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馬の合わない店長との折り合いについて6

正確には、上田さんは私に言ったのではなく、お客様に言ったのです。

「5月から、改装工事が入るので、予約は当分受け付けないんですよ。」

お会計の時に、お客様から来月も数名でランチをしたいから予約したいんだけど、と聞かれたんだと思います。
私はいつものように、「大丈夫ですよ。お日にちはいつがよろしいですか?」と、もう口の筋肉を意識せずともするりと出でくるセリフを言いかけたとき、私の後ろに立っていた上田さんが言ったのです。

え、改装工事?そんな話は聞いていない。聞いていないけど、お客様の前で私が混乱しても、お客様は戸惑うだけだ。よし、ここで言うべきは、あれだな。
「そうなんです〜。申し訳ございません。」

お客様が帰られたあと、上田さんは「そういうことなんだわ。」と、さして重大なことではないような言い方で私に簡単に説明しました。
ソファ席を前からなくそうと思ってたこと、食洗機や換気扇がいつ壊れてもおかしくないことを教えてくれました。
じゃあ、お客様には5月は予約を受けない。営業は工事中はお休みで、終わり次第再開とお伝えすればいいんですね?
「うん、それでいいよ。」

いつもはゴールデンウィークも勤務している私ですが、
「今年はお休みってことか!
もっと早く教えてくれたら旅行行けたかもしれないのにー!」
そんな愚痴がこぼれそうなのを抑えていました。
工事のことも寝耳に水でしたが、さらに水がぶっかけられました。
「あ、山川君が来月からくるから、今月末に一度面談してくれる?いちよう、来月からは山川君が店長みたいな形にしていこうと思うから。まぁ俺もおるけど」

はぁ。面談?何を話すのかな。よくわからないけど、社員として店長ポジションにつくなら、そういうのも必要なのかな。にしても、なにもかも急だな。

私はなんだかモヤモヤした気持ちのまま、4月の最終勤務日を迎えました。

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