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神田伯山新春連続読みレポート 3日目(畔倉2日目)

新春連続読み『畔倉重四郎』2024に6日間通って感想を書く。3日目は物語が一気に進む回。

金兵衛殺し

博打で負けて腹が立った重四郎は賭場の主の金兵衛を殺し、死体の横に兄弟分の三五郎の扇子を置いて去る。金兵衛が殺されたことに気づいた子分に追われて逃げた先の熊坊主のところで、50両やるから匿えと言って天井裏に隠れる。金兵衛の子分に叩きのめされた熊坊主は死んだふりをしてやり過ごし、子分が去ったあと重四郎が行こうとすると、50両をせびる。金兵衛殺しを知っているのは熊坊主だけと気づいた重四郎は熊坊主をも殺す。

栗橋の焼き場殺し

金兵衛殺しを三五郎に告白した重四郎は、金兵衛の葬儀に行くと子分3人に呼び出される。三五郎が下手人と踏んでいるという話を聞かされると、敵討ちに協力すると嘘の約束をする。三五郎討ち当日、三五郎がいるはずの栗橋に行くとまだ三五郎が着いておらず、待っているうちに日が暮れる。そこで重四郎と三五郎は金兵衛の子分3人を次々と殺す。焼き場の弥十に頼んで3人を焼き、骨を川に流すと2人は帰ろうとするが、重四郎はこの殺しを知っている弥十も殺しておいたほうがいいと、やはり殺してしまう。重四郎と三五郎は別れることになる。

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5席目と6席目は若い重四郎が怒涛の勢いで人を殺していく。ほんの軽い気持ちで、さも簡単なことのように殺しを繰り返す様子はもう人でなしの有り様で、殺した相手が焼ける臭いを嗅ぎながら飲む酒をうまいという様子はかなり不気味である。重四郎がうまいというその酒を三五郎は不味いと言う。そこが、まだ人間味の残る三五郎と、プロの人殺しになってしまった重四郎の違いなのだろう。


大黒屋婿入り

三五郎と別れた重四郎は旅に出ると、ある旅籠の客に目をつける。どうも遊女屋をかねるらしい宿屋の未亡人が主人を弔った帰りらしい。おときというその客に重四郎は親切を装ってつけ入り、男女の仲になる。重四郎が貸してくれた金を必ず返したいから、暮れに店に寄ってくださいねというおときを振り払い、彼女が待ちきれなくなったであろう頃合いを見計らって彼女の宿屋を訪ねた。形もよく優しい重四郎の様子に周囲の心はほぐれ、重四郎は婿入りを許されて二代目大黒屋となる。ある日左腕に怪我をした殺人犯が宿に来るかもしれないと通報を受け、そいつが自分の店にいるのを見つけると、逃がしてやると言って連れ出し、夜道で殺してしまう。このとき、返り血を洗っているところを遊女のおふみに見られてしまう。

三五郎の再会

すっかり信用されて大黒屋を演じ、日々を過ごしていた重四郎は、博打のいざこざで物置に隠れた見知らぬ男を助けてやる。驚くことにその男は三五郎だった。久々の再会に喜びつつ、三五郎は少し金を分けてほしいと言う。腹違いの兄弟であるということにして重四郎は三五郎の面倒をみるが、小間物屋をやらせようとしてもすぐに飽きてしまう三五郎を見ると年季の明けたおふみを嫁がせることにする。ところが三五郎は一向に働く気配がなく、おふみを使って繰り返し金を借りに来た。強請りはしないという約束を破った三五郎を許せなくなってきた重四郎は、三五郎を殺そうと考え始める。

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堅気を装って平気で暮らしていける重四郎と、落ちぶれてしまう三五郎は対照的で、やはりプロの悪人かそうでないか、人間でないか人間かの違いが表れていると思う。

伯山の演じる女性が結構好きで、なぜこんなに違和感なく聞けるのか不思議に思いつつ聞き惚れている。おときは騙されて可哀想だなと思ったり、気立ての良いおふみを応援したいと思ったり、気づいたらすごく感情移入している。

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