実のところ、一時、池にウィルスのようなものが蔓延し、管理は最悪になった)。
祖父がいれば、お客さんは自然遊びのノウハウを教わって楽しむことができた。


「大自然の田舎遊び」ができない、ただの釣り堀は、少し物足りない。
看板をおしゃれにしても、より食事にバリエーションを出そう努力しても経営は上向かないだろう。


(1)そこに人はいるか
(2)その人は何を求めているか
(3)自分たちが提供できる最大の強みで、さらに自分も楽しくできる仕事は何か


そんなことがビジネスにとってめちゃくちゃ大事なことを、勝手ながら今思い知った気がした。

なお、釣り堀は今もちゃんと経営されていて、コロナで打撃を受けている中で、頑張る家族にエールを送りたいと思います。

また、祖父に関してディスりが入ってますが、祖父の孫として生まれて嬉しく思っていますし、祖父や家族のおかげで今ここにのびのびといられることに感謝したいです。

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