亡くなるヒトがいて、成長させていただいている

医者としていままでに何人の方の死を目の当たりにしただろう。
医者としての日々そのものが非日常ではあるけれど、その最たるものがやはり「死」なのだと思う。

死を目の前にして、医者は無力感しか感じない。
自動的に始まる、自問自答。
正解なんてないのに、正解を見出そうとする。
ある部分は正当化し、ある部分は後悔する。

様々な死を経験するなかで、不謹慎な話ではあるが、思い入れの強弱の存在はどうしても否定できない。
形式的な看取りをすることもある一方で、涙が止まらない時もある。

その方の元気だったころの姿。
こんな自分を信頼してくれていた日々。
冗談さえ言い合えた診療の一場面。

誰だって死ぬのに、自分だって家族だって仲間だって、いつかは死ぬのに。
そのヒトの死は、すぐには受け入れられない。
元気だったころの姿が繰り返し再生される。

そんな時こそ、前を向かないといけない。
リアルに聞こえる、その方の声。
やるべきことはただひとつだと、気づかせそして背中を強く押してくれる。

今を、1秒も無駄にせずにしっかりと、生きる。

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