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斜線堂有紀「恋に至る病」

もう最近は仕事が忙しすぎ、そして仕事で嫌なことが起こりすぎでもう日記も書けない始末。日記を書くために1日を振り替えると、嫌なことを書くにしても書かないにしても、その日の嫌なことの輪郭をなぞらなきゃいけなくて書くのやめた。日記はその日を覚えておくために書くという側面もあるから、嫌なことへの感情を新鮮なまま記しておくのは何かの意味があるかも知れないが、そんなの覚えてたら脳ミソが紫色になって爆発するからしません!!けど、文章書くの好きなので日記という体はとらずとも本読んだり、書きたいと思ったことがあれば書こうかな。

「◯◯◯に至る病」って名前の作品何個かあってそのどれもが読後感が終わってるらしい。有名なのだと「殺戮に至る病」とか「死刑に至る病」だけど両方とも面白さとは別に、それはそれは最悪の気持ちになれるらしい(どっちも俺は読んでない)。なんでなのーーーって思ったら「◯◯に至る病」って名前には「死に至る病」という元ネタがあって、絶望を意味する言葉。元ネタがこれだから話が鬱屈とするのも当然なのだった。

〈死に至る病〉とは絶望を意味し,新約聖書の〈ラザロの復活〉におけるイエスの言葉〈この病は死ぬほどのものではない〉(《ヨハネによる福音書》11:4)にちなむ。

コトバンクから

ここから話の本筋には触れてないけどネタバレが多分に含まれるので気をつけてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーください





誤解を恐れず言うと物語において"サイコパス"ってかなり便利だなって思っていて、無茶苦茶に動かしても意味不明な美学やこだわりがあってもそいつが"サイコパス"だからの一言で片付けられるし、わかりやすく敵意も向けやすく設計しやすい。こんな書き方するとサイコパスを批判してるみたいですが俺は話が面白ければなんでも良いのでサイコパスが出てくることにどうこう思ってることはないです。ただ、求めていることはあって、それは徹底的なまでに人間性の欠如してて欲しい。たまーーにサイコパスに一欠片の良心が残ってたりとか、実は心のどこかで苦しんでたりとかされると冷めます。どこまでも理解できない存在であってくれないと「結局おまえは何をどうしたいの???」ってかなりメタ的な視点の感想を持ってしまう。こんなのは殆どひねた大人の揚げ足取りだけどキャラクターの一貫性って大事だよなーー。

このだるい好みにヒロインの寄河景がかなり当てはまってました。ざっくりようやくすると寄河景が自殺コミュニティを運営して人を殺しまくるって話なんですけど、最後までその動機が全然みえなかった(俺が読めてないだけだったらスマソ)。作中の警察の分析(作中の警察にとどまらず一般的な分析こんな気がする)では『自己顕示欲が強く、自分の犯行に誇りを持っていて語りたがりの傾向にある』とされていたけど、この分析にもあてはまってなくてほんとに動機が不明瞭で理解できないところが良かった。話の中で寄河景はこの瞬間に壊れちゃったのか、みたいな部分はあったけど、そのときには既に壊れた人間になっていて底が知れなさがあった。寄河景が何を思ってたかについて一応それっぽい答えは用意されているのだけれど、この部分はオープンエンドで読者に委ねられている部分なので俺は俺の好きなように解釈します。

ヒロインだけじゃなくて主人公の宮嶺望もヤバくて、言ってしまえばコイツもサイコパスなんですけど、最初からそうじゃなくて寄河景に洗脳(適切ではない表現だけどこれしか思い付かない)されてサイコパスになっていて、終盤にコイツがぶっ壊れた瞬間に今まで読んでた「宮嶺望が寄河景に恋をしている」って話がコイツの洗脳記録になるのが見事な構成だなと思った。サイコパス化しても宮嶺望は寄河景に恋していたので「恋に至る病」ってよりは「病に至る恋」って感じだった。

サイコパスが出てくる作品って俺の勝手なイメージだけど社会問題の提起とかそういうメッセージが込められてることが多い気がするんだけど、そういうのもなくメインで動く2人にフォーカスした話で読みやすかった。一応警察のパートもあるけど事態の整理をしているだけで終盤以外はほぼ空気だったから宮嶺望と寄河景の物語だった。

俺の解釈をばーーーーっと書いたけど結構解釈の幅が広い話なので俺みたいに変にひねていてもいなくても結構楽しく読めると思います。読後感も良くはないけど悪くもないと思うのでメンタルダメージみたいなのも少なめだと思う。のでよかったら読んでみてーー!!

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