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暗合句について語ろう!

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先日の振り返り記事で、「あれもこれもまだまだ書きたいテーマがあります!!!」と鼻息荒く息巻いていたのに、書けず仕舞いでした。ハードルを上げ過ぎるのも良くないですね笑
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公募川柳を提出するにあたって「募集要項」を確認していると、必ずといっていいほど、下記のような文章に出くわす。

入選作品が、類似句や先行作品と同一句(いわゆる暗合句)であると判明した場合には、入選を取り消すことがあります。

税務研究会 税金川柳募集 抜粋

今日はいわゆる暗合句をテーマに個人的に考えたことをお話しをしていきたい。


暗合句とは

「暗合句」とは先ほどの「類似句や先行作品と同一句(いわゆる暗合句)」という言葉からも分かるように、【(特定の句と)偶然にも(=「暗」に)酷似している(=「合」っている)句】を指す言葉だ。

「暗合」という言葉は、「暗号」以上に、日常生活では出てこない。私自身は川柳の世界で初めて出会った言葉だった。

最初にこの語彙を知ったときに、何というか川柳の奥ゆかしさというか、懐の深さに触れたようで感動した。五七五という限られた音で表現する以上、類想類句に陥る可能性はある。それを、例えば「窃盗句」みたいな表現で「窃盗したな」「パクったな」という風に鼻っから疑ってかかるのではなく、「暗合句」として「この句は先行して存在しておりますよ。あくまで偶然一致してしまいましたね」という風に持っていくのが、しなやかで大人の気品が感じられる言葉だと思ったのだ。(「暗号句」が仕方ない、と言っているのではなく)

公募川柳の審査員を務めた経験などがないので、審査過程の中でどのように暗号句が弾かれているのか想像するしかないのだが、非常に大変な作業だろうなと思う。大変さの一つは、この世の全ての川柳が掲載された書籍やWEBページなどが存在しないからだ

官民問わず多くのコンテストが開催される中で、主催者側が全ての結果に目を通し、全てと被ってないかをチェックするのはほぼ不可能なのではないか。だから、(色々な公募川柳の結果を把握している)応募者側の方から指摘があり、後々入賞が取り消しになる、というケースが時々見られるのだと思う。

暗合句についての個人的なあれこれ


ここからは、暗合句とはまではいかないが、公募川柳をしていて、重なりやすいなーと思う内容?についてまとめていく。

①流行語

一つは「流行語」。個人的に「流行語」はその時代を反映させることができる大切な要素だと思うし、私も大好きだ。キャッチーな流行語をうまく川柳に取り入れ機能している句は、読んでいても楽しい。

でも、例えば、WBC決勝前に大谷選手が語った名言「憧れるのをやめましょう」。これを川柳に入れるとなると、「憧れるのを(7音)やめましょう(5音)」でどうしたって中七・下五に固定される。初めて入賞句で「●●憧れるのをやめましょう」を見た時は、「まず7音・5音と気付いたの天才!!!」と驚き、「「●●」への憧れを抱きつつもその憧れを置いて次に進む心の揺れ動きが伝わってきます!!!」と全私が沸いた。でも、その後、まあまあ高い頻度で類似の入賞句を見るようになってしまい既視感が…(あとは察してください笑)別にパクりとかパクらないとかではなく、「流行語」は「流行語」の持つ語数と、そのイメージに近い形で川柳に落とし込むことになるから、大体類似になるよなあ、新鮮味はなくなるよなあ、難しいなあと思っている。

②「型」

もう一つは「型」。人口に膾炙し過ぎて、正直もうこの形式は殿堂入りなのでは??という型も存在する。(あんまりにここで素直なことを言って嫌われてもいいことがないので、一つだけ例を挙げるとすれば)「変わる世に変わらぬ●●」とかだろうか。めくるめく変わる世の中・時代の中で、「変わらない●●」の安心感、信頼感、力強さ。「変わる」と「変わらぬ」の対比も作り出せるし、「世」って出すことによって、大きなスケールで物事を語っている感じにもなる。令和になってすぐが多かったイメージだが、今でも年1・2回は何らかのコンテストで
見かける。効果は絶大なんだろうな、と思っている。

①流行語も②型も、考えなしに安易に使うと独自性が損なわれかねない。オリジナリティを追求しつつも、どう自分の句の中に取り入れていくのが大事なのかなと感じている。

最後に

今日は「暗合句」の意味から個人的な思いまでをまとめてみた。
ちなみに私が「暗合句」を防ぐためにやっていることとして、「気に入った川柳ができた時ほど、投句前に検索を掛けて先行句がないかを確認する」がある。ただ、このやり方も正確にヒットしない場合もあるだろうし、抜け漏れの難しさも感じている。

個人的には、被らないようにすることも大事だが、被りを気にし過ぎて挑戦しきれない状況も避けたい。だから、よく人の句を読んでこれは既に世に出ている、と真摯に学んでいくという自力と、コンテストでの審査に委ねるという他力のバランスが大切なのかなと思う。

公募川柳のために使います。