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そもそもなぜ風俗をはじめたのか

風俗をはじめる理由は人それぞれだと思うが、経済的理由が一番多いんじゃないだろうか。

ホストにハマってしまって通うお金がない。→お金ですね!
借金を背負ってしまった。→お金ですね!
無職になった。→お金ですね!
開業資金を貯めるため。→お金ですね!

などなど……

もちろん、性的なことに興味があるとか、風俗嬢になって業界トップとってやんよ!とか、そういう方もいるかもしれないが、風俗を始める最大の理由は「短時間でお金が稼げる」という経済的理由が一番多いと思う。

私も「短時間でお金が稼げる」から、風俗を始めたうちの一人だ。

家の経済状況の危機を知る

私の家の雲行きが怪しくなったのは高校生になってから。
なにか父と母がアワアワオタオタし始め、姉も入れて家族会議の頻度が増えていった。私はというと、その会議に参加しようとすると「まだ子供だから」と言われて適当にあしらわれ、蚊帳の外状態だった。なんだかよく分からない状況が続いた。

高校生で私は友達といっしょにバレー部のマネージャーをやりたかったので、母にその話をした。すると母は「高校生からはもう小遣いを渡せない。だからバイトして稼いでなんとかしてほしい」と言われたのだ。
私は私立高校に通っていたのだがバイトは禁止されており、内申点次第で付属の大学に行けるかどうかが決まる。もしバイトしているのが学校側に見つかってしまったらとてつもなくヤバい。
しかし、それ以上にヤバかったのが私の家の経済状況だったのだ。

私の父は会社の経営陣と決裂してしまい、リストラされていた。そして家のローン返済が滞り、親戚や消費者金融から借金をしまくり、首が回らなくなってグルグルろくろ首状態になっていた。ギャンブルもしない真面目な仕事人間の父だったので、こうなることとは夢にも思わなかった。

でもそうすると、小遣い無しでバイトするのは構わないが、私立大学へ行くには莫大な学費がかかる。それは一体どうするつもりなのか母に問うと、「大学は無利子の奨学金があるから、それを借りれば大丈夫。卒業してから返せばいいから」という、なんとも他力本願な答えがあった。
いや、大丈夫じゃないだろう。結局それはまた借金をして返済を先送りにするだけで、しかも支払うのは自分じゃないか。
大学に行かないという選択肢は無いのか?すぐに働いてはいけないのか?とも考えたが、私の両親は【学歴至上主義】だったので、大学へ行くことは絶対!らしくその選択肢はなかった。
なんとしてでも大学には行ってほしい。お金がなくても行ってほしい。
この身のほど知らずの両親の高望みが私を風俗の世界へと突き落としたのだった。

援助交際をして女の身体がお金になることを知る

そんなわけで私は部活のマネージャーになることを諦め、某ファーストフード店で初のアルバイトをすることになる。学校帰りにアルバイトをして、稼げる額は月に5万円くらい。高校生として使える金額としてはじゅうぶんなものだったが、私は高校を卒業して大学に入学した時のことを考えて焦っていた。
「大学に入学してアルバイトをしたとしても、学業と両立して稼げるのはせいぜい10万円いかないくらいかもしれない。奨学金はそのまま学費に充てるとして、大学の学生生活はその金額で賄えるものなのだろうか?大学の友達と遊ぶこともあるだろうし、教材を買うこともあるし、交通費だってある。今のうちに稼ぐ手段を考えておかなければ…」

この頃、私の家の経済状況はますます悪くなっており、自己破産して家を手放すか手放さないかの話になっていた。とても「大学行ったら教材費と交通費だけはちょうだいぴょ~ん」とか言えない状況なのである。というか、私の親は肝心なところを考えてないというか、計算できていないというか、【奨学金さえもらえば大学に行くのは無問題】と思っているようだった。

そんな訳で当時の私は、怪しげな掲示板でまず援助交際を始めることになったのだ。
自分の容姿に自信が無かったので価格は一万円~で募集したような気がする。援助交際を始めるにあたって、初体験はちゃんと当時付き合っていた彼氏とすませていたので、そこだけは本当に良かったと思っている。
そして二人くらいの男性と関係をもったのだが、私は「ああ、私でもちゃんと売れるんだ」という気持ちになったのを覚えている。そして「これでお金がもらえるならどうってことないかもしれない」とも思っていた。

もちろん、親や当時付き合っていた彼氏への罪悪感はあった。
しかし、親は親で「お金が無いのに大学へ行け」という無茶を言っていたので、そこはある意味、無茶苦茶言うんじゃねぇよ!という反抗心もあった。彼氏にはただひたすら申し訳ないが、きっと私の家の状況を知っても彼もどうにもできなかっただろう。
だから私は援助交際をして【春を売る】ということに手ごたえを感じ、この方法でお金を稼いでいこうと決意を固めつつあった。

援助交際ではトラブルがつきまとうことを知る

援助交際でお金を稼ぐ日々だったが、トラブルが起きたことがあった。
まずは約束した日の待ち合わせに来ない人がいる。稼ぎがゼロになってしまうし、時間も無駄になるので本当にイラついた。
また、ストーカー気質になる人もいた。連絡のメールをしつこく送ってきたり、私の日程を無理やり自分に合わせようとしたり、とにかく気が合わない人とのやりとりは気が滅入った。
「これは個人でやるには限界がある」と思った私は、18歳になればいわゆる風俗のお店で働ける、とふと考え始めていた。
今は【パパ活】なんていうものが流行っているけれど、私は早くも個人でやりとりしたときのリスクを念頭に置いていた。まあ、個人で管理できる能力が無かったとも言えるので、【パパ活】をやっている方はある意味で管理能力がすごいのだろうと思っている。

大学へ入学すると同時に風俗デビュー

大学に入学するとき、父は新しい仕事に就いたものの、結局自己破産することになり家は手放すこととなった。家族4人(父、母、姉、私)でマンションでの暮らしが始まったが、なにせ自己破産をしたので本当にお金が無い。
結局、入学金は先に社会人として働き始めていた姉が払ってくれた。親に「感謝しなさい」と言われたが、私はそもそもそこまでして大学に行かなければならないのかがまず疑問だったので、「はあそうですね」という感じだった。

大学に入学し、友達は新しい生活にとにかくはしゃぎまくっていた。私も表向きはキラキラとはしゃぎまくっていた。しかし奨学金の手続きをしている最中も「お金をなんとかしなければ…」という強迫観念にとらわれていた。

そして某所のイメクラ店で面接を受け、大学生兼風俗嬢として勤務し始めたのだった。
援助交際で、いわゆる性行為自体には慣れていると思っていた私だったが、援助交際と違ったのは【来る人間を選べない】というところが分かっていたことだけど、明確な違いとショックであった。
しつこい人間や乱暴な人間ももちろんいる。店舗だからお店のスタッフはもちろん呼べば来るが、どのくらいイレギュラーなら呼べばいいのか分からない。というか、本当に分からないことだらけ。

大学生活も始まったばかりで、こちらも分からないことだらけ。
私はダブルの生活のストレスで、駅で2回倒れ、大学の友達にめちゃくちゃ心配をかけてしまった。
駅で倒れたとき2人のオバちゃんに「大丈夫!?」と声をかけられ、両脇を抱えられて駅員室まで引きずられていったのを今でも覚えている。あの時のオバちゃんありがとう、優しさプライスレス。

風俗デビューその後

風俗デビューしたばかりの時はよくぶっ倒れていた私だったが、そのうちメンタルも立て直し、業種を変えつつ風俗の仕事を続けた。
風俗デビューしたことを後悔はしてないが、私は取り立てて大学でやりたかったこともない人間なので、なんで風俗で働いてまで大学に行かなければならなかったのか、いまだに謎である。
「良い大学に入れば会社に就職するときに有利」だなんて親に言われていたが、そもそもどこの大学卒だなんて、ひと昔まえならともかく今の世代は誰も気にしていない。スキルと経験のほうが何より大事だと思う。何より風俗で仕事をしたせいで私の精神面は会社に就職するような人間ではなくなってしまった。

紆余曲折あって、私が風俗で働いていたことを母にカミングアウトしたのだが、母は「大変だったろうけど、それでも大学に行っといたほうが良かったでしょ」って言うのだから、驚きだ。
私は母と違って、風俗をしてでも大学に行くべきだったのか、今でもよく分からない。

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