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ひっそりと人を思う人

長女が来年成人式を迎えるのだけど

週末、長女が美容院に髪をアッシュに染めてもらいに行ったら
帰りに縮緬の花摘まみの簪を頂いてきた。

担当のノリ君のお母さんが
長女の成人のお祝いに手作りして下さったという

思いもかけない贈り物に
ジワンと喉の奥が熱くなる

ひっそりと思ってくれる人がいる

ありがたい

美容師のノリ君の弟君が
長女と保育園で同級生で
お母さんと私も働くママ同志で保育園時代を忙しく乗り切り
今は林檎やらワインやら煎餅やらを
時折お裾分けしあう
嘗ての戦友のような繋がりだ

かつノリ君には、母子で髪の毛を全幅の信頼を寄せてお任せしている

だから長女の成人のことは色々な繋がりから
知ってくれていたのだとは思うけど
他人の娘の成人を祝うために
どれ程の時間をかけてくれたか

ありがとうございますと、心から感謝をお伝えする。

もう一つ胸が熱くなる出来事があった

地域の文化センターで年に2回、自分の作ったものを一坪ショップ、
テーブル1枚分のお店に見立て販売するイベントがある。

そこで七夕的に会えるのを楽しみにしている方がいる。

自分の嫁いだときにお茶の先生に言われて新調しようと思ったけど
反物のままになっていた正絹の布地を改めて洗って作ったバックや

100才で亡くなられたご母堂が仕立たスーツのボタンを使ったブローチや

フランスで買ったネックレスを派手だからと解いたビーズを
留め金にしたポーチや

糸にも布地にも、ボタンひとつにも全て
それを嘗て身に纏った人の思い出が詰まっていて
更にまた新しい命を吹き込まれて、誰かの手に渡って物語を紡いでいく

そんなモノづくりと
モノ送りと
物語をしている方

形見分けみたいな作業を
強い意志をもって
麗子像が真っ白いオグシになったみたいな
静な佇まいで続けておられる方

私にとっては
老いてゆくことの
北極星のように
慕う人だ

年に2回しか
それも長くても数十分位しか
言葉を交わすことはないのだけど

魂はそれで
十分なんだ

私が病気になったことを
私の母はお喋りなもんで
別の販売イベントで会って
話してしまっていたらしい

母は、
自分より先に娘が死ぬかもなんて
誰かに喋らなきゃ受け入れられないタイプの人で

まあ人の口に板は立てられないって
まさにそれなだよなって人なんだけど苦笑

会った瞬間、その人は
本当に大丈夫なのね…
といって泣き崩れてしまい
思わず私も駆け寄り
コロナだろうが何だろうが
抱きしめ合ってしまった

心配をおかけしてしまいました
大丈夫です
何の後遺症もなくて こうして元気にしています

実は病気になったことを
私の口からは言っていない人もいるんです
半年ぶりに会う人もいますし
こうして前と変わらずにいれば
言わなければわからないことを
わざわざ言う必要もありませんし

なかなか会えない人には
病名も病名だから
心配だけさせてしまって
安心させることが出来ないから

すみません、母がおしゃべりで……

いいのよ、それぞれその人の選択で決めることだから。

でもね、本当にびっくりして、心配したわ。

としばらくぶりにお会いして
互いの近況や、嘗て遭遇した辛い別れの場面のことを
ジワンと目に涙が浮かんでくるのが堪えられなくなりながら
二人語り合う

会えてよかったわ
今日のコートも、襟巻もあなたらしくて素敵よ
遠くから見てもあなたが来たってわかったわ

ありがとうございます。お会いできると思って気合入れてきました笑

また、会いましょうね。次は来年の夏かしら。
お互いに元気でいないとだめねフフフ笑

土曜日には子ども食堂からの母子家庭向けのフードパントリー配給もうけて、とても使いきれない量なので、友達におすそ分けした。

ご縁には頻度は関係ないなあとツクヅクホウシ思う
一回の出会いでも生涯忘れないと思うこともある
15年毎日一緒にいて離れることに決めた縁もある
織姫と彦星の愛を誰かや何かと比べることもない

ただ細く長く紡いでいくことには
変わっていく互いを映して
語られた言葉が色合いを深めて
二人だけの関係を時間が作っていくなあと思う夜に

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