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FD記録:2023年11月・12月


11月、痛みが数日あるも珍しく嘔吐するまでは至らず、今までと比べれば調子良くひと月を終えられた。
ぬか喜びは怖い。半信半疑なまま、それでも痛みのない毎日に喜びをじわじわ噛みしめて過ごしていた。

12月半ば、これまでとは違う、嘔吐を伴わない激しい痛みに襲われる。
顔を洗う為前傾姿勢をとったのが引き金のように、姿勢を動かす度に胃全体の筋肉がひきつるように痛みが増していった。
べそをかきながら「痛い、痛い、痛い」と1時間程七転八倒した。
夫は「救急に連絡しよう?」と提案するが、死ぬ程の痛みでないことはわかっていたので「いやだ、いや、痛い、痛い、いや、大丈夫」と頑なに固辞する。
「大丈夫じゃないよお」と夫もべそをかきそうだった。
「とりあえずあったかい部屋に移動して、服着よ?薬も」
お風呂上がりだった。移動も、下着を着るのも時間がかかった。
動くと痛む。だがその痛みでまた身を捩ってしまう。そしてまたそれが胃に響く。
濡れた髪が冷えて寒いのになんとか身につけたズボンからは汗がだらだらと出て気持ちが悪かった。
夫が用意してくれた湯たんぽを抱えると一時痛みが和らぐタイミングが来た。
なんとか体を起こして薬を飲んだ。
解熱鎮痛剤(先月何故か効いた)と胃薬(効いたことはないがとりあえず)と抗不安薬。

ドライヤーで髪を乾かしてほしいと夫に頼むと、温風なのにそれが冷たい刺激に感じられてまた胃が疼く。
痛い。どうしても痛い。
死にはしない痛みだけれど、いつもの吐けばおさまるような我慢の利く痛みではない。いつもの痛みであれば朝までなんとか耐えられていた。嘔吐し時間が経てば少しずつでも和らいでいくし。
だが、今回は突然の波が押し寄せ、時々気まぐれに引くが、押し寄せる時間がずっと長く、徐々によくなるような痛みの幅がなかった。
普通に、なんか、ダイレクトにずっと痛い。

死なないけど、このまま朝まで何時間も我慢できるかと自分に問えば(絶対に無理)と心が即答した。

夫が救急電話相談へ連絡した。
電話口から問われる症状に応答する夫。
本当は私が応えなきゃと思うのに、「痛い」と発する以外の空気の出入りができない喉に成り変わってしまったようだった。情けなさすぎる。
電話の先には、夫以外の人には、絶対に私の「痛い」という泣き言が耳に届かないよう声を殺して震える呼吸を続けることしかできなかった。

夫が、救急当番の病院を聴き終わったあたりだっただろうか。
これで無限には我慢できない痛みと僅かなりともさよならできると希望を抱いた時だった。
じんわり、痛みが引いた。
驚く程痛みがいなくなった。
薬が効いたのだろうか?
今なら眠剤を入れれば絶対に眠れると確信した。
「治った。救急じゃなくて大丈夫。とりあえず寝て、明日、以前通ってた胃腸科に行く」
と夫に告げ私はその通り眠りについた。

夫はとかく心配していて、自分が結石になっても休まなかったというのに、次の日は休みをとって付き添ってくれた。

血液検査で炎症反応なし、エコーも綺麗。
急に痛んで急に治るのは結石くらいしかないらしくその兆候はない。

いつもと違う痛み方だが、いつもと同じメカニズムで機能的な痛みが出たのだろうと言われた。

抗不安薬らしい頓服を処方された。
既に別で飲んでいる薬もあったのでそこも確認の上併用できるものとのことだった。
引越しを月末に控えていたのでちょうどよく紹介状も書いてもらえることとなった。


12月、私は家族のことで酷く悩んでおり、毎日整理のつかない心のまま涙腺を壊していた。
制御できない胸の内を涙と鼻水を垂れ流してなんとか息をしていたのだが、もしかしたらそれが痛みの発端かもしれない。
今まで胃痛は精神的なものでないだろうと思っていたけれど、いつもと違う痛みではあるし、またよくわからないことが増えてしまった。

引越し先でFDの専門の先生とか…捜せればいいなと思う。

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