ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの原因の一つに日本経済の低迷?

海外ではすでに承認されている薬が、日本では承認されず、開発に着手できなかったりする「ドラッグ・ラグ」「ドラッグ・ロス」が問題となっている。どうしてもその薬で治療したいならば、海外へ渡航するしかない。日本の薬事制度が欧米と異なる点が叫ばれているが、実は、日本のGDPが他国と比較して低迷していることも原因の一つとしてあるようだ。

かなりの古新聞にはなるが、日刊工業新聞の3月8日、28面を紹介しよう。

近年はバイオベンチャーが台頭している。開発資金が限られるベンチャー企業が狙うのは規模が大きい欧米市場で、日本での開発優先度は低い。

日刊工業新聞の文面を筆者が一部修正して掲載

アメリカ合衆国のGDPは、いまや日本の3倍以上になっている。それならば、わざわざ日本の薬事制度に対応した研究開発をするより、最初からアメリカ向けにやったほうがいいに決まっている。EUはよくわからないが、同一基準があるのだろうか?まあ、ドイツのGDPがドルベースとはいえ、日本を抜いている。ドイツ一国で日本よりも上なので、ドイツ・フランス・イタリアなどを含めるとEU向けに研究開発したほうが圧倒的に稼げるのは間違いない。

新自由主義者は、何かと、規制緩和を主張する。確かに、規制緩和が必要な分野もあると私も思う。だが、薬事に関しては、人の生命にかかわる事項であるため、慎重であるべきというのも当然だろう。

また、バイオベンチャーが日本に見向きもしなくなっていることが問題だ。補助金などの優遇策を通じて、日本向けに研究開発してもらうよう誘導するべきだろう。バイオベンチャーはおろか、そのうち、武田薬品や第一三共、アステラスなどのメガファーマも、欧米優先になってしまうかもしれない。そうなったら、日本の医薬品はおしまいだろう。お・し・ま・い、デス!(大和田常務)

以下Gemini

ドラッグ・ラグ・ロス:日本の医薬品産業の課題と未来への展望

はじめに

近年、海外で承認されている薬が日本で承認されるまでに長い時間を要する「ドラッグ・ラグ」や、そもそも日本で開発すら着手されない「ドラッグ・ロス」が深刻化している。患者にとって必要な治療を受けられず、生命に関わる場合もあるこの問題は、日本の医療制度にとって大きな課題となっている。

本稿では、ドラッグ・ラグ・ロスの現状と原因を分析し、日本の医薬品産業の未来展望について考察する。

1. ドラッグ・ラグ・ロスの現状

厚生労働省によると、2022年時点で、欧米で承認されている医薬品のうち、日本で承認されていないものは約4,000品目に上る。これは、欧米で承認された医薬品の約3割に相当する。

ドラッグ・ラグが長期間にわたる場合、患者は海外渡航による医療ツーリズムに頼らざるを得ない状況となる。これは、経済的な負担だけでなく、言語や文化の壁、医療体制の違いによる不安など、多くの課題を伴う。

一方、ドラッグ・ロスは、希少疾患や小児向けの医薬品など、開発市場が小さいと考えられる医薬品で顕著に見られる。開発投資に見合う収益が見込めないため、製薬企業が開発を躊躇してしまうのだ。

2. ドラッグ・ラグ・ロスの原因

ドラッグ・ラグ・ロスの背景には、日本の薬事制度が欧米と大きく異なる点が挙げられる。主な違いは以下の通りである。

  • 審査基準: 欧米では、有効性と安全性を立証する臨床試験のデータを中心に審査を行う。一方、日本では、薬効に加えて、安全性や製造方法、品質管理など、より多角的な審査が行われる。

  • 審査期間: 欧米では、承認までに約1年かかるのに対し、日本では約4年と長い。

  • 再審査: 欧米では承認後の再審査はまれだが、日本では承認後に追加のデータ提出を求められることが多く、承認が遅れる要因となる。

これらの違いは、日本の医薬品開発を遅らせ、欧米との差を拡大させている。

3. 日本のGDP低迷の影響

近年、バイオベンチャー企業が医薬品開発において重要な役割を果たしている。しかし、バイオベンチャー企業は資金力に乏しく、投資収益率の高い市場を優先する傾向がある。

アメリカ合衆国のGDPは日本の3倍以上であり、欧米市場の方が規模が大きい。そのため、バイオベンチャー企業にとって、投資収益率の高い欧米市場を優先するのは当然の流れである。

日本のGDPが低迷していることも、バイオベンチャー企業が日本市場を軽視する要因の一つと考えられる。

4. 解決に向けた取り組み

ドラッグ・ラグ・ロスを解決するためには、以下の取り組みが必要である。

  • 薬事制度の見直し: 欧米との審査基準の調和や審査期間の短縮、再審査制度の見直しなど、薬事制度の見直しが必要である。

  • バイオベンチャー誘致: 補助金などの優遇策を通じて、日本市場向けの研究開発を促進する必要がある。

  • 医薬品開発の効率化: 臨床試験の効率化や、人工知能などの新技術の活用などにより、医薬品開発の迅速化を図る必要がある。

  • 国際連携の強化: 欧米諸国との情報共有や共同研究を推進し、医薬品開発の国際化を図る必要がある。

5. 日本の医薬品産業の未来展望

ドラッグ・ラグ・ロスの問題は、日本の医薬品産業の競争力低下を招き、患者への最適な医療提供を阻害する可能性がある。

しかし、政府や製薬企業、バイオベンチャー企業が協力し、解決に向けた取り組みを進めることで、日本の医薬品産業は活性化し、患者にとってより良い医療環境を実現することが可能である。

6. 結論

ドラッグ・ラグ・ロスは、日本の医療制度にとって大きな課題であるが、解決に向けた取り組みは始まっている。関係者間の連携を強化し、積極的な改革を進めることで、日本の医薬品産業は明るい未来へ向かうことができるだろう。

情報源

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