2022年4月1日

 昨日は昼過ぎに起きてバイトに行って、それからダラダラと時間を過ごしただけで終わったので特筆することもなかった。

 そのくせ朝の五時になるまでは眠らなかったものだから、今日目を覚ましたのは夕方になる少し前くらいのことだった。通学用の定期券を買わなければならなかったので、たとえ日が暮れた後とあっても外出の必要があった。仕方がないのでしばらく布団の上で夢うつつを過ごした後で、シャワーを浴びて外に出た。

 自分が定期券を作りに来るということは同じ目論見を持って駅に来る人の多い季節だ。予想通りに緑の窓口は人でごった返していた。ただ、定期券を作成する人は別で案内されていたおかげで、思っていたよりは早く用事を済ませることができた。通学定期券をスマホに取り込んだ場合どうなるのかと駅員に尋ねたところ、有効期限が切れる前に更新手続きをすればそのまま継続できるが、期限が過ぎてしまえば定期券を作り直さなければならないようだった。どうしてそんな面倒な仕様なのだと思いながら、結局は利便性を考えてスマホにそれを取り込んだ。

 用が済んだのであとは常日頃欲しいと思っていた雑貨を買い揃えることにした。迷路のような駅ビルの地下を彷徨いながら、辿り着いた無印良品でデスク用の小物入れとレトルトのカレーのストックを購入した。途中寄ったフレグランス系のお店で、金木犀の香りがするハンドクリームが売っていて欲しくなったが、給料が振り込まれるまではまだ日があったので次の機会に回すことにする。まだ前に買ったハンドクリームを使い終えてもいないし。

 他に欲しいものと言えばリードディフューザーがあった。ここになら多くの種類が揃えてあるだろうとあたりをつけて、駅の近くに位置していた東急ハンズに向かう。起きてから何も食べていなかったので空腹に苛まれていたが、無視して歩を進めた。やはりそこはたくさんの香りで溢れていたから、置いてある試供品をいくつか手に取り、気に入ったものを選んでレジに向かう。

 その途中、視界に突然大量の本が映し出された。はじめはインテリア用の飾りとして置いてあるのかと思ったが、近づいてみるとゴダールやヒッチコックの名が冠された映画本や純文学の比率が高い本棚がそこにはあった。どうやら東急ハンズ内で古本市が開かれているようだった。思わぬところでそうした催しに遭遇したことで気分が高揚し、大江健三郎の『同時代ゲーム』や須賀敦子の全集、数年前に開かれたマリー・ローランサンの図録などをついでにレジに運んだ。

 帰りの電車に乗る前に焼肉ライクに立ち寄って夕食を取る。味と値段には満足したが、ああいうせせこましい作りの飲食店は落ち着かなくて、やはり少し苦手に感じてしまう。食事が済んだらすぐに店を出ろという無言の圧が常に場を支配しているように思える。食べるのが遅い私にとっては難儀なプレッシャーであった。

 帰宅して人と話したりしているうちに、いつものように早朝をむかえる。


聴いた音楽.
Teenage Fanclub / Bandwagonesque
The Pains of Being Pure at Heart / The Pains of Being Pure at Heart

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