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週末エッセイ#46「7月にコロナに感染しました」

※コロナに罹った期間のことを書いていますが、症状などそこまで詳細には書いていませんので、何の参考にもなりません。ご注意ください。


今年の7月末、ついに私もコロナに罹ってしまった。

この3年間、なんとか逃げ切ったと思っていたのだが…


■前兆

その日は仕事中からなんとなーく疲れたような気がして、「帰ったらすぐに寝よう」と思っていた。


仕事が終わると、帰りにコンビニに寄り、うどんを買った。


体調が悪いような気がする時は、いつもうどんを選んでしまう。
うどんはとても優しい食べ物だと思う。
うどんの優しさを身体が求めていた。


そして、「今日は『うどんの気分』になっているだけ」と必死に言い聞かせる。
今までなんとなく疲れてなんとなくうどんを買って、「体調不良が気のせいだった」という試しがない。


その日は夜に友人と電話をする予定だったが、夕飯を食べた後もなんだか本当に疲れている気がして、「ゴメン、また今度にしてもらってもいい?」と連絡した。

そしてベッドでごろごろしながらスマホをいじる。
こういう時の「いや、絶対違うよ」というおかしな自信ってなんなのだろう。


そして寝落ち。


夜中の1時に異様な暑さで目を覚ます。


「これは絶対に発熱している時の体感だ」と薄々思いながら、体温計を腋に挟む。


38度1分。



やっぱりそうだったか。

翌朝激しい頭痛と吐き気に襲われ、病院に行けないほど辛いのでオンライン診療を受診した。

1日目の抗原検査は陰性だったが、数日前に会った弟がコロナ陽性だったとの事で、私もみなし陽性と診断された。そして2日目に抗原検査をしたところ、やはり私にも陽性反応がしっかりと出た。


■あってよかったもの

①食べ物系

最初に熱が出た夜中の時点で、西友のネットスーパーで食料や飲み物を買い込んだ。

この時買ったのは2ℓのスポーツドリンクを4本、ゼリーを5個、冷凍食品、フルーツの缶詰、卵豆腐など。

私は味覚は無くならなかったのだが、食欲は半減した。

コロナ療養期間に活躍した食べ物の中のMVPは、卵豆腐だった。

ほどよい塩気と優しい卵の味。つるんとした舌ざわりも火照った体にちょうど良く、量も食べやすかった。私が買ったのは小さなつゆが付いているタイプで、まずは何もかけずにひと匙救って口に運び、ひと匙目で出来たくぼみにつゆを入れてから食べるのがとても美味しかった。

それから、これは少し元気になってきてからの事なのだが、冷凍食品の小さなグラタン(3個入り)が「多過ぎず少なすぎず」という本当にちょうど良い量で、神の食べ物だと思った。

食材以外にも後から追加でプラスチックのスプーンや紙コップを買った。

洗い物をする余裕がなくなるので、紙やプラスチックの容器があるととても救われる。


②推しの動画やドラマ

ベッドで安静にしている間はとにかく佐久間一行さんの「サクマカラジオ」とタイムマシーン3号の車内トーク動画ばかり観ていた。

優しい動画や落ち着いたトーンのトークが弱った身体に沁みた。

ワイワイ騒いだり激しく突っ込みを入れたりするような動画も普段は好んで観るけれど、この時はそういう動画を見る余裕はなかった。

改めて、元気がない時でも見られるコンテンツって本当に救われるなぁと思った。もちろん、元気な時はより元気にしてくれるし。

それから、どうしようもなく頭痛や発熱で辛い時に聴いたヒーリングミュージックもとても心地よかった。

療養期間の後半は、ドラマ「ブラッシュアップライフ」をHuluで観た。

私はこのドラマをこの状況になって一気に見たのだが、8話から9話までの一週間を、リアルタイムで視聴していた人たちは一体どんなメンタルで過ごしたんだ……と思った。とにかく「まりりん、まりりんよぉ…」とずっと言いながら観ていた。

苦手なあの人とも別の回の人生だったら仲良くなれていたのかなとか、職場に居る全然話さないあの人も前回の人生ではよく話していたのかなとか、色々考えを巡らせた。


③蜂蜜

最初の2日間くらいは熱がとにかく辛かったのだが、喉の痛みは噂に聞いていたほどではなかった。4年前インフルに罹った時に味わった喉の刺すような痛みが本当に辛かった記憶があるので、「インフルほどの辛さではないな」と、完全に舐めていた。

ところが、熱がだんだん下がり始めたあたりで、今度は喉の刺すような痛みがやってきたのだ。発症から3日目頃のことだった。

「龍◯散ダイレクトが効く」という話を色んな人から聞いていたので飲んでみたが、私には(あくまでも「私には」です)まったく効かなかった。病院で処方されていた喉の薬も飲んでいたのだが、なかなか痛みが引かない。

そんな中、とあるYouTubeチャンネルを見て「はちみつを溶いたお湯がいい」という情報を得た。

私はこの時パニックになっていて、Amazonで3000円くらいする高級はちみつを2箱も購入してしまったのだが、「今の私の判断は冷静か?」とふと我に帰り、慌てて注文をキャンセルした。

そして西友のネットスーパーで、どこにでも売っているような普通の蜂蜜を購入した。

やっぱりはちみつだけでは心配なので、漢方(これもYouTubeで紹介されていた物)もAmazonで買ってみた。

蜂蜜が先に届いたのだが、お湯に溶いて飲んでみたら3時間後くらいに喉の痛みが和らいできた。蜂蜜ってこんなに効くんだ…と驚いた。

その翌日に漢方も届いて、蜂蜜と漢方に助けられ、喉の痛みもどんどん引いていった。


■普段、頑張ってたんだなあ…

発症2日目の朝、熱が36.5まで下がった。久しぶりに身体が少し軽く感じた。今のうちにと思って、溜まっていた洗濯物と皿洗いを張り切ってみた。

すべての皿を洗い終わると結構疲れていた。

……2時間後、熱が39.6まで跳ね上がった。

下手に動くんじゃなかった。こういう時は安静にしていないといけないよな。

もちろん熱が上がった原因は他にもあるのかもしれないけれど、
安静にしていたらここまで熱が跳ね上がることも無かったのでは?と後悔した。

そして、「病に冒された状態でやると熱が上がるようなことを、普段の自分はやっていたということなのかも」と思った。

皿洗いだって洗濯だって、元気な時は普通に出来てしまうが、体力をまったく使っていないわけじゃないんだよな、と思った。


似たようなことを、コロナから明けて仕事に復帰した時にも感じた。

普段やっている電話対応の業務をする時に、喉の筋肉に力が入りにくい感覚があった。療養期間の後半、電話で家族や友人と普通に喋る分には大丈夫なくらい回復しているという体感があったのに、仕事の電話対応となるとまるで声が出なくなっていた。

「仕事モードの声」を、普段ちゃんと使えていたんだ。
これも普段の自分は「こんなことは当たり前」と思ってやっていた事だが、意外と頑張っていたんだな…と思った。


■朝焼け

もう熱も下がり始めている頃、ゴミの回収日があった。
本当は完治してからゴミ捨てに行きたいが、あまりにもゴミが溜まってしまっている。

誰もいない時間帯に捨てようと思い、朝5時にゴミ捨て場に行った。

酷暑の7月下旬だったが、朝5時は涼しかった。

私の自宅は駅や商店街が近くて人通りが多いのだが、この時は怖くなるくらい誰も居なかった。荷物を運びに来たようなトラックなども見かけなかった。

無音の道路で見る朝焼けがとても眩しくて、しばらく外に出ていない間に世界がリセットされたんじゃないかと思った。数秒間、薄いオレンジ色に照らされた静かな世界を見入ってしまった。

コロナにかかる直前、仕事で色々トラブルがあって精神的に参っていたのだが、なんだかそういう悩みが一旦白紙になったような感じがした。

物理的に、コロナの最初の方頭痛が半端ではなくて(実は後遺症で今もたまにあの時の頭痛と似た感覚になることがある)、色々悩んでいる余裕も無くなってしまっていたというのもあるかもしれない。コロナに罹る以前の頭の中身の余計なものがどこかに行ってしまったのではないかという気もしている。


■油断しないで…

発症する数日前に実家に帰っていたのだが、

やはり「家族」と思うと気が緩んでしまい、食器や洗面所の共有スペースにも気を使っていなかったような気がする。

弟が「少し具合が悪い気がする」といって別室で寝ていて、一応隔離はしていたものの、自分も床でブランケットもかけずに寝てしまったりしていた。(結局弟も私が発症する前日にコロナに罹った)

それと夜更かしが続いていたり、落ち込むことが多かったり、色々と体調不良を引き起こす負債も溜まっていたのかな、と思った。

そしてこれを書いている今は周りでインフルエンザが流行り出している。

「家族だから」「仲のいい友人だから」と油断せず、
人が多い所ではマスクをつけて、よく食べて良く寝よう。

体調を崩さずにいるのがあまりにも難しい気温差のここ数日ですが、
皆さんもお気をつけて!

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