会社を破産させるということ。その①

2023年はnoteに文字を落として、日々感じたことを素直に留めておきたいと感じている。それは、心に余裕ができたからか。
2022年は私にとって凄い出来事があった。30年間以上担ってきた会社を破産させたことである。裁判所からの手続き処理が終わったと連絡があったのが9月。その直後、これまでの人生で感じたことがなかったような、無重力というか、無拘束というか。どこに向いて歩き始めたらよいのかと、戸惑うような感覚。または、「バーンアウト」というような、燃え尽きシンドロームのような感覚だったかもしれなかった。
(有限会社エコリゾートと屋号エコリゾート赤目の森のことは拙著「里山の伝道師」コモンズ刊に詳しい)
そうだなぁ。会社の破産処理を経験したことのある人などは、そうそう多くないだろう。この会社を担う様になってから10年は本業に頑張り、あと10年はこの施設をどう利用するかという時間だった。そしてあとの10年はどう処理したら、今行われている福祉サービスと里山のNPO活動が継続できるのかということばかり考えていた。
会社の破産処理はもちろん、弁護士先生(大阪の著名な弁護士先生)に手続きをお願いして無事に終了することができたが、その詳しいことは未だによく理解できていない。ただ、有限会社という法人が抹消されて、世の中から無くなってしまったということは事実のようだ。だから、その会社の債務も同じように無くなってしまったということだろう。
唯一自己弁護ができるとするなら、会社の運営を自ら厳しくするようなこと(役員報酬を高額にするとか、不要な経費を増大させるとか)が無かったから、裁判所は客観的な判断として、「破産手続き」を開始することに同意したと言うとだろう。つまり、債権者の権利を守るために、経営者の放蕩を許さないということか。
いずれにしても、お一人平均60万円位を30人強の方々に迷惑をかけたことは紛れもない事実なのであらためてお詫びしたい。ただ、こんなことも考えた。「破産処理」の手続きをする前に、債権者の方々に個別に連絡して、本当に伝えたいこと(地代の低減交渉がうまくいかないこと。このままでは現在進めているNPOの福祉サービスも続けられないこと、社長が何かあって業務を続けられない事態になれば処理が困難になることなど)を伝えて、債権放棄をしてもらえる方々とそれでも債権を維持したい方々とを分けることができたなら、債権を維持したい人たちへの返済を完了したのちに、手続きを始めたかった。そうすれば、迷惑をかける人は一人も生まれなかったのではないかと思うのである。そもそも(破産処理のためには手続き費用、裁判所が決定する債務処理金額などなど、ゼロ円では破産処理もできないのであるが)
破産処理をしてしまったから、最後まで債権を維持される方々が30名強と分かったのであって、2000万円位なら迷惑をかけないように、頑張って返済もできたのかもしれないと思うと、つまり私にそれだけの度胸が無かったのである。「寝た子を起こしてしまったら」その債権は倍の4000万円にもなれば、それこそ人生の最後まで返済しても間に合わないという気持ちがどこかにあったのだろう。
今は、その無重力感というのも「燃え尽きた」という感覚も霧散した。新たな課題と目標を持って前を向いて歩んでいきたいと思う。ご迷惑をかけた人たちへの責任として。

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