「フランク・シナトラ」 『追撃者』:創作のためのボキャブラ講義30

本日のテーマ

題材

「これってなんなの?」
「なにが?」
「私だって、理解しようと頑張っているの。あなたを。五年も疎遠だったのに、急に戻ってきて。……戻ってきたら、見た目がまるでフランク・シナトラみたいになってるし」

(本編31分ごろ)

意味

フランク・シナトラ
 ザ・ヴォイスと通称されるアメリカの歌手、俳優。1930年代から1990年代まで活躍。


解説

作品解説

 シルベスタ・スタローンが演じるキャラクターは多岐にわたるが、男のカーナビと呼ばれるだけあり、マッチョなガイかアウトロー、というのが基本的なライン。代表的なのはやはり『ランボー』で一斉を風靡したジョン・ランボーだろう。破天荒な刑事マリオン・コブレッティを演じた『コブラ』は内容こそ薄い往年のアクション映画という感じだが、嫌いになれない妙な愛嬌がある作品だ。

 『追撃者』でスタローンが演じたのはベガスの用心棒であるジョン・カーター。ただし舞台はベガスではなくシカゴ。彼の弟が死んだという知らせを受けて舞い戻ったアウトローのジョンは、弟の死に疑念を抱き独自に捜査を開始する。刑事顔負けのテキパキした捜査はベガスで用心棒のみならず借金取りもやっていたからだろうか。

 しかしイケているアウトローに見えるジョンも、古臭い時代の男として周囲から軽んじられる事が多い。地元シカゴの知り合いの悪党は「時代が変わった」と言い、今の仕事はインターネットでポルノ販売。上司に黙ってベガスを出た上に上司の愛人との不倫がバレて電話越しでどやされる。それでもジョンは謎を追う。

マフィアとの関わり

 さて問題の場面はジョンと、彼の弟の妻が会話をする場面。長い間疎遠になっていた悪党の兄貴が帰ってきた、しかも事故死と決まった弟の死について勝手に嗅ぎ回っているとなれば親族がいい顔をしないのは当然だろう。

 フランク・シナトラの名前が出てきたのはシナトラがアメリカの20世紀を代表する歌手のひとりであり、同時にマフィアとのつながりが常に噂される人物だったという背景があるようだ。イタリア系移民の血縁である彼はイタリア系マフィアとの関連があったらしい。その噂話が『ゴット・ファーザー』のエピソードの元にもなっているという。

 ちなみにスタローンは無名時代、『デス・レース2000』でマフィアの姿を模したレーサー、マシンガン・ジョーという役を演じている。どうやらスタローンをマフィアに仕立てるとなんかいい感じになる、と思っている人がちょくちょくいるらしい。

 もうひとつちなみに、『追撃者』というタイトルの映画にはマイケル・ダグラスが主演となるものが存在する。ダグラスが演じる富豪が砂漠で人間狩りに興じる作品らしい。スタローン主演の方を検索する時は映画製作年の「2000年」かスタローンの名前を検索ワードに一緒に入れよう。

作品情報

『追撃者』(2000年制作)


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