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贈れなかった贈り物

ああ、やっとその時が来たなと思った
ひとつまた結界を決壊させる時がきた

ごそごそと オレンジ色に染まる部屋の中 朝一番に押し入れを漁る

あった

沖縄三味線

新品だ

当たり前笑だってこれは贈り物 正確に言えば贈り損ねた 宛名のない手紙

6年前の11月初に、何日かは忘れたけど

柳条湖事変みたいな、オーストリア皇太子暗殺事件みたいな、桶狭間の合戦みたいな、ダンケルクの戦いみたいな(高校の方針で高1で地歴公民コンプリ高2高3は世界史ゼンフリそう私は私立文系笑)

その前からそこに向かって時間は集まり始めていて、起きるべくして、そしてその後の世界にとっては分水嶺になる必然だから驚くには当たらないけどエポックメイキングな出来事 

形容詞が長いな笑

が私的に起きて笑(私的の枕に世界史的を持ってくるのがワラケル)
私の右脳が離婚に向けて急加速した

たぶん実際に離婚の事務的な手続きを、公正証書を取り交わし条件面で擦り合わせるまで3か月位しかかからなかったと思う

そのスピード感と展開に

ああ、これは、必然だな

今までで抗ってたから辛かったけど、流れがあるってことは、辛くないことはないだろうけど、これからやろうとすることは自然だろうなと

ボンヤリ思った

それは私にとって摩擦係数が少ない抗う流量が少ないだけで、勿論娘たちにしたら貰い事故だし、青天霹靂、受け入れられない現実なのも分かっていた

行き場をなくしたのは
彼の誕生日が10月末だったから、準備していた沖縄三味線だ

私はなかなか自画自賛だけど贈り物のセンスがよく笑、タイミングが悪いみたいだ苦笑

離婚の嵐の中、渡しそこねた沖縄三味線が、彼が去ったあともポツンとバツが悪そうにわが家に居残る

何の罪もないけれど、目にするわけにはいかない。音が鳴るモノを処分することはどうしても出来なかった。ペンディング。保留。押し入れに結界を張る。

時は流れて 
今朝目覚めて三味線の音が聞こえる文章に触れて、主のいないわが家の三味線が小さく鳴るのが聞こえる

ゴメンね。ずっと閉じ込めて。

乾いた布で埃を払い、朝日で浄めて邪気を払い、流れる空気にさらす

ベンベンベン 3本弦を爪弾く

こんな小さなオシャミに 何をそんなに嫌って怖れたのか
6年経てば真新しいオシャミから音が流れるのに心が共に振動するだけ

はて、三味線は身の振り方を如何にせむ?と腹に当ててみれば、これは私が私に贈った贈り物なのかなとふと思う朝に


三味線と言えば私にとっては高橋竹山さん
夜這いの民俗学の赤松さんの本に衝撃を受けて笑、門付けや、瞽女(ごぜ)に興味を持ってそこから辿り着いた方



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