ビーサンで歩く速さで

雨が降っているから
濡れないように長靴をはくんじゃなくて
どうせ濡れるんだから
濡れてもいいように
そんな日はビーチサンダルで出勤する

勿論そんな軽装が許される通勤環境だから
できるのだけれど

この間結構な雨予報だった日に
電車通勤組が全滅したらと
自転車は諦めて早朝徒歩で通勤した

ビーチサンダルの王様ハワイアナスをつっかける
地球の反対側
日本の草履にインスパイアされたって
なかなかのロマンだ

いつも近所やベランダを
ビーサンでテロテロと歩いてはいたけど
雨の中五分も歩いてみると
ビックリするほど全然うまく歩けない苦笑

ビーチサンダルの歩き方を身体がすっかり
忘れてしまっていることに気がつく
唖然。軽いカルチャーショック苦笑

旅の空とか、生ぬるい風に頬を撫でられてとか
もっともらしいことを口では言っているけれど
身体は正直だ
何年旅していないと思ってるんだ
寝言は寝てから言え
てゆうかお前は寝言ばっかりだと呆れられた気分

ツルリとビーサンの中で足の裏が滑ったり
指の股で鼻緒を掴めず脱げそうになったり
そうかと思うとタンと強く踵をビーサンの縁に打ちつけてしまう
ああ靴擦れしそうかも？涙

ぺったんぺったん
摺り足ビーサン燕の低空飛行
地面に擦るようにして歩く姿をイメトレして
なんとかボディイメージに修正かけてあるくこと15分

ガニ股や笑

思い出す
気持ちガニ股
それから一歩踏み出したら
足の甲を柔らかく返すようにして
鼻緒をしっかりつかんだ足をビーサンごと
ちょい浮かせる

うん
思い出した笑

重心後ろだ

ちょっとヤンキーみたいな歩き方笑

靴の歩き方がしっかり身についてしまった自分に気づく
それは旅の空の下の自分がどう歩いていたかを
確かめてみたからで

脳内でいくらゴタクヲ並べたって
ビーサンで歩いた20分に体感は敵わないと思い知って

帰宅してその夜はゴソゴソと家探し

タイダイTシャツ
モン族の刺繡のパンツ
シェムリアップで買ったクロマー
カオサンでお誕生日にと元夫が買ってくれたパシュミナストールとエイ革のスターマーク付きの緑色のウエストポーチも何処かにあるはず
あれインディアンショップみたいな怪しいお店で買ったけど
ものすごく貴重な革で高価なのね
侮れん元夫の贈り物センス
ああ彼がくれたもので一個文章を書いてみようかな笑ジッタリンジンみたいに

何かしら明日からは身に着けて行こう

それから夏季休暇には実際に体を移動させて
旅をすることを決めて
コンタクトを取り始めた
誰も自分を知らないところに身を置くんだ
そして裸一貫飛び込んで今の自分を思い知る笑

湿度をたっぷり含んだ夜の空気も
エアコンなしで天井のファンでやり過ごした笑夜を思い出せば
唇の端がにんまり上がってくるし
トクトクトクとヤモリのなく声がすれば
完璧なんだけどな

暮れゆく東京の空の下は
工事現場コンクリを打ち直す音しか聞こえない