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「スモール・イズ・ビューティフル」

「スモール・イズ・ビューティフル」要旨・まとめ(文責:赤木弘喜)
 E・F・シューマッハー(Ernst Friedrich Schumacher)著・1973年

生活様式の目標は永続性である

 農業では、生物学的にみて健全で地力を強め健康と美と永続性を生むような生産方法を完成させる。

 工業では、小規模の「人間の顔を持った技術」を開発することによって楽しみながら働くことをできるようにする。

 永続性の経済学は、科学・技術の根本的な再編成を意味している。環境を汚染したり、社会構造や人間そのものの質を落とすような科学的ないしは技術的「解決」は、それがどんなに巧みで見た目に魅力があろうとも無用である。

 英知は、科学・技術を有機的なもの、非暴力的なもの、優雅なもの、美しいものへと組み替えることを求める。

 仕事の役割は、人間にその能力を発揮・向上させる場を与えること、ひとつの仕事を他の人達とともにすることを通じて自己中心的な態度を棄てさせること、まっとうな生活に必要な財とサービスを作り出すことである。
 仕事というものの性質が正しく把握され、実行されるならば、仕事と人間の高尚な能力の関係は、食物と身体の関係と同じになるだろう。

 仕事は、人間を向上させ、活力を与え、その最高の能力を引き出すように促す。仕事は、人間の自由意志を正しい方向へ向け、人間がその価値観を明らかにし、人格を向上する上で最良の舞台となる。

まず完全雇用の計画から出発
 その目標は、「家庭外の」仕事を求めるすべての人たちに職を与える。
 地域の必要に応じ、地域でとれる資源を使って生産を行うのが最も合理的な経済生活である。

大量生産ではなく大衆による生産
 国民所得、成長率、資本算出比率、投入・算出分析、労働の移動性、資本蓄積といったような抽象概念を超えて、貧困、挫折、疎外、絶望、社会秩序の分解、犯罪、現実逃避、ストレス、混雑、醜さ、そして精神の死というような現実の姿に触れるべきである。

 大衆による生産の技術は、現代の知識、経験の最良のものを活用し、分散化を促進し、エコロジーの法則にそむかず、希少な資源を乱費せず、人間を機械に奉仕させるのではなく、人間に役立つように作られている。

ふるさと派
 人間と環境についての基本になる真理へ立ち戻ろうと務めているグループ。現状を見直し目標を立て直す、方向の切り替えは人間の生命とは何かを思い起こすこと。

貧しい人たちの状態
 農村の失業が大量の都市移住を引き起こし、一番豊かな国でさえ、その資源への重い負担になる都市の肥大化を促進する。失業は農村から都市に移るのである。

いちばん助けが必要な人達を助けること
 農村と小都市に「農業と工業化」構造を創りだす必要がある。
 限りなく多くの仕事場が必要である。(仕事場の数を増やしてから内容の充実を)失業者、半失業者に仕事の機会を最大限に与える。

農業の目的
 ①人間と生きた自然界との結びつきを保つこと。人間は自然界の一部である。
 ②人間を取り巻く生存環境に人間味を与え、これを気高いものにすること。
 ③まっとうな生活を営むのに必要な食料や原料を造り出すこと。
  土地というものはこの上なく貴重な資産であって、それを「おさめ、守る」のが人間の任務であり、幸福でもある。健康と美と永続性を目指そうではないか。

人々の願いは、
 何らかの仕事について小額なりとも収入を得ることであり、自分の時間と労働とが社会に役立っているという実感をもてば、はじめてこの2つの価値を更に高めようとする意欲が湧いてくるのである。

知識のインフラ構築
 ①情報伝達:「同じ地域」ないしは「同じ仕事分野」で、相互に直接情報交換ができるようにする。
②情報媒体: 適正技術等の情報を体系的に集め広めること。
「情報に関する情報」・「ノウハウについてのノウハウ」を持つ。
③フィードバック: 現場の働き手から技術的問題等をその解決に必要な知識・設備のある先進者に投げ返すこと。

都市の健やかさが農村の健やかさに依存している事は永遠の真理である。

都市と農村の生活の間に適切な均衡を取り戻すのが現代人の最大の課題である。

農都共生!

令和2年1月14日 赤木弘喜(要旨まとめ)

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