クリニック院長が会社を立ち上げた理由

いまから4年前、クリニックの院長になりました。

もともと医療法人の100%資本で開設されているため、私自身は1円も出していません。にもかかわらず、立地から内装、採用やマーケティングまで私の自由な判断で運営させていただいておりました。
さらに将来的には法人から独立するという前提で、双方合意のうえでスタートしました。
嬉しいことに理事長には信頼を置いて頂いており、ほぼすべての決裁権を私に託していただいています(雑に言うと放置ですね)。
好き勝手させていただいた結果、予定通り3年半で開業資金+運転資金に相当する額の営業利益を積み上げることができました。
そして、当初の計画(契約)どおり「独立」に向けての調整段階に入る、はずでした。

ここで、問題が起きます。
私自身、なんだかスゲーしんどいっていうことに気づいたのです。
はじめの数年は、なにがなんでもガムシャラに頑張ってやり抜こうと気合を入れていました。結果、スタッフ5人で開始したクリニックは3倍の人数になり、月々の固定費は相当な額に膨れ上がり、売上は伸びているのに利益が減っているという状態に陥りました。いつしか、働く意味が「スタッフたちに給料を出すこと」にかわっていることに気づきました。いわゆる「壁」にぶち当たっていたようです。
ただ「ワクワクするから」ということで始めたクリニックですが、すでにワクワクは枯渇状態。頭でクリエイティブな思考を始めると、まもなく音を立ててブレーキがかかってしまいます。
このまま独立すると、業務量は確実に増えます。そしてさらに身動きがとれなくなるのは火を見るよりも明らかでした。

抜本的に考え方をシフトさせないといけない。クリニックの私に対する属人性が極めて強い体制を変えていかないと、なんで生きているのかわからなくなると考えるまでに至りました。

一方で独立は、税理士からしたら「オイシイ」と言われていました。
理事長のご厚意により、経営学的な観点からは確かにオイシイ案件でした。クリニックを物としてみた時に、かなりのお買い得商品になっていたみたいです。

しかしその時点で、「独立」という選択肢は一旦消去し、いまの法人内での分院長として引き続き勤務するという道を選びました。
そして、私の業務負担割合を減らすべく、他に「稼ぎ頭」を育てるという方針に大きく舵を切りました。
そこですでに稼ぎ頭として成長しつつある「訪問看護部門」を、クリニックからスピンアウトさせるということを思いつき、その流れで別法人の設立というのが視野に入ってきたのです。

新たな会社を立ち上げる、そして自分が代表になる。ワクワクしてくると共に、またクリエイティブな思考の歯車に潤いが戻ってきました。
もともとやりたいことがたくさんあり、いろんな人に出会うたびに、またやりたいことが増えていく。
独立して自分で医療法人を立ち上げたところで、やりたいことの半分も達成できないということに改めて気づき、「株式会社」を立ち上げることにしました。
ひとりの想いを何倍にも大きくしてくれるステキな仲間たちにも出会え、大きく後押ししてくれました。
一見無茶で理解不能な行動にも見えますが、その冒険を楽しむ自分がいます。
訪問看護を皮切りに、様々な事業を計画中です。

面白半分で観察していただき、すこしでも応援していただけると嬉しいです。

https://www.akala-care-design.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?