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小説【ただ、涙の味がした】 chapter1

1:事故

 湿った空気がただよう2月23日。
 私は部活からの帰り、玄関前で電話が鳴ってる事に気づき急いでカギを開け受話器を取った。
「はい…」
「早く出なさいよ…」
 重なるように空港のざわついた音やアナウンスが聞こえて来た。
「何だお母さんか…」
「お母さんで悪かったわね。これから帰るから」
「うん。何時の便?」
「7時の便」
「じゃ8時過ぎだね」
「そうね。なるべく早く帰るから」
 と言った後ブーッと聞こえてきた。
「うん。公衆電話使ってるんだ」
「うん。携帯充電するの忘れてて」
「また? あっお土産忘れてないよね…」
「大丈夫。ちゃんと買ったわよ」
「良かった」
「ちゃんと病院行って来た?」
「うん。行って来た。じゃ…」
 と私は受話器を置いた。

 私は人並みに平凡なサラリーマンの父と専業主婦の母と一緒に社宅で暮らし、これからも平凡だろうと思っていた…。

 それから1時間後、TVを見ていると飛行機事故を告げるニュース速報が流れ、まさかと思いながら気になった私は片っ端からチャンネルを変えるといち早くNHKが伝えていた。落ち着いた口調のアナウンサーが片仮名で書かれた乗客名のテロップにあわせて名前を読み上げていた。

 そこには確かに、あった…。
「ウソ…」
 両親の名前が…。

       《つづく》


※ 
最後まで読んで下さり
ありがとう御座います!

とりあえず毎日
この小説の続きを
投稿して行きます…。
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