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【株式会社 テイツー】

第1作目を読んで頂いた方もそうでないかたも、このnoteを選んで頂きありがとうございます。

このシリーズは読んでいくごとに低位株の見極め方を学習していきます。

読むのがしんどい!というかた。
今回は数字が少なめですので読みやすくなっているかと思います。

また、コンサルティングや企業の立て直し、今後起業を考えている方にとっては
最盛期から低迷期までの流れや立て直しに至った経緯を知れることは大きな糧となるでしょう。

まだ株式投資を悩んでいるというかたはこのシリーズを読んでから始めるかどうかを決めるのも良いでしょう。

いづれにしても、なんの情報もないより確実に有利です。

さて、第2回目の企業は

【株式会社 テイツー】

です。

証券番号:7610

まず評価グラフを載せます。
低位株中心の中長期保有ホルダーへのおすすめ度(評価)としては、5.6点/8点満点

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株主配当は現金は0円ですが自社で経営する「古本市場」で使える中古商品割引券を配当としている。2021年のIRではファンホルダーを増やすことを目的として配当対象を細かく設定。
金銭配当ではないため不満のあるホルダーがいることも事実だが、中古本といっても新書や過去の名作、漫画など興味のある方は購入してもそこまで損はない株です。
経営面に関しても2019年から黒字転換しています。
今期の業績も堅調ですのでまずまず安心して見ていられる銘柄でもあります。


そんな【株式会社テイツー】の経営理念は
「満足を創る」
会社が社会の一員であることを自覚し、事業を通じて良質な商品とサービスを永続的に提供し顧客に対して「満足を創る」ことで社会に貢献する。

としている。

また企業としてこれを達成するために
創意工夫
常に変革を追い求める
事業の発展
を掲げ、これに伴う行動指針も出している。

①変化を見る「目」を持つ
②お客様の声を聞く「耳」を持つ
③親しみと感謝の気持ちを表す「口」を持つ
④自らを律し、常に向上しようとする「心」を持つ
⑤常に新しい価値と独創性を創り出す「頭」を持つ
⑥お客様が次に何を望むか、時代がどう変わるのか感じる「勘」を持つ
⑦お客様に親身に、そして健気に接するひたむきな姿勢を持つ

とても長いですが、言っていることは一貫している。
(一つにまとめられそうな気もするが、これも【株式会社 テイツー】らしい。


現在展開している店舗は
「古本市場」
「ふる1」
「ブック・スクウェア」
「トレカパーク」
「ふるいち」
「MO-ZEAL」

事業内容は
書籍、家庭用テレビゲーム、トレーディングカード、ホビー、スマートフォン、CD、DVD、衣類等の買取及び販売。

資本金:1,493,480,000円

岡山を中心に全国展開しているため店名を見かけたことがある人も多いと思う。
メイン商材が書籍、テレビゲーム及びソフトとなっているためクリスマスや賞与時期などは売り上げが伸びやすいのも特徴。
この時期に合わせて株価も上がりやすいため、タイミングを合わせて株式売買を積極的に行なっている人も多い。

上場は1999年。
創業から本店とフランチャイズ形式の両方で展開いき、店舗数は最多で150店舗以上となった時期もあった。
上記の業務内容には記載はないが、【株式会社アイ・カフェ】でのインターネット・コミックカフェ事業も展開していた。

売上はもちろんだが株価も順調に伸びていた。
2004年の原油高騰に伴う日用品の価格上昇による経済の冷え込みも影響し、株価は大幅下落。

それでも
平成19年2月期業績での連結売上は40億を超えていた。

収益の伸び悩みとなっていたのは先にも挙げた【株式会社アイ・カフェ】である。
企業としては収益の追求も重要課題であるため、改善策として当時のインターネットコミック・カフェとしては珍しい岩盤浴や飲食の充実などの施策を実行するも大きな改善はなかった。

インターネットコミック・カフェはその他の企業も積極的に展開しており、価格競争も激化していた。【株式会社アイ・カフェ】も時間料金、セット料金など検討したが内容の充実を図るために格安という路線は難しかった。2007年には【株式会社 アプレシオ】との業務提携の話もあったが、この話は頓挫。結局出店コストの面でも大きな打撃となり、最終的には赤字部門となった。

ただ、一定のファン層があったのも事実である。

結果としては譲渡という形で帰結したが、ホルダーとしてはもう少し改善可能性があったのではないかともったいない気持ちもある。
行動指針にある
⑤常に新しい価値と独創性を創り出す「頭」を持つ
⑥お客様が次に何を望むか、時代がどう変わるのか感じる「勘」を持つ

が上手く出来ていなかったと思わざるを得ない。

とはいえ、立て直しのために【株式会社 アプレシオ】との業務提携を検討していたのは悪くはないと思う。
この企業もインターネットコミックカフェを展開しており、当時の提携目的として
・飲食料やオンラインコンテンツの共有をすることで商流の合理化を図る
・広告事業モデルの開発
を挙げている。
ネットカフェにとって飲食料の充実(流通ルートも含む)は長時間滞在の性質上、必須の課題であるため、コスト削減+商品の充実は集客力にも大きく寄与するものだろう。
より注目すべきなのは広告事業モデルである。
カフェ店舗に設置されたPC(当時7,500台)を媒体として広告事業を展開していくというものだが、現在のインターネットコミックカフェではほぼ全ての個室スペースにはPCが設置されているため、単純に店舗増に伴って広告費での収益も期待出来るということになる。
※宣伝効果を見込んで手を挙げる企業があればの話ではあるが…

結果としては【株式会社 アプレシオ】との業務提携は流れたが展開方法としては提携が上手くいった場合の未来も見たくなるよな内容であった。

宣伝繋がりでもう一つ面白いのが、【Linden Lab 社】が運営する3D仮想空間「second life」への参入。
アバターサービス事業、ウェブコミュニティ運営事業を行っている【株式会社 メルティングドッツ】の協力の下、バーチャル空間に「古本市場」「アイ・カフェ」を構築。
これにより宣伝を狙ったというわけだ。
しかし、IR公開時は世界790万人のユーザーを持っていたが残念ながら日本でのユーザーはさほど獲得出来なかった。
【Linden Lab 社】が最後に公開した2009年時点での日本国内月間アクティブユーザー数は23,000人。ユーザー比率は男性8:女性2。

失敗となったが、勝機があれば積極的に挑戦する姿勢は悪くはない。
少なくとも企業理念に沿った行動はしている。

宣伝以外の試みとしてはベンチャー企業の設立が挙げられる。
【住信インベスメント 株式会社】と共同での設立。
資金:5億円(テイツー 4億5000万円、住信インベスメント 5,000万円)
その名も
【テイツー”もったない”ファンド】

正直な感想としてはダサい。
基本的に【株式会社 テイツー】は応援したい企業ではあるが、これだけは受け入れ難いと思ってしまった。
※個人的な感想なので無視してください。

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