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【全文無料】水闇サガループ解説【GPベスト64】

 こんにちは。ばんちきです。

 まずはDMGP2023-1st、お疲れ様でした。
 自分は1日目をプレイヤー,2日目をテキストカバレージという形で両日参加しました。

 特に2日目は、担当記事の内容の関係でそこそこ長い時間会場を徘徊していたので、その間に挨拶させていただいた方も多いかと思います。
 極力タイミングは見計らうように心がけてはいましたが、快く対応していただいた方々、本当にありがとうございました。

 本題の1日目ですが、ベスト64で敗退という結果でした。
 次回GP優先参加権をなんとか獲得できたので、次はさらに上を目標に頑張ります。

 というわけで今回は、1日目の使用デッキである【水闇サガ】の紹介です。
 当日はじゃんけんが2-9とほとんど後攻ばかりでしたが、基盤の安定感に支えられてなんとか堪えることができました。

 フォーマットはオリジナルですが、GP前の3週間にCSで3回のみ使用し、優勝,ベスト16,優勝という結果だったため、オリジナルでも十分通用する基盤だと思います。

 興味のある方は是非最後までお付き合いいただけますと幸いです。


デッキ選択の経緯

 アドバンスである1日目に参加するにあたって、調整グループ内の最終的なデッキの選択肢は【水闇サガ】と【火自然モルトNEXT】の2択となっていました。
 どちらのデッキもGP特有の雑多環境に強く、一風変わったタイプのデッキに負けづらい高い安定性を持っています。

 【水闇サガ】と【火自然モルトNEXT】の直接対決は【水闇サガ】に軍配が上がるものの、【火自然モルトNEXT】は【水闇サガ】よりも幅広いデッキに対して強く出られます。
 特に【水闇サガ】が苦手とする【火闇バイク】に勝ちやすいという点は、【火自然モルトNEXT】の価値をグッと引き上げるポイントでした。

 また、先ほど「一風変わったタイプのデッキに負けづらい」と書きましたが、これについてはやや【火自然モルトNEXT】に優位性があると言えます。
 『3ターンキル』という理不尽さからGPの環境では【水闇サガ】へのヘイトが高く、多くのデッキが《パルテノン》を採用していることが予想され、その場合はそもそも《パルテノン》を機能させない【火自然モルトNEXT】の方が勝ちやすいためです。

 対して【水闇サガ】は、相手に抗う余地を与えない3ターンキルの存在から、上振れてしまえば実質的なbyeを生み出せるという点で、他のデッキに代え難い優位性を持っています。
 これは大型大会において非常に有力なポイントで、長いラウンドを戦う上で目を背けられないものだと思います。

 【火闇バイク】に対しては先攻を取られるとかなり厳しいものの、【水闇サガ】と【火自然モルトNEXT】が共存する今回のGP環境特有の「受けガチガチ+《パルテノン》デッキ」によって、そもそも【火闇バイク】が一定数蹴落とされる可能性があると考えました。
 そのため、序盤さえ避けてしまえば終盤は【火闇バイク】に当たりづらいと判断し、『序盤は避ける。当たったらじゃんけんに勝つ』という形で割り切りました。

 最終的に、自分は【水闇サガ】が持つ上振れのラウンドスキップ性能,【水闇サガ】を対策する側の精度の低さによる突破の容易さ,【火自然モルトNEXT】に対して有利であるという3点を高く評価し、【水闇サガ】の使用を決定しました。

 【水闇サガ】の使用に一切後悔はありませんし、かなり自信がありましたが、環境を理論で組み立ててそれが想定通りに刺さった場合、勝ちやすいデッキの最適解は【火自然モルトNEXT】だと思います。

 調整グループではこれを
『情のサガ,理のSAGA』
 と名付けていました。


デッキリスト

次元あります

 載せ忘れていますが、超次元ゾーンに《レッドゾーンX》4枚と《ドギラゴンX》3枚,《ラストストーム》の合計8枚を置いています。
 《レッドゾーンX》と《ドギラゴンX》はフィニッシュ時によく使うので、必ず採用してください。

 オリジナルフォーマットで使用する際は、《クロック》と《シャコ》の2枚目の枠を、《ラッキーナンバー》と《ボルバル8》に差し替えています。


採用カード解説

・《コダマダンス》

 このカードの発見によって【水闇サガ】は化けたと思っています。
 初めて採用構築を見たときは感動しました。

 手札の枚数をキープしたままゲームを進められるため、メタカードによって手札を減らしている相手に対してリソースゲームで優位に立てます。

 3→5のマナカーブを作ることによって、2コストタイフーン+3コスト《サガ》によるワンショットの圏内に持ち込むことができるので、主に《お清め》や《ブラッドゥ》などの墓地メタを切り返しやすくなります。

 初動やフィニッシュ時のアンタップマナ生成の他にも、《警官》を使い回して召喚ロックを継続させたり、一定確率で《イワシン》の盾落ちをケアできたりと、非常に役割が多いカードです。


・《バビロニア》

 メタカードへの耐性をあげるべく、【水闇サガ】の流行初期段階で採用が散見されていたこのカードに再度目を付けました。

 現環境ではなにかしらのメタカードが飛んでくることは当たり前なので、それによって身動きが取りづらくなった《サガ》が手札でもたついている状態になるよりは、さっさと《サガ》を切り飛ばして《バビロニア》に変換させてしまうことで、キープできる手札の種類に余裕を生み出そうというのがこのカードの狙いです。

 ドロー置き換え能力によって墓地リセットに対しては無類の強さを持っているため、仮に墓地に落とした1枚目の《サガ》が山に返されたとしても、持ち前のデッキ回転率の高さで容易に復帰できます。

 登場時の疑似ハンデスによって相手のアプローチもある程度縛ることができるので、対メタカードという点でかなり強力なカードです。


・《クロック》

 【火自然モルトNEXT】や【火水アポロ】を安全に受け止めるにはこのカードが最も効果的でした。

 特に《ボルバル8》や《ガイサーガ/ガイフレア》を絡められた場合は《イザナギ》多面では受からないため、アドバンスで【水闇サガ】を使うのであれば1枚は入れておきたいカードです。


採用候補カード解説

・《警官》4枚目

 言わずもがなですが、様々なデッキから飛んでくることが予想される《とこしえ》を最も強烈に弾けます。

 自分は《バビロニア》をかなり高く評価しているため今回はそちらに1枠振っていますが、全体を見てこのカードを使わない対面の方が少ないくらい【水闇サガ】にヘイトが向いている環境であれば、真っ先に4枚目を採用します。
 ただし、その環境で【水闇サガ】を使うのが適しているのかはやや疑問です。


・《オブザ》

 墓地に落ちてしまった《DOOM》の回収や、低コストでのメタ突破など、ロングゲームにおいていぶし銀の活躍を見せるカードです。
 《バビロニア》が効率よく墓地を肥やしてくれるため、《イワシン》無き今でも十分に除去札として機能します。

 触れるゾーンが増えるため、1枚でも採用してあること自体に価値があるカードです。
 実際、《コダマダンス》と3:1で割り振っている時期もありました。


・《ダークネス》

 《コダマダンス》と非常に相性が良く、メタカードを吐き出させたところに当てることでさらにリソース差を広げられます。

 ただし、呪文の枚数が増えすぎると《ブラッディタイフーン》の出力が不安定になるため、採用枚数は慎重に考える必要があります。
 これは、「《ブラッディタイフーン》から呪文を2枚捲らなければいい」というものではないと個人的には思っています。
 墓地にクリーチャーを2枚用意するために打った際、呪文が捲れてしまうとそれを拾わざるを得なくなるため、本来拾いたかったカードが拾えないという事象が発生してしまいます。
 これによって手札に集めたかったはずの《サガ》や《ブルース》を取りこぼしてしまうのがかなりストレスに感じたため、今回は1枚も採用していません。

 ただし、カードパワーが高いのは間違いないので、環境からの【水闇サガ】に対するアプローチが《ダークネス》で崩壊するようなものであれば、《バビロニア》からこちらに1枠譲る形になると思います。


・《ソルハバキ》

 《DOOM》3枚目との選択枠です。
 さっさと墓地に切り飛ばしておけるため、フィニッシュ前のハンドキープがかなり楽になります。

 問題なのはとにかく色で、極力多めに採用したい闇文明が少なくなってしまうため、《サガ》や《コダマダンス》をプレイするための要求値が若干上がります。
 しかし、それを踏まえてもハンドキープへの貢献度はかなり高く、評価が難しいカードです。

 オリジナル環境では【アナオービー】や【水魔導具】に対して《DOOM》を普通に召喚するパターンが頻出するため、《DOOM》3枚目の方が明確に優先度が高いです。


・《コンチェルト》

 《DOOM》3枚目との選択枠です。
 《DOOM》の1枚目をマナに埋めたあとにこのカードを引いてしまうと、これを握りしめたままゲームを進めないといけなくなるのが若干のヤバポイントですが、《ソルハバキ》よりも文明が優秀です。

 ただし、先述したように呪文の枚数は極力少なくするのが理想なので、個人的なこのカードの評価はかなり低めです。
 比較するのであれば、概ね《ソルハバキ》の方が強いシーンが多いという認識です。


メタを超える動きとループに向かう動きのバランスを取る

 個人的に【水闇サガ】を回す上で一番難しいと思っているポイントはここです。

 超えられるメタの強度や枚数をある程度想定しつつ、自分がループに入るための手札と墓地を作りながらゲームを進める必要があります。
 後手後手で対応に回りすぎても、猪突猛進でループに突っ走っても、たいていの場合はうまくいかないことが多いです。
 《イザナギ》《ブルース》と《警官》の持ち方で頭を悩ませた経験がある方も少なくないのではないでしょうか。

 ソリティアデッキ特有の牌効率が求められるため、ある程度その部分が鍛えられていないと出力にブレが生じるデッキだと思います。

 その点、《コダマダンス》はリソースを抱えながらマナを伸ばすことで、選択肢を増やしながら相手の出方を見る形でメタへの対応を保留できるため、「バランスを取る」という部分がかなり見えやすいです。
 難しい展開はだいたい《コダマダンス》がなんとかしてくれます。

 バランス感覚は言語化・パターン化が難しいのですが、「常に喉元に刃を突き付けている状態」を作っておくのが理想的な展開です。
 これは相手目線でそう見えておけばOKで、勝手に単調なメタカードやリソースを吐いてもらう動きが狙えます。


《パルテノン》突破

 対【水闇サガ】の代表例である《パルテノン》に対しては、《バビロニア》を駆使して《DOOM》で勝つ動きを狙います。

 《バビロニア》が場にいる状態であれば、タイフーンを打つだけで山札を4枚掘って墓地が合計4枚増えるので、墓地が0の状態からでも一瞬で《DOOM》が着地します。

 ここに、《サガ》のポン置きや《レオポルディーネ公》の召喚を組み込むことで、《パルテノン》を貼られた状態からでも容易にフィニッシュに向かえるようになります。

 【火自然モルトNEXT】や【火闇バイク】を受け止めようとするコントロール系統のデッキは、小回りが利く除去札がほとんど採用されていない場合が多いため、《バビロニア》の場持ちがかなり良いです。
 そのため、それらのデッキから展開される《パルテノン》はかなりの高確率で貫通します。

 《パルテノン》を最もうまく使える【水魔導具】に対しても、《カージグリ》の枚数が減っていて《バビロニア》が剥がされづらかったり、そもそも《新世壊》が貼られていない状態であれば《バビロニア》をバウンスされてもさほど問題なかったりと、《バビロニア》が活躍するシーンは多いです。


《パルテノン》突破最速後攻5キル

※括弧内左側は山札の枚数,右側は墓地の枚数です。

2tタイフーン(26,2)→3tサガバビロニア(24,3)→4tレオポル(22,4)→5tタイフーン(14,9)→タイフーン(8,14)→DOOM召喚(8,1)

攻撃時シャコ蘇生キューブリックアタキャン(9,0)→相手ターン開始時シャコ効果4枚分バビロニア置換,最後の1枚は置換無しでLO

 このルートは先攻でも《イワシン》が絡むと成立します。
 これは《キューブリック》まで絡んだ最も理想的なパターンに過ぎませんが、《バビロニア》によってかなり山札を掘り進めるため、こういうキルルートがかなり現実的に通ります。

 道中で相手からの妨害が挟まった場合、追加で《サガ》をポン置きするのがかなり強力で、《バビロニア》が除去されてしまう展開を一瞬でリカバリーできるようになります。

 相手のメタカードに対して《サガ》や《レオポル》を召喚するパターンは頻出するので、是非。


ピーピングハンデス対策

 【水闇サガ】のミラーマッチでは、形を問わず《審問》や《バビロニア》といったピーピングハンデスが飛んでくる可能性があります。

 これらに対しては、仮に《ブルース》が手札にない状態でも、《サガ》を召喚して《イザナギ》を捨てておくことである程度ケアできます。
 この際、《イザナギ》は蘇生せず盤面に《サガ》を残してターンを返します。

 そうした場合、開始時に《イザナギ》を蘇生することで、山上の7枚に《サガ》の2枚目があった瞬間に勝利します。
 物凄く原始的で単純な対策方法ですが、ミラーマッチにおいて盤面の《サガ》を退かせるカードはかなり限られているため、裏目は少ないです。

 ハンデス対策に限らず、盤面処理能力が乏しいデッキに対して《サガ》を置く選択肢が刺さる展開は往々にして存在します。
 《サガ》はループ一辺倒ではなく、システムクリーチャーとしても高性能なカードだと思います。


フィニッシュプラン

・《イワシン》

 最もシンプルな《イワシン》+《シャコ》での特殊勝利です。


・《キューブリック》

 攻撃中の《DOOM》をバウンスすることで、アタックキャンセルによって特殊勝利します。
 墓地に残ったカードは山札に戻ってしまうため、このフィニッシュを成立させやすくするためにも、やはり呪文の枚数は抑えたいところです。

 《ZEROハンド》は裏目ですが、ループ時にアンタップマナが余っている状態であれば最後に《バビロニア》を出すことでケア可能です。

 水マナが3枚必要なルートなので、3ターンキルの際には成立しない場合もあります。


・《レッドゾーンX》

 《イワシン》が盾に落ちてなおかつ水マナが3枚用意できなかった場合、攻撃中の《DOOM》に侵略することでブレイク数を減らし、トリガーの《カツキング》をケアします。

 かなり魂を込めた2点ですが、2点で《シャコ》が除去されてしまうトリガーが環境にそこまで多くないため、思ったより安全です。


・《ドギラゴンX》

 《イワシン》が盾に落ちたものの、フィニッシュ時の《コダマダンス》で20%を引き当てて《イワシン》を拾えた場合、《DOOM》からP革命チェンジすることで《イワシン》を捨てて特殊勝利します。

『まだ響と流れ星を見ていない...!』って感じです。


さいごに

 ここまで読んでいただいてありがとうございました。
 この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

 次のGPは勝ちたい。

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