SAPとは何か?

私がよく書いている「SAP」って、なんですか?そう思う方もいらっしゃるでしょう。AWSとか、Linuxとか、YouTubeや書籍で解説されているものは多いですが、SAPは書籍がほとんどなく(あったとしても入門レベルが多い)、情報が入りにくいです。

SAPは、ドイツに本社がある世界一のERPアプリケーションベンダーです。もともとはIBMの技術者だった人たちが1970年代ごろに起業してできた会社だったかと思います。SAP以外にも色々なERPがありましたが、SAPは競争に勝ち抜き、今の世界一の座を手にしました。

ERPは、企業の基幹業務プロセスを統合・最適化することができます。例えば、もし会計・生産・販売・購買・在庫管理の業務システムをバラバラに構築すると、連携が非常に大変になります。SAPだと、それらがリアルタイムに連携されます。

SAPの特徴は、プログラミングなしでも「ある程度は」構築することができる点です。グラフィカルなインターフェースで、パラメータ設定を選んでいくことで構築できます。しかし、SAP標準機能だけでは業務プロセスをすべて実現することは不可能なので、アドオンとしてプログラミング開発するか、諦めて手作業でやるか、などを選択することになります。

日本企業は、欧米企業と比較して、アドオンを大量に作りたがる傾向にあります。SAP標準機能は、SAP社が保証してくれるものなのでバグはありませんが、SIerが作成したアドオンはバグをゼロにすることは不可能なので、アドオンが多ければ多いほどバグ(障害)が出る可能性は高くなります。また、SAP標準機能はノートやEHP適用で簡単に更新できますが、アドオンは要件変更で修正に多大な工数がかかります。

SAPコンサルタントの特徴は、システムの知識だけではなく、業務プロセスに熟知している点です。そうなる理由は、顧客(ユーザー)はSAPを導入するために、要件定義フェーズで、自社の業務要件をコンサルタントに伝えます。これで、コンサルタントは色々な企業の業務プロセスに詳しくなっていくのです。

SAPは、2025年(または2027年)でS/4以外のバージョンのサポートを打ち切ると宣言しました。これで慌てているのがSAPユーザーです。従来のECC6.0を期限内にバージョンアップする必要があるのです。

これで逆に大喜びしているのがベンダーです。バージョンアップの仕事が多数舞い込んできて、人手不足で嬉しい悲鳴です。SAPコンサルタントの年収もどんどん上がっています(私が大学生の頃は、IT系は怪しいとか、ブラックで負け組だとか散々に言う人もいましたが、時代は変わりました)。

SAPが強気なのは、実質的にSAPがERPのデファクトスタンダードだからでしょう。他のERPだと、巨大企業の業務をシステム化するのはほぼ不可能なのではないかと思います。今さらスクラッチに戻すわけにもいかないでしょう。それに、機能面でもかなりS/4は充実しているので、バージョンアップにメリットも大きいです。

一方で、バージョンアップにものすごいお金がかかるのも事実です。SAP以外にも、企業というのは多額のIT投資が必要です。中堅・準大手クラスの企業にとって、SAPを含めたIT投資は悩みの種になるでしょう。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?