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遠方より来るものは

ピンポーン
朝からインターホンが鳴る

スイカのお届けでーす

あらまあお荷物の中身まで読み上げサービス付きなのね笑

知っていましたよ
待っていましたよ
今日スイカが我が家に着くことは
そして受け取るまでは出掛けないつもりでした笑

重いですよー
両手で受け取ってくださいね
ズシッ
いやここは逗子じゃない笑

図示してみようか笑

ええがな音遊びは笑

ちょっと大きめに生まれた生後3ヶ月の赤ちゃんくらい重たい

スイカだよー
荷を解く
テンションが上がる

なになにと
わらわらと
家にはあと一人しかいなかったけど
集まってきて

うわああデカイ
スイカ割りできんじゃん

流石子どもに近い人のコメントだ

友人が解禁になったからと
上手いから食ってみろと
わざわざスイカを送ってくれた

お土産もそうだけど
スイカがどうのこうのじゃなくて
何よりその人が食べさせたいと
思ってくれたことの証が形になって
いまここにスイカが届くわけで

遠く離れた土地の美味しいものが
手元に届くということは
本当の贅沢だと思われてアリガタイ

ふと思いついて友だちにラインする

「今日はお仕事忙しいですか
スイカ食べに来ませんんか
美味しいスイカが届きました」

なんだかぐりとぐらか
白ヤギさんと黒ヤギさんみたいだけど

「まあ!朝からやさしいお誘いありがとう!レッスンが終わったら12時半過ぎに伺います」

返事があった

「そうめん茹でるから食べていってね」

重いなあデカいなあ何キロかなあと長女はスイカを抱いて体重計に乗り
6,7キロもある!と大騒ぎで

冷蔵庫に入れて冷やすために
スイカ割をすると棒を探し始めるから
いや飛び散るから止めてくれ
じゃあお風呂場でやるからと
いやそういう問題じゃないと
年齢制限あるの知ってた?
あれ小学生限定だよっていうとニンマリ笑って納得してた

ケーキ入刀!と叫んでから
大きなスイカをパックリ割ると
なかから桃太郎は出てこなかったけど
いやスイカ太郎か笑

ずっしり重い抵抗を感じて
包丁を切り下ろす

冷蔵庫はスイカだらけでスイカ祭の様相を呈して
2時間後の来客を待ちわびる

その間に薬味に茗荷と紫蘇と胡瓜を切って
ああお素麺だけじゃなんだし
天ぷらやさんでかき揚げでも買ってこようかなと
熱気垂れ込める街に自転車を走らせる

ねえママ
そもそもさあ
スイカ食べに来ませんかって誘ったの?
50のオバサンが45のオバサンを?
まるでさ十歳の子どもみたいだよ
そりゃあさアタシもさこの間
ねるねるねるね一緒に作らないって
友達呼び出したけどね
ああそれってこの後一生治らないやつなんだね笑




カブトムシにはあげないよ

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