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野生の勘

初めて出会ったときのことを
まざまざと記憶している人がいて
やっぱりそれは運命だったのかなあと
いくつになってもロマンチスト≒現実逃避好き≒こじつけ好きだから思うけど

20年来の付き合いの
サルサダンサーのイマジナリーシスターとは
嘗て互いに同じ団地群に住んでいて
同じ年の3歳児を子供の一人に持つ母親という共通項があったけれど
かたやフルタイムの福祉職
片やフリーランスのダンサー
年齢も5つくらい違うのかな
これまでの人生ではすれ違うことなく生きてきた

けど団地の中にエスニック雑貨や衣料を扱うお店ができて
お互いにそこを利用するお客として動線がクロスし始めたんだと思う
場の軸が揃い始めた
けれども時のディメンションがまだ合わなくて
それぞれ
彼女はダンスのワークショップを店舗のスペースで開いたり
私はタイダイのパンツや
ナグチャンパの香を買い求めたり
お店のご主人とインド談義に花を咲かせていた

店長さんを介して私には
ご夫婦でキューバンサルサのダンサーをやってる方がこの団地のこの棟に住んでるんですよー
その方のワークショップ今度やるから参加しませんかとか語られて
タイミングは合わなかったけどふうんそんな人がおるんやなと
頭の片隅にまだ見ぬ子育て中のキューバダンサーの女の人像が朧気にシルエットを帯び始める

彼女の方にも
お客さんでインドがなんだか大好きで
インドインドって口開くと言ってる
全身エスニックで固めて全力で中央線界隈感出してる人がいるんですよって
語られていたみたい

そして
少し時は流れて
お互いにチャリの前後に子供を乗せて
夕飯の買い物もブル下げて
限界に挑戦な違法スレスレ積載量で笑

彼女は保育園からの帰り道
私は職場からお迎えに突撃せむとするとき
団地の棟と棟をつなぐ渡りトンネルをくぐったところで

二人がすれ違った


と一瞬で短くお互い脳内がスパークして

慌ててすれ違ってしまった道を振り返って

あの、もしかして!?

はい、そうです
あのもしかしてダンサーの方ですか!?

と訝しげに でも
互いが互いに小耳に挟んでいた
同じ匂いのする仲間であることが
確信としてあった
名前もろくに知らないのに笑

あ、は、はじめまして
やっと会えましたねと
でもその後に続く夜の2回戦が始まらんとする立場やから
エッチやない!笑(子供風呂入れて夕飯食べさせて寝かしつけるまでの2回戦や)
挨拶もそこそこにじゃあまたとそそくさと分かれて

なんなら彼女は夜ステージのお仕事もあったりで1日ダブルヘッダどころかトリプルヘッダもあるのが

しばらくするとわかって

うち夜大人二人いるし、旦那に見てもらえばいいんだから、夜のお留守番しに私が行こうかと大して仲良くもなっていないのに謎のオファーして

彼女も彼女で
お願いできる?って家に上げてくれて
夕飯用意しておいてくれて
ステージが終わったら帰るからそれまでお願いしますと
子どもたち4人のインチキベビーシッターを任せてくれた

それまでお茶したこともなく
二人で何処かに行ったこともなく
交わしたのは数回の短い移動の合間の会話だけで

でも絶対この人と仲良くなりたいというか
もっと話をしてみたいという
強い衝動に駆られてお留守番をお節介にも申し出た
互いの家族とともに食事会をしたり
彼女の子供向けのダンスのクラスに娘二人が通い始めたり
夏がイベントで稼ぎ時の彼女の仕事だから
何故か私が引率して三家族分の子供を八王子の廃校を回収した宿泊施設に遠征しに行ったこともあった

まあ仕事で人を預かって引率して旅行することをしていたから
まあなんとかなるやろと思った方も思ったほうだし
お願いしますと預けてくれた方も度胸があるなあと今は思う笑

子育てを通じて縁を育んで
それぞれの子供は手をかけるという意味での子育ての対象ではなくなり
自立の時を迎えているけど

ふとこの間2人が初めて会ったときのことを覚えているかという話になり
何十年経っても不思議なくらいうん鮮明に覚えているよと
互いに遠い目をしたので

ちょっと書き留めておこうと思ったのです

でもさなんであん時赤毛だって名乗ってもいないし会ったこともないのに一瞬でわかったの

うーん
なんでだろうね
野生の勘がお互いちゃんと働いたってことかな

そうだねえ
野生って大事だよね
勿論この人と気が合いそうだってフィーリングも大事だけど
この人とは関わっちゃいけないとか
そういうのを嗅覚で避けられたら
言葉を費やし尽くして人とぶつかることも減りそうだしね

初めて会った時から幾星霜二十年の時が流れても
未だにこんな話に初めてなったねと
お互いを知っていくスピードは決して早くないけど
時間をかけてしか紡げない縁に
オバハンになったからこそ確信がある三連休の朝に

勿論イマジナリーといえばGalileo Galileiの
イマジナリーフレンド



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