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手を差し伸べてくれる人の手を

五十肩だどうせ治りはしない
ていうかいつか時期が来たら治るから
それまでは治らないと
四十肩の経験値から
ぢっと黙って手を見る作戦で
≒我慢するしかないと思っていたんだけど

どうにも痛みに耐えられなくなってきて
受診したりこうしてnoteにも書いてみたり
職場でも実は肩が痛いんですよねって口にしてみると

痛みはなくなりはしないし
治りはしない
やっぱり痛いものは痛いままだけど

言葉に乗せて
自分の内側で抱え込んでいた痛みを
外側に向かって放り投げたからかな
痛みが展開し始めたような気がする

転がる痛みに苔は蒸さないっていうしな
言わないか?笑

仕事でまたミスってすっかり意気消沈して
トボトボ商店街を抜けて帰途についていると
目の前に立ちふさがるオジサンひとり

あ゙?なんだよ文句あっか💢と
視線を上げると
ニコニコ満面の笑みを浮かべて
もう一人のゴットハンド≒陳先生が私を見つめている

ああ陳先生すっかりご無沙汰しております
百年ぶりでしょうか
お元気にしておられますか

先生は福建省のご出身で勿論白髪三千丈のお国の方なのでご挨拶はこれくらいのジャブから始まらないと駄目だ

おうおう赤毛さん
100年とは大袈裟だねでも50年いや5年位経ったんじゃないかな
だってこの前来た時、上のお嬢さんが優秀な大学に合格したって話してたものね
もう卒業でしょう?
下のお嬢さんはどうしたの?
大学生になったんじゃない?

はい
下の娘も大学2年生です

流石あなたのお嬢さんだ
優秀ですね
ところであなたは元気にしてるの?

あー、あのそのですね
元気といえば元気なんですけど
この度無事に五十肩になりました

ほう
40歳の五十肩は珍しいね

いえ先生私もう50過ぎてます

嗚呼そうだったかなあ
まだ40代でしょう若いでしょう

いえ50歳の五十肩です汗
右肩が痛くて上がらなくて困っています

明日来る?

明日ですか
明日は仕事で行かれません

じゃあ土曜日来る?

はい
伺います
土曜日診てください

テイテイ定定≒わかったよ
土曜日来なさい
待ってるよ
久しぶりに胡弓も聞かせてあげる

そうなんだ先生は治療に行くと
遠方より友来るを地で行って
麻花とか肉饅とか飲茶でおもてなししてくれて
自慢の喉をコロナ禍であっても
朗々と胡弓と共に鳴らしてくれた

日中の文化論、家族観の違いや
人生で大事にするものの違い
来日してどうやって生計を立て今中国本土に高級マンションをいくつも持つだけの財を成したかを絵巻物みたいに語ってくれ
息子夫婦とGWに乗った豪華客船の写真なんかを見せてくれる

頼むのは40分のコースなんだけど
どう考えても2倍以上時間をかけて
満漢全席じゃないけど
たまに受付の美人の奥さんも加わって
3人で飲めや歌えの小宴会を
あれマッサージしてもらいに来たんじゃなかったっけと思いながら楽しませてもらっている
気功もちょっと出してあげるねといたずらっぽく笑って
本当に手のひらから熱波を私の身体に送り込んでくる

うえええ
なんですかこれ先生

気功だよ
ホントはこれ高いよ
やるとボク疲れるからね

足が遠のいていたのはヨガをやるようになって自分で自分の体に手を当てるようになってからだけど

藁にもすがる傷みの五十肩に
ゴットハンドを訪ねようと思う土曜日の朝に

予想通りですかね笑
曲は勿論
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの
転がる岩、君に朝が降る

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