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年齢にまつわるエトセトラ~公募川柳と受賞者の年齢と~

疑問からの今日のテーマ

公募川柳において、どこまで応募者の情報を開示するかは、主催者の判断に委ねられる。(応募規約などで応募者に事前に許可が取られる)入賞時に掲載される情報としては、「①受賞句、②ペンネーム(または本名)、③居住地(県や市まで)④年代・年齢、⑤職業」とあった時に、①②はマストで、③④はそこまで掲載する公募川柳はそれほど多くなく、⑤はそれ以上に少ない印象だ。

公募川柳において、募集テーマと受賞者の属性(ここでは特に年齢)にはある程度関わりが見られるのだろうか。2つの公募川柳を元に、今回は川柳と年齢について考えていく。


2つの公募川柳

(例1)シルバー川柳

最初に、有労協主催の『シルバー川柳』。「シルバー」と冠するため、年長者向けコンテストかと思いきや、意外なことに、応募者の年齢制限がない。毎年、入賞者の結果と共に、「応募者の平均年齢・最年長年齢・最年少年齢」を丁寧に開示している。2023年9月発表に発表された第23回では、平均年齢は66歳。実際、40歳未満の応募者は全体の6%とかなり少なめではあった。だが、30才代の方が入選しているので、シルバー層以外の受賞も存在する。

(例2)オタク川柳

次に、株式会社インターリンク主催の『オタク川柳』。こちらは「●代」という形で受賞者の年代を公開している。2024年3月発表の、『第19回オタク川柳』の受賞者の年代をカウントすると、10代2人、20代4人、30代3人、40代8人、50代2人、60代1人、と40代がボリュームゾーンである。

オタクカルチャーを考えると、受賞の年齢層は10代・20代が多いかと思いきや、かなり受賞者の年齢の幅が広い。オタク川柳が世代を問わず愛されているの証左かもしれない。 ※応募者全体の年代は開示されていないので割愛

気が早いが、ここまでの結論

ここまで見た2つの公募川柳を見る限り、何歳だから受賞できる(または受賞できない)とは言い切れない。なので、もし言うことができることがあるとすれば、

テーマによってある程度想定された層があり
⇒そのテーマに関係する年代の人の応募が多いから
⇒結果的に受賞者の年代もその年代に偏る
(=テーマに合わない年代の受賞者が少なく見える)

位のことなのかなぁと感じている。もし仮に「過去全ての受賞者一覧を見ても、年齢が明らかに偏っている」という公募があれば、一種の応募のバロメーターになりそうだ。

年齢と作品をリンクする公募


ただ、個人的に、圧倒的に、年齢と自分の作品をリンクして審査されているんだろうな、と感じる公募がある。

伊藤園主催の『おーいお茶 新俳句』 だ(川柳じゃないやんけ)

我が家にある読みすぎてボロボロになった『自由語り』

受賞者にプレゼントされる『自由語り』には、受賞者の居住地・氏名・年齢が、受賞句と共に掲載される。そもそも、新俳句は『二次審査通過のお知らせ』という封書(通称、みどりの封筒)に作品の意図(よんだ時の気持ち)を回答する必要があるのだが、受賞できたこれまでの句を思い起こすと圧倒的に自分の体感に基づくものであったケースが多い。(超個人の主観)

その時の自分がよんだ句というリアリティ、その歳の自分しかよめない体感、そんな『今』が求められている印象だ。だからこそ、30代のつべるが、例えば学校に関すること(方程式や給食、理科室など)で句をよむと、よみ方によってはかなりチグハグな印象を与える。正直難しい。(別にダメって言ってるわけじゃない)

11歳の子どもだから感じ取れる感性
89歳の人生の大先輩だから実現できるスケール
 
が、確かに存在する。(と思う)

終わりに

その時よめる自分だけの作品を

今日は『年齢』と公募川柳をテーマにここまで話してみた。人によっては「年齢は非公表にしてほしい」という意見もあるし、確かにその年齢とよんだ句はある程度リンクして見られる(引きずられてしまう)というデメリットもある。現在、少しずつ性別の男女表記が減っていることと同じくらい、近い将来、年齢の公開は減っていくかもしれない。

だが、10代にしか詠めない川柳も、40代にしか詠めない川柳も、存在する、と私は思っている。何より、歳をとることが怖くなくなる。1歳をとった私は、間違いなく、1歳分(1年分)今の自分より多くの川柳を詠んでいるはずなのだ!笑(そうであってくれ!!!!たのむ!!!!)

その時の年齢と共に、その時よめる川柳をよんでいきたい。

公募川柳のために使います。