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役者魂

ダリオ・アルジェント監督の『サスペリアPART2』でジョルダーニ教授を演じていたグラウコ・マウリが9月28日に亡くなった。10月1日に94歳になる直前のことだった。

彼は映画俳優としてはあまり知られていない。それは彼の主戦場が演劇の分野だからだ。

彼の逝去に当たってのイタリアのアレッサンドロ・ジュリ文化大臣の言葉を引用する。

「グラウコ・マウリはイタリア演劇の正真正銘の巨匠であり、人生をエンターテイメントに捧げ、何世代もの俳優や監督にインスピレーションを与えた絶対的な主人公でした。この深い痛みの瞬間に、彼の家族と愛する人たちに心からのお悔やみを表したいと思います」

彼は『サスペリアPART2』でこそ、謎のカラクリ人形に驚かされたり、机の角に歯をぶつけられたりして殺される役だったが、イタリアの文化相のコメントでもわかるように、演劇の世界ではシェイクスピアやモリエール、ピランデッロなどの作品を演じ、長年のキャリアを持つ重鎮だった。

『サスペリアPART2』のグラウコ・マウリのイメージ(絵は筆者)

ダリオ・アルジェントの映画ではテクニックばかりにスポットが当てられ、俳優の演技は重要視されないとの誤解があるが、実はそうではない。

例えば『サスペリアPART2』ではカルロを演じたガブリエーレ・ラヴィアも偉大な舞台俳優兼演出家である。そのほか、芸達者な役者たちが脇を固めている。

グラウコ・マウリさんのご冥福をお祈りします。

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