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【無力…】卵屋なのに卵が売れない⁉

いよいよ大晦日!世の中はもう冬休みに入られている方も多いと思いますが、私は本日31日までお仕事です。
お米屋さんと卵屋さんの、卵屋の方がギリギリまでお仕事なんですね。米屋の方はある程度事前に商品を作っておくという事ができますが、卵はニワトリさんが毎日産むものなので毎日の入荷量が一定のため、事前に作りだめしておく、という事が基本的に出来ません。
ですので年末の売れる時でも(多めに作っておきたいわ~という時でも)一定の入荷、逆にあんまり売れない時期だから入荷を減らしたいわ~という時でも一定の入荷になります。盆・正月で我々は休みたいとしてもニワトリさんは淡々と卵を産むし、逆に多めに産んで欲しい~と思ったって淡々と決まったペースで卵を産みます。生き物飼いは年中無休でお世話が必要なので、養鶏場の人はもちろん、そこから卵を入荷する卵屋さんも基本的には無休か、無休に近いくらいの短期のお休みという事になります。

今更この時期に営業だとか新規事業だとかはやりませんが、入荷~製造~出荷、という「作って届ける」をとにかく無事にやり切ってお正月を迎えるゾ、てな時期の本日が最終日です。


〇卵、去年に比べてだいぶ安くなりましたね

去年の鳥インフルエンザの猛威を覚えている方も多いと思いますが、連日日本のどこかで鳥インフルエンザが発生、鶏の殺処分が続き日本中から卵が姿を消すという事態が起こりました。スーパーの卵売り場とか空っぽだったよね。
それまで「物価の優等生」とか言われていた卵が(厳密には優等生じゃないんだけど。)、1パック300~400円ほどのこれまでの二倍くらいの価格になり、それでもまだ卵があればマシ、という状況でした。
そこから一年が経ち、次第に卵のひっ迫感は薄まり、今ではこれまでのようにどこでも手軽に買えるようになりました。価格もかなり落ち着いてきましたね。

〇鳥インフルエンザに備えた入雛が響いている

なぜまた卵が出回り、価格も落ち着いたのか?それは殺処分して空っぽになっていた畜舎に、また雛を入れてその雛が成長し卵を産み始めたからです。
同じ時期に集中して殺処分が行われたということは、そこに雛を入れる時期も似通っていたという事。つまり全国で同じタイミングで一気に鶏達が卵を産み始めるのです。
おかけで一年前の「無い無い」の状況から一転、今は全国的に卵に余剰が出てしまっています。「出てしまっています」と言ったのは、今の余剰がある状況、消費者の立場ではウエルカムなのですが、農家や卵屋の人にとっては大変厳しいからです。物価の高騰で鶏に食べさせるエサ代は上がっており、その他電気代や水道代なども上がり、生産コストは上がっています。卵一個を産ませるのにかかるコストは上がっているけれど、産まれた卵は余っている状況なので安い相場での取引にしかならない…。
去年大量に鶏を殺処分し卵が市中から無くなりました。その不足分を補うべく、また今年も鳥インフルエンザが発生するだろうと見越した上で雛を入れた訳ですが、現状としては全国で余剰が出ている、というのが今の状況です。

〇卵を引き取って欲しい!

卵が産まれたものの引き取り手が無いという事で、ウチのような卵屋さんには連日色々な方面から「卵を引き取ってもらえないでしょうか?」の依頼が来ます。毎日卵は産まれてしまうので、そして産まれた卵はどこかに引き取り先を見つけないといけないので、余剰になってしまった卵というのは待ったナシなんですね。
ウチとしてはもちろん引き取れる時は引き取りますが、通常の入荷のプラスアルファ分になるので販売先が見つからない事にはウチも引き取りが難しい場合が出てきます。

〇無力…

泣く泣くお断りをせざるを得ない場合、本当に無力を感じます。
農場の人が一生懸命育てて産まれた卵、生産コストも上がっている、そして世の中には飢餓や貧困、様々な事情で食べられない人たちが大勢いる。
なんで私は卵屋のくせに必要としているところに繋ぐことができないんだ、という悔しさ。ボランティアではなく商売なので、誰かに損をさせる選択もできないわけで、ただで貰ってただで配るとかもNG、安く買って安く売るのも通常の需要をただ食ってしまうだけなのでできない。
食べてくれる人、お金を払ってくれる人、実際の事業者がパンクしない稼働、誰にも損をさせずに必要な人のところへ届けられる力をつけたい。
それを特に感じる今年の年末です。

〇まとめ

これは卵だけでなく多くの畜産・農業で起こっている問題で、社会課題解決につながる壮大な謎解きであり、なんとかここに一つの解決の糸口を見つけたいと思っています。

まずは本日は無事に年内の稼働を終わらせ、会社のみんなが事故も怪我もなく元気に新年を迎えられる事です。私も午後から工場のお手伝いに行ってきます!


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